Caffe' G Japan
カッフェ ジー ジャパン
イタリアの自社製コーヒー豆 輸入・卸販売
カッフェ ジー ジャパン
イタリアの自社製コーヒー豆 輸入・卸販売
イタリアの自社製 カッフェ ジー について
Caffe' G Since 1989Germano Lampa 氏はイタリアのオージモ市で、こだわりのコーヒー豆を販売しております。
機械に全てを頼らず、人間の持つ感覚、知識、そして経験を生かし、 生豆のままブレンドし、目と鼻と手で焙煎の具合を確かめる自社製法を取り入れております。 Lampa 家は、代々コーヒー事業を行っており、先代はコーヒーショップを経営していました。 その店を Germano 氏が学生の頃、よく手伝っていたと言います。 彼は大学卒業後、コーヒーとは無関係の大手通信企業へ就職をし、 イタリア各地を回るようになり、 その先々でコーヒーを飲むのが楽しみになっていました。 日本でもそうですが、町が変われば料理の味付けも変わるのと同じように、 イタリアでも、料理やコーヒーの味が変わります。 Germano 氏は、各地でコーヒーの飲み比べをしていたようです。 |
そして数年後、転機が訪れたのです。コーヒー豆の輸入や焙煎を行っている会社の担当者となったのがキッカケとなり、小さい頃から身近にあったコーヒーへの興味が、
再び湧いてきたのです。その時、Germano 氏は思いました。『コーヒー業界に戻り、自分自身で最高のコーヒーを作ろう!』と、、、これが Caffe' G の始まりです。
再び湧いてきたのです。その時、Germano 氏は思いました。『コーヒー業界に戻り、自分自身で最高のコーヒーを作ろう!』と、、、これが Caffe' G の始まりです。
カッフェ ジー のコーヒー豆の品質について
カッフェ ジー が手製法にこだわる理由手製法と機械で自動的につくるコーヒー焙煎では、何が違うのでしょうか? Caffe' G の場合 豆を仕入れた後、最適な豆を更にセレクトし、 種類の違う豆を生豆の状態でブレンドします。 大きさと種類の異なる生豆をブレンドしているため、 それぞれ焙煎時間が違い、一気に焙煎することができません。 そのため小さい豆に合わせ、ゆっくり低温で焙煎し、 大きい豆にも巧く熱を均等に与えることで中和させ、 それぞれ種類の違う豆のアロマと味を完璧にしていきます。 機械での自動製法の場合 一番の大きな違いは、豆別に焙煎したものを後でブレンドします。 ブレンド段階で既に焙煎されているので、手間が省け短時間で量産できます。 しかし、味とアロマに大きな違いが出ることは言うまでもありません 。 機械ではできない手間をかけ、目と鼻、手で確認し、 素晴らしい風味を生み出すのは、Caffe' G の美味しさの秘訣と言えるでしょう。 |
手作りイタリアンコーヒー豆 |
カッフェ ジー の商品
Caffe' Artigianale Italiano
Caffe' G のコーヒーは、
苦みや酸味、甘みなどがうまく調和された、まろやまかな味のイタリアンコーヒーです。
全国のカフェ、レストラン、ホテルなどで、多くのお客様にご愛飲いただいております。
Caffe' G のコーヒーは、
苦みや酸味、甘みなどがうまく調和された、まろやまかな味のイタリアンコーヒーです。
全国のカフェ、レストラン、ホテルなどで、多くのお客様にご愛飲いただいております。
カッフェ ジー ジャパン について
Caffe' G Japan は、カッフェ ジー の正規日本代理店です。
日本でカッフェ ジーのコーヒー豆を輸入・卸販売できるのは、弊社のみです。
弊社は、全国のホテルやレストランで、サービスのプロデュースやコーディネートを行っている
アシェンテ リミティッド・ライアビリティ・カンパニーのグループ会社です。
日本でカッフェ ジーのコーヒー豆を輸入・卸販売できるのは、弊社のみです。
弊社は、全国のホテルやレストランで、サービスのプロデュースやコーディネートを行っている
アシェンテ リミティッド・ライアビリティ・カンパニーのグループ会社です。
イタリアン ライフスタイル
私が長年学んだ植物についての知識を生かし、
たくさんのコーヒーの中から選んだ私の故郷のコーヒー Caffe' G を
日本の皆さまにご賞味いただき、
ひとときのリラックスとリフレッシュできる毎日を
お過ごしください。
お問い合わせ
Caffe' G Japan
概要
イタリアやフランスではもっともよく飲まれるコーヒーであり、イタリアでCaffèといえば普通エスプレッソのことをさす。特徴的な抽出方法により、風味が濃厚である。
使用するコーヒー豆が深煎りのため、焙煎工程で揮発し、抽出時間も短いことから、カフェインの含有量はドリップコーヒーに比べて少ないとする意見があるが[1]、
容量あたりのカフェイン含有量はエスプレッソの方がドリップコーヒーに比べて多い[2][3]。しかし、エスプレッソの一杯あたりの容量はドリップコーヒーに比べて少ないため、
通常はエスプレッソ一杯あたりのカフェイン含有量はドリップコーヒーよりも少ない。ただし、実際のカフェインの量はコーヒーの容量、コーヒー豆の産地、焙煎の方法やその他の条件によって異なる。
通常のエスプレッソは、一杯当たりコーヒー豆を7g程度使用する。14g程度使用したものはドッピオ(doppio、ダブルの意味)と呼び区別することもある。
クリームなどを加えて、カフェ・ラッテ、カプチーノ、カフェ・マキアート、キャラメル・マキアートなどのバリエーションもある。
抽出方法
エスプレッソの抽出には、電気式のエスプレッソマシン、もしくは、もっぱら家庭用のモカエキスプレスなどの専用の器具を用いた直火式がある。
電気式のエスプレッソマシンは、直火式に比べてより高い圧力をかけて抽出することができるため、より濃厚に淹れられると言われる。
容器に紙コップなどを用いて濃縮原液を薄めて飲料を提供する方式の一部の飲料自動販売機には、エスプレッソマシンに似た機構が内蔵されており、
その都度豆を挽いていることを宣伝文句にしている場合もある。ただし、エスプレッソほど濃厚に抽出されているわけではない。
抽出に用いる水は深煎りのエスプレッソでは、渋味の成分がカルシウムなどに結びついて、
苦み、渋みが除かれまろやかさが増してコクが加わるので硬水を用いる事が望ましい[4][5]。
エスプレッソマシン
業務用のエスプレッソマシン
家庭用のエスプレッソマシン
電気式の自動エスプレッソマシンでは、まずエスプレッソ用に細かく挽かれた豆を、脱着可能なレバー形状のフィルターホルダー(スターバックス社ではラポートフィルターと呼称)
先端に装着しておいた金属製のバスケットの中へタンパーで押し込める。これをタンピングという。均等に押し込めたらマシンにセットし、圧力でコーヒー液を抽出する。
マシンによって仕上がりは異なるが、エスプレッソには黄金色の泡が浮かぶことがある。これはコーヒー豆の油分やタンパク質に由来するもので「クレマ」と呼ばれ、
甘さの元であると言われる。この上に砂糖を浮かべて飲み干す。
エスプレッソマシンには、抽出時間や圧力などを手動で調整するなど複雑な操作を必要とする物もあり、細かく要望に応じた味を引き出すことが出来る。
この技能に精通し、また以下に述べるバリエーションドリンクを淹れるにあたって、コーヒーに浮かべるフォームミルクに模様を入れる(ラテアート)など、専門の技能を持った者をバリスタと呼ぶ。
逆に、より簡便に利用できるように設計された、使い捨てカートリッジを用いるタイプのエスプレッソマシンもある。このカートリッジタイプのエスプレッソマシンは、
日本ではネスレ社のネスプレッソが普及している。欧州では複数の規格が存在し、互換性に問題が発生している。
イタリアのイリー社が開発し特許を取得したEasy Serving Espresso(E.S.E.)規格のカフェポッド(エスプレッソポッド)は、日本でも普及している。
「ポッド」とはエンドウマメのさやを意味する。カフェポッドはエスプレッソ1杯分に相当する約7gの豆を焙煎し挽いたものを紙パックにし適度な圧力をかけて整形されている。
適切に挽かれているだけでなくバスケット内部へのタンピングも不要であり、使用後も豆が散らずに片付けやすいため初心者にも扱いやすい。
バスケットは粉用と同じく金属製でフィルターホルダーより脱着可能だが厚みはより薄く、カフェポッド装着の上にゴム製の蓋を被せる。
メーカーによってはカフェポッドを個別包装して鮮度の面での差別化を図っている。様々なロースターが味に工夫を凝らしたカフェポッドを発売している。
サエコ社やデロンギ社では E.S.E. 規格(44mm径)、ネスレ社では自社開発であるネスプレッソ・カプセルに対応したエスプレッソマシンを販売している。
エスプレッソマシンの種類
抽出方法による分類
エスプレッソマシンは、抽出方法によりいつかの種類に大別できる。
蒸気式
比較的安価である。抽出方式は直火式と同様である。
ポンプ式
エスプレッソマシンとして最も普及しているタイプである。価格的には高級機から入門機まで、幅が広い。
エスプレッソに最適と言われるものは、9気圧の圧力をかけることができる。
レバーピストン式
レバー操作によって圧力をかけて抽出するため、抽出具合を見ながらの調整が可能である。最も趣味性の高いマシンともいえる。その分操作は難しく、高価なものが多い。
全自動式
本体にコーヒー豆を挽く機能が搭載されており、一連の抽出作業も含め全て単純なボタン操作のみで自動で行われる。
モバイル式(仮称)
フランス・ハンドプレッソ社の独自仕様で「ハンドプレッソ・ワイルド」という製品が存在する。器具に内蔵された手動ポンプを操作して16気圧に加圧し、
E.S.E.ポッドを使用、タンク内に蓄えられた湯を一気にE.S.E.ポッドを通すことで抽出する。抽出に器具を動作・過熱させる電源や熱源が不要のため、
湯があればどこでもクレマのあるエスプレッソを楽しむことができるとしている。なお湯は保温性の良い魔法瓶で保温していたものでもかまわない模様である。
摂氏80度以上が理想らしい。
コーヒー豆の使用方法による分類
コーヒー豆の使用方法によっても種類がある。
手動式
コーヒー豆をひいた粉を自分でフィルターに詰める、最も一般的なタイプ。豆の選択幅、汎用性が最も広い。
ポッド式
コーヒーの粉が紙フィルターにパックされているもの。取り扱いが簡便。手動式と兼用タイプのマシンもあり、対応する機種は比較的多い。
ネスプレッソ式
ネスレ社の独自規格。コーヒーの粉が特定のカプセルに詰められ、抽出には専用のマシンが必要となる。またカプセルもネスレ社以外からはほとんど発売されていない。
その他エスプレッソマシンのサイズとしては、家庭用の小型のものから業務用の大規模なものまで多様にある。
直火式
コンロ等であぶる直火式の抽出器(モカエキスプレス)
直火式の抽出器はコンロの上に直にエスプレッソの抽出器を置いて加熱し、熱を加えた際に発生する蒸気圧力によって抽出する方法である。
抽出器の底面が水タンクとなっており、下から熱を加える事で沸騰した湯が、自身の蒸気圧で加圧され、サイフォンの原理により器具内部にあるコーヒー豆粉末が詰められたフィルター部を通って、
本体上部に抽出されたコーヒーが溜まる仕組みになっている。抽出できる量は、器具の大きさによって決まり、一杯用から多人数用まで多様にある。
「モカエキスプレス」も参照
直火式の器具は電気式のエスプレッソマシンと比較した場合の特長として、器具が小さく構造が簡単であるため、総じて安価で置き場所も取らない点がある。
また、アルコールランプやアウトドアコンロ等でも抽出できるため、キャンプや登山など屋外で淹れることも可能である。
一方、せいぜい1.5気圧程度とエスプレッソマシンと比べると低い圧力で抽出しているため、多少抽出される成分に偏りがあり、香りの複雑さでは若干劣ると言われる。
器具によっては錘を利用した圧力弁により2~2.5気圧程度を得られるものもある。また、フィルターへのコーヒー豆のセットや水の充填・沸騰と、一回ごとに手間がかかる。
直火に器具を掛けて抽出する方式の器具の名称では、
「マキネッタ」(macchinetta)や大手メーカー製品の商品名である「モカ・エクスプレス」(Moka Express)、「直台式」、「直火式」、あるいは単にエスプレッソメーカーなどと呼ばれている。
また、直火式の器具も含めてエスプレッソマシンと言われることもある。マキネッタは元々、ナポリ式コーヒー用の転倒式抽出器(ナポレターナ)も含め小型のコーヒー抽出器を指す語だが、
日本では2000年代頃からこの直火に掛ける簡便なエスプレッソ抽出器を指す語として使われている模様である。
なお、エスプレッソとは本来、マシンで高圧抽出されたものだけを指し、直火式で抽出されたものは「モカ」と呼ばれて両者は全く別の飲み物として認識されている。
歴史
エスプレッソロースト(エスプレッソ用に深く煎られた豆)
1806年、ナポレオンがイギリス製品をボイコットする大陸封鎖令を発したことから、フランス植民地で砂糖やコーヒー豆が極端に不足した。
このことがきっかけでチコリコーヒー(チコリや穀物を焙煎した、カフェインを含まないコーヒー風味の飲み物)などの多くの代用品や、新しいコーヒー飲料が生まれることになる。
ゲーテもイタリア滞在の際には寄ったと言われるローマの「カフェ・グレコ」の3代目オーナー、サルヴィオーニは、苦肉の策としてそれまで出していたコーヒーの量を単純に3分の2にして、
価格を下げることで当座をしのいだ。これは多くの客に受け入れられ、グレコは多くの姉妹店を出した。これがデミタスカップの起源である。
ドリップコーヒーやサイフォン式のコーヒーのように圧力を一切かけずに抽出するのと違い、高圧力で抽出し濃厚なコーヒーを淹れる方法として、
エスプレッソマシンはデミタスカップの誕生から1世紀後の1901年にルイジ・ベゼラによって開発された。
この特許を買い取ったデジデリオ・パボーニが1906年のミラノ万国博覧会に<ベゼラ>という名前で出品したのがエスプレッソの起源であり、
1杯ずつ注文に応じて淹れる手法がトルココーヒーで既に定着していたイタリアで広く受け入れられた。
現在多く用いられている電気式のマシンは、1961年にエルネスト・バレンテによって開発された。
日本でエスプレッソドリンクが広く受け入れられるようになったのは、スターバックスをはじめとするシアトル系コーヒーショップがチェーン展開されたことが大きい。
エスプレッソの語源は「急速」との説と、「特別に、あなただけに」との説、「抽出する」という意味の動詞の過去分詞形から派生したとする説がある。
誰が最初に名付けたのかははっきりしていない。ただ、当時の時代背景から蒸気機関車の図版を用いて宣伝活動を行っていたエスプレッソマシンメーカーもあったことから、
「急速」のイメージは強く関わっていることがわかる。また、イタリア語の鉄道用語でエスプレッソは「急行」をさす。
バリエーション
アフォガート
エスプレッソは本来ストレート、または砂糖だけで飲むものであるが、牛乳などと組み合わせる飲み方もみられる。
• カフェ・ラッテ
• カフェ・オ・レ
• カプチーノ
• カフェ・マキアート
• キャラメル・マキアート
• カフェ・モカ
• エスプレッソ・アメリカーノ
• カフェ・フレッド・シェカラート
• コレット
• フラットホワイト
• アフォガート
イタリアではカフェといえばエスプレッソのことを基本的に指すため、カフェ・ラッテとはエスプレッソに牛乳を加えたものである。
「ラッテ(latte)」はイタリア語で「牛乳」の意である。日本ではドリップコーヒーに牛乳を加える飲み方を従来カフェ・オ・レと称した。
これに対しエスプレッソに牛乳を加えたメニューを紹介したアメリカのコーヒーチェーンに倣ってカフェ・ラッテの名称が広まったため、
“オ・レ”と“ラッテ”が区別されることになったと考えられる。
また、バリエーションドリンクに用いられる場合には、エスプレッソは「ショット」(shot)という単位で数える。
イタリアやフランスではもっともよく飲まれるコーヒーであり、イタリアでCaffèといえば普通エスプレッソのことをさす。特徴的な抽出方法により、風味が濃厚である。
使用するコーヒー豆が深煎りのため、焙煎工程で揮発し、抽出時間も短いことから、カフェインの含有量はドリップコーヒーに比べて少ないとする意見があるが[1]、
容量あたりのカフェイン含有量はエスプレッソの方がドリップコーヒーに比べて多い[2][3]。しかし、エスプレッソの一杯あたりの容量はドリップコーヒーに比べて少ないため、
通常はエスプレッソ一杯あたりのカフェイン含有量はドリップコーヒーよりも少ない。ただし、実際のカフェインの量はコーヒーの容量、コーヒー豆の産地、焙煎の方法やその他の条件によって異なる。
通常のエスプレッソは、一杯当たりコーヒー豆を7g程度使用する。14g程度使用したものはドッピオ(doppio、ダブルの意味)と呼び区別することもある。
クリームなどを加えて、カフェ・ラッテ、カプチーノ、カフェ・マキアート、キャラメル・マキアートなどのバリエーションもある。
抽出方法
エスプレッソの抽出には、電気式のエスプレッソマシン、もしくは、もっぱら家庭用のモカエキスプレスなどの専用の器具を用いた直火式がある。
電気式のエスプレッソマシンは、直火式に比べてより高い圧力をかけて抽出することができるため、より濃厚に淹れられると言われる。
容器に紙コップなどを用いて濃縮原液を薄めて飲料を提供する方式の一部の飲料自動販売機には、エスプレッソマシンに似た機構が内蔵されており、
その都度豆を挽いていることを宣伝文句にしている場合もある。ただし、エスプレッソほど濃厚に抽出されているわけではない。
抽出に用いる水は深煎りのエスプレッソでは、渋味の成分がカルシウムなどに結びついて、
苦み、渋みが除かれまろやかさが増してコクが加わるので硬水を用いる事が望ましい[4][5]。
エスプレッソマシン
業務用のエスプレッソマシン
家庭用のエスプレッソマシン
電気式の自動エスプレッソマシンでは、まずエスプレッソ用に細かく挽かれた豆を、脱着可能なレバー形状のフィルターホルダー(スターバックス社ではラポートフィルターと呼称)
先端に装着しておいた金属製のバスケットの中へタンパーで押し込める。これをタンピングという。均等に押し込めたらマシンにセットし、圧力でコーヒー液を抽出する。
マシンによって仕上がりは異なるが、エスプレッソには黄金色の泡が浮かぶことがある。これはコーヒー豆の油分やタンパク質に由来するもので「クレマ」と呼ばれ、
甘さの元であると言われる。この上に砂糖を浮かべて飲み干す。
エスプレッソマシンには、抽出時間や圧力などを手動で調整するなど複雑な操作を必要とする物もあり、細かく要望に応じた味を引き出すことが出来る。
この技能に精通し、また以下に述べるバリエーションドリンクを淹れるにあたって、コーヒーに浮かべるフォームミルクに模様を入れる(ラテアート)など、専門の技能を持った者をバリスタと呼ぶ。
逆に、より簡便に利用できるように設計された、使い捨てカートリッジを用いるタイプのエスプレッソマシンもある。このカートリッジタイプのエスプレッソマシンは、
日本ではネスレ社のネスプレッソが普及している。欧州では複数の規格が存在し、互換性に問題が発生している。
イタリアのイリー社が開発し特許を取得したEasy Serving Espresso(E.S.E.)規格のカフェポッド(エスプレッソポッド)は、日本でも普及している。
「ポッド」とはエンドウマメのさやを意味する。カフェポッドはエスプレッソ1杯分に相当する約7gの豆を焙煎し挽いたものを紙パックにし適度な圧力をかけて整形されている。
適切に挽かれているだけでなくバスケット内部へのタンピングも不要であり、使用後も豆が散らずに片付けやすいため初心者にも扱いやすい。
バスケットは粉用と同じく金属製でフィルターホルダーより脱着可能だが厚みはより薄く、カフェポッド装着の上にゴム製の蓋を被せる。
メーカーによってはカフェポッドを個別包装して鮮度の面での差別化を図っている。様々なロースターが味に工夫を凝らしたカフェポッドを発売している。
サエコ社やデロンギ社では E.S.E. 規格(44mm径)、ネスレ社では自社開発であるネスプレッソ・カプセルに対応したエスプレッソマシンを販売している。
エスプレッソマシンの種類
抽出方法による分類
エスプレッソマシンは、抽出方法によりいつかの種類に大別できる。
蒸気式
比較的安価である。抽出方式は直火式と同様である。
ポンプ式
エスプレッソマシンとして最も普及しているタイプである。価格的には高級機から入門機まで、幅が広い。
エスプレッソに最適と言われるものは、9気圧の圧力をかけることができる。
レバーピストン式
レバー操作によって圧力をかけて抽出するため、抽出具合を見ながらの調整が可能である。最も趣味性の高いマシンともいえる。その分操作は難しく、高価なものが多い。
全自動式
本体にコーヒー豆を挽く機能が搭載されており、一連の抽出作業も含め全て単純なボタン操作のみで自動で行われる。
モバイル式(仮称)
フランス・ハンドプレッソ社の独自仕様で「ハンドプレッソ・ワイルド」という製品が存在する。器具に内蔵された手動ポンプを操作して16気圧に加圧し、
E.S.E.ポッドを使用、タンク内に蓄えられた湯を一気にE.S.E.ポッドを通すことで抽出する。抽出に器具を動作・過熱させる電源や熱源が不要のため、
湯があればどこでもクレマのあるエスプレッソを楽しむことができるとしている。なお湯は保温性の良い魔法瓶で保温していたものでもかまわない模様である。
摂氏80度以上が理想らしい。
コーヒー豆の使用方法による分類
コーヒー豆の使用方法によっても種類がある。
手動式
コーヒー豆をひいた粉を自分でフィルターに詰める、最も一般的なタイプ。豆の選択幅、汎用性が最も広い。
ポッド式
コーヒーの粉が紙フィルターにパックされているもの。取り扱いが簡便。手動式と兼用タイプのマシンもあり、対応する機種は比較的多い。
ネスプレッソ式
ネスレ社の独自規格。コーヒーの粉が特定のカプセルに詰められ、抽出には専用のマシンが必要となる。またカプセルもネスレ社以外からはほとんど発売されていない。
その他エスプレッソマシンのサイズとしては、家庭用の小型のものから業務用の大規模なものまで多様にある。
直火式
コンロ等であぶる直火式の抽出器(モカエキスプレス)
直火式の抽出器はコンロの上に直にエスプレッソの抽出器を置いて加熱し、熱を加えた際に発生する蒸気圧力によって抽出する方法である。
抽出器の底面が水タンクとなっており、下から熱を加える事で沸騰した湯が、自身の蒸気圧で加圧され、サイフォンの原理により器具内部にあるコーヒー豆粉末が詰められたフィルター部を通って、
本体上部に抽出されたコーヒーが溜まる仕組みになっている。抽出できる量は、器具の大きさによって決まり、一杯用から多人数用まで多様にある。
「モカエキスプレス」も参照
直火式の器具は電気式のエスプレッソマシンと比較した場合の特長として、器具が小さく構造が簡単であるため、総じて安価で置き場所も取らない点がある。
また、アルコールランプやアウトドアコンロ等でも抽出できるため、キャンプや登山など屋外で淹れることも可能である。
一方、せいぜい1.5気圧程度とエスプレッソマシンと比べると低い圧力で抽出しているため、多少抽出される成分に偏りがあり、香りの複雑さでは若干劣ると言われる。
器具によっては錘を利用した圧力弁により2~2.5気圧程度を得られるものもある。また、フィルターへのコーヒー豆のセットや水の充填・沸騰と、一回ごとに手間がかかる。
直火に器具を掛けて抽出する方式の器具の名称では、
「マキネッタ」(macchinetta)や大手メーカー製品の商品名である「モカ・エクスプレス」(Moka Express)、「直台式」、「直火式」、あるいは単にエスプレッソメーカーなどと呼ばれている。
また、直火式の器具も含めてエスプレッソマシンと言われることもある。マキネッタは元々、ナポリ式コーヒー用の転倒式抽出器(ナポレターナ)も含め小型のコーヒー抽出器を指す語だが、
日本では2000年代頃からこの直火に掛ける簡便なエスプレッソ抽出器を指す語として使われている模様である。
なお、エスプレッソとは本来、マシンで高圧抽出されたものだけを指し、直火式で抽出されたものは「モカ」と呼ばれて両者は全く別の飲み物として認識されている。
歴史
エスプレッソロースト(エスプレッソ用に深く煎られた豆)
1806年、ナポレオンがイギリス製品をボイコットする大陸封鎖令を発したことから、フランス植民地で砂糖やコーヒー豆が極端に不足した。
このことがきっかけでチコリコーヒー(チコリや穀物を焙煎した、カフェインを含まないコーヒー風味の飲み物)などの多くの代用品や、新しいコーヒー飲料が生まれることになる。
ゲーテもイタリア滞在の際には寄ったと言われるローマの「カフェ・グレコ」の3代目オーナー、サルヴィオーニは、苦肉の策としてそれまで出していたコーヒーの量を単純に3分の2にして、
価格を下げることで当座をしのいだ。これは多くの客に受け入れられ、グレコは多くの姉妹店を出した。これがデミタスカップの起源である。
ドリップコーヒーやサイフォン式のコーヒーのように圧力を一切かけずに抽出するのと違い、高圧力で抽出し濃厚なコーヒーを淹れる方法として、
エスプレッソマシンはデミタスカップの誕生から1世紀後の1901年にルイジ・ベゼラによって開発された。
この特許を買い取ったデジデリオ・パボーニが1906年のミラノ万国博覧会に<ベゼラ>という名前で出品したのがエスプレッソの起源であり、
1杯ずつ注文に応じて淹れる手法がトルココーヒーで既に定着していたイタリアで広く受け入れられた。
現在多く用いられている電気式のマシンは、1961年にエルネスト・バレンテによって開発された。
日本でエスプレッソドリンクが広く受け入れられるようになったのは、スターバックスをはじめとするシアトル系コーヒーショップがチェーン展開されたことが大きい。
エスプレッソの語源は「急速」との説と、「特別に、あなただけに」との説、「抽出する」という意味の動詞の過去分詞形から派生したとする説がある。
誰が最初に名付けたのかははっきりしていない。ただ、当時の時代背景から蒸気機関車の図版を用いて宣伝活動を行っていたエスプレッソマシンメーカーもあったことから、
「急速」のイメージは強く関わっていることがわかる。また、イタリア語の鉄道用語でエスプレッソは「急行」をさす。
バリエーション
アフォガート
エスプレッソは本来ストレート、または砂糖だけで飲むものであるが、牛乳などと組み合わせる飲み方もみられる。
• カフェ・ラッテ
• カフェ・オ・レ
• カプチーノ
• カフェ・マキアート
• キャラメル・マキアート
• カフェ・モカ
• エスプレッソ・アメリカーノ
• カフェ・フレッド・シェカラート
• コレット
• フラットホワイト
• アフォガート
イタリアではカフェといえばエスプレッソのことを基本的に指すため、カフェ・ラッテとはエスプレッソに牛乳を加えたものである。
「ラッテ(latte)」はイタリア語で「牛乳」の意である。日本ではドリップコーヒーに牛乳を加える飲み方を従来カフェ・オ・レと称した。
これに対しエスプレッソに牛乳を加えたメニューを紹介したアメリカのコーヒーチェーンに倣ってカフェ・ラッテの名称が広まったため、
“オ・レ”と“ラッテ”が区別されることになったと考えられる。
また、バリエーションドリンクに用いられる場合には、エスプレッソは「ショット」(shot)という単位で数える。
名前の由来
カップッチーノ(カプチーノ)という言葉は、元来はカトリック教会の一派であるカプチン会の修道士のことを指し、
彼等が着るフードのついた修道服、カップッチョ(cappuccio、「頭巾、フード」の意)にちなむとされる。
イタリアでカップッチーノ(カプチーノ)はカップッチョとも呼ばれている。より具体的には、カップッチーノ(カプチーノ)の茶色が修道士の服の色と似ていたから、
という説や、エスプレッソに浮かんだミルクの泡を蓋に見立てたから(cappuccioには「蓋」の意味もある)
という説、さらに白い泡をコーヒーが囲む様子が、頭頂部のみを剃髪した修道士の髪型に似ているから、という説もある。
カプチーノのミルク
カプチーノにはエスプレッソとともに、スチームミルク(スチームドミルク、蒸気で温められたミルク)とフォームミルク(フォームドミルク、蒸気で泡立てられたミルク)
との両方を用いる。これらのミルクを用意するには、エスプレッソマシンやミルクフォーマーなどを使い、熱すぎない温度で手早く撹拌することが必要になる。
一般的には、カプチーノにおけるエスプレッソ、スチームミルク、フォームミルクの割合は1:1:1とされるが、店や客の好みによっても差異がある。
カプチーノ・キアロ
エスプレッソに対してミルクの割合が多いもの。「キアロ」はイタリア語で「明るい」の意。色が「淡い」の意とも考えられる。
カプチーノ・スクーロ
エスプレッソに対してミルクの割合が少ないもの。「スクーロ」はイタリア語で「暗い」の意。色が「濃い」の意とも考えられる。
ウェット・カプチーノ
フォームミルクよりスチームミルクの割合が多いもの。液体のミルクの分量が多いのでとろっとしている。全くフォームミルクを入れないものはセンツァ・スキューマ(「泡なし」の意)と呼ぶ。
ドライ・カプチーノ
スチームミルクよりフォームミルクの割合が多いもの。ミルクの泡が多いのでふわっとしている。
その他のバリエーション
カプチーノにはトッピングの違いによってもさまざまな種類がある。
カプチーノ・コン・カカオ
ココアパウダーをかけたもの。
キャラメル・カプチーノ
キャラメルシロップを加えたもの。
ヘーゼルナッツ・カプチーノ
ヘーゼルナッツシロップを加えたもの。
牛乳以外の乳製品を用いたカプチーノもある。
ソイチーノ
豆乳を用いたもの。
スキニチーノ
スキムミルクを用いたもの。
カプチーノ・フレッド(アイスカプチーノ)
冷たいカプチーノ。ローマやギリシャで飲まれる。
カプチーノに類似したエスプレッソのバリエーションには以下のものがある。カプチーノとこれらとの違いは、どのようなミルクを入れているか、またその分量はどれくらいか、という差によって生じる。
カフェ・ラッテ
エスプレッソにスチームミルクをたっぷりと用いる。
カフェ・マキアート
エスプレッソに対し、フォームドミルクを少量たらすように加える。
カフェ・コン・パンナ
エスプレッソの上にホイップクリームを浮かべたもので、ミルクは使用しない。しばしばココアパウダーをかける。
カフェ・モカ
カフェ・コン・パンナにチョコレートシロップを加えたもの。
カプチーノの飲み方
イタリアでは、喫茶店やカフェにあたるバールで、朝にクロワッサンやブリオッシュなどとともに飲まれることが多い。イタリアにおいてカプチーノが飲まれるのは、朝食時にほぼ限られる。
日本におけるカプチーノは当初、ドリップコーヒーに牛乳またはホイップクリームを加え、シナモンをふったりシナモンスティックを添えたりするのが一般的であった。これはエスプレッソ自体が普及していなかったことと、コーヒー文化の移入が主にアメリカ経由であったためと考えられる。1996年以降、エスプレッソによるバリエーションコーヒーを主力としたシアトル系コーヒー店が日本に進出、チェーンを拡大すると、それにともなって、本来の形式のカプチーノが日本でも広く認識されるようになった。
目で楽しむカプチーノ
デザインカプチーノ
バリスタがカプチーノの泡の表面にエッチングを行ったりココアパウダーを振り掛けたりして描く文様やイラストなどをデザインカプチーノと呼ぶ。
カプチーノが温かく泡が消えないうちに素早く美しく描くことが求められるため、高度な技術が必要とされる。
一方、エスプレッソにミルクを注いでハートやリーフの模様を描いたものをラテアートとして区別する。
カップッチーノ(カプチーノ)という言葉は、元来はカトリック教会の一派であるカプチン会の修道士のことを指し、
彼等が着るフードのついた修道服、カップッチョ(cappuccio、「頭巾、フード」の意)にちなむとされる。
イタリアでカップッチーノ(カプチーノ)はカップッチョとも呼ばれている。より具体的には、カップッチーノ(カプチーノ)の茶色が修道士の服の色と似ていたから、
という説や、エスプレッソに浮かんだミルクの泡を蓋に見立てたから(cappuccioには「蓋」の意味もある)
という説、さらに白い泡をコーヒーが囲む様子が、頭頂部のみを剃髪した修道士の髪型に似ているから、という説もある。
カプチーノのミルク
カプチーノにはエスプレッソとともに、スチームミルク(スチームドミルク、蒸気で温められたミルク)とフォームミルク(フォームドミルク、蒸気で泡立てられたミルク)
との両方を用いる。これらのミルクを用意するには、エスプレッソマシンやミルクフォーマーなどを使い、熱すぎない温度で手早く撹拌することが必要になる。
一般的には、カプチーノにおけるエスプレッソ、スチームミルク、フォームミルクの割合は1:1:1とされるが、店や客の好みによっても差異がある。
カプチーノ・キアロ
エスプレッソに対してミルクの割合が多いもの。「キアロ」はイタリア語で「明るい」の意。色が「淡い」の意とも考えられる。
カプチーノ・スクーロ
エスプレッソに対してミルクの割合が少ないもの。「スクーロ」はイタリア語で「暗い」の意。色が「濃い」の意とも考えられる。
ウェット・カプチーノ
フォームミルクよりスチームミルクの割合が多いもの。液体のミルクの分量が多いのでとろっとしている。全くフォームミルクを入れないものはセンツァ・スキューマ(「泡なし」の意)と呼ぶ。
ドライ・カプチーノ
スチームミルクよりフォームミルクの割合が多いもの。ミルクの泡が多いのでふわっとしている。
その他のバリエーション
カプチーノにはトッピングの違いによってもさまざまな種類がある。
カプチーノ・コン・カカオ
ココアパウダーをかけたもの。
キャラメル・カプチーノ
キャラメルシロップを加えたもの。
ヘーゼルナッツ・カプチーノ
ヘーゼルナッツシロップを加えたもの。
牛乳以外の乳製品を用いたカプチーノもある。
ソイチーノ
豆乳を用いたもの。
スキニチーノ
スキムミルクを用いたもの。
カプチーノ・フレッド(アイスカプチーノ)
冷たいカプチーノ。ローマやギリシャで飲まれる。
カプチーノに類似したエスプレッソのバリエーションには以下のものがある。カプチーノとこれらとの違いは、どのようなミルクを入れているか、またその分量はどれくらいか、という差によって生じる。
カフェ・ラッテ
エスプレッソにスチームミルクをたっぷりと用いる。
カフェ・マキアート
エスプレッソに対し、フォームドミルクを少量たらすように加える。
カフェ・コン・パンナ
エスプレッソの上にホイップクリームを浮かべたもので、ミルクは使用しない。しばしばココアパウダーをかける。
カフェ・モカ
カフェ・コン・パンナにチョコレートシロップを加えたもの。
カプチーノの飲み方
イタリアでは、喫茶店やカフェにあたるバールで、朝にクロワッサンやブリオッシュなどとともに飲まれることが多い。イタリアにおいてカプチーノが飲まれるのは、朝食時にほぼ限られる。
日本におけるカプチーノは当初、ドリップコーヒーに牛乳またはホイップクリームを加え、シナモンをふったりシナモンスティックを添えたりするのが一般的であった。これはエスプレッソ自体が普及していなかったことと、コーヒー文化の移入が主にアメリカ経由であったためと考えられる。1996年以降、エスプレッソによるバリエーションコーヒーを主力としたシアトル系コーヒー店が日本に進出、チェーンを拡大すると、それにともなって、本来の形式のカプチーノが日本でも広く認識されるようになった。
目で楽しむカプチーノ
デザインカプチーノ
バリスタがカプチーノの泡の表面にエッチングを行ったりココアパウダーを振り掛けたりして描く文様やイラストなどをデザインカプチーノと呼ぶ。
カプチーノが温かく泡が消えないうちに素早く美しく描くことが求められるため、高度な技術が必要とされる。
一方、エスプレッソにミルクを注いでハートやリーフの模様を描いたものをラテアートとして区別する。
概要
カフェ・ラッテ(Caffè Latte)という語は、元来は「コーヒー・牛乳」という意味のイタリア語である。
より発音に忠実に転写すれば「カッフェ・ラッテ」となる。イタリア語では、カッフェッラッテ(Caffellatte)と続けたり、
カッフェ・エ・ラッテ(Caffè e Latte:「コーヒーと牛乳」)とも言う。
イタリア・ヴェネツィアにある喫茶店カッフェ・フローリアンが発祥の地。
カフェ・オ・レとの違い
イタリアではコーヒーと牛乳を混ぜていればカフェ・ラッテであるが、
イタリアのコーヒーは一般的にエスプレッソ形式で供されるため、カフェ・ラッテもエスプレッソ+スチームミルクの組合せとなる。
ちなみに、フォームミルクを加えた(エスプレッソ:スチームミルク:フォームミルク=1:1:1)ものがカプチーノである。
カフェ・オ・レは、エスプレッソではなくドリップコーヒーを用いる。
各国の呼称
イタリア
イタリアでは観光客の多いカフェ以外ではカフェラテのメニューは一般的ではなく、イタリアで「ラテ」と注文するとそのまま牛乳がでてくる[1][2]。
同じ「コーヒー+牛乳」でも、イタリアでは、バーではカフェ・マッキャート(caffè macchiato)と呼ぶエスプレッソに牛乳をたらしたもののほうが比較的一般的。
ちなみにカフェ・マッキャートの語源は、エスプレッソにたらした牛乳がしみ(イタリア語でmacchiato)のようだから。
たっぷりのミルクに、少しだけコーヒーを注いだものはラッテ・マッキャートと呼ばれる。ミルクたっぷりの温かいコーヒー牛乳といった感じだが、
バーではコーヒーカップではなく、グラスに注がれることが多い。
アメリカ
アメリカでは単にラテと略され、エスプレッソとスチームミルクを用いるのが一般。スターバックス等のアメリカ式のコーヒー店で供されるものは後者で、
日本では英語式の発音に基づきカフェ・ラテ又はカフェラテと表記されることが多い。
スターバックスなどのアメリカ式のコーヒー店では、エスプレッソに単に温めた牛乳ではなくスチームミルク(蒸気で微細な気泡を加えながら温められたミルク)を加えたものが供される。
このアメリカ式のカフェラテは1959年にカリフォルニア州バークレーのCaffe Mediterraneumで出されたのが初だとする[3]。
少量でケチケチしているという客のクレームにこたえる形で最初はガラスのフルーツボウルで出された[4]。
アメリカなどではイタリアのものと同様にCaffè Latteと表記されるが、発音は「カフェ・ラテ」に近い。
日本ではこの発音を日本語に転写して、「カフェ・ラテ」と表記されることが多い。
この種のものは、イタリアでは[要出典]カプチーノの一種であるウェット・カプチーノやセンツァ・スキューマと呼ばれる。
日本
日本では、森永乳業が1991年に「カフェラッテ」を商標登録している(商標登録第2334877号)。
1996年に日本に進出したスターバックスに代表されるアメリカ式のカフェバーが浸透し始めるとともに、
アメリカ式の発音の「カフェラテ」という表記も多く使用されるようになった。
セブンイレブンでは、2015年6月24日からセブンカフェアイスカフェラテを販売しているが、
ドリップコーヒーを用いているためカフェラテではなくカフェオレである[5]。
カフェ・ラッテ(Caffè Latte)という語は、元来は「コーヒー・牛乳」という意味のイタリア語である。
より発音に忠実に転写すれば「カッフェ・ラッテ」となる。イタリア語では、カッフェッラッテ(Caffellatte)と続けたり、
カッフェ・エ・ラッテ(Caffè e Latte:「コーヒーと牛乳」)とも言う。
イタリア・ヴェネツィアにある喫茶店カッフェ・フローリアンが発祥の地。
カフェ・オ・レとの違い
イタリアではコーヒーと牛乳を混ぜていればカフェ・ラッテであるが、
イタリアのコーヒーは一般的にエスプレッソ形式で供されるため、カフェ・ラッテもエスプレッソ+スチームミルクの組合せとなる。
ちなみに、フォームミルクを加えた(エスプレッソ:スチームミルク:フォームミルク=1:1:1)ものがカプチーノである。
カフェ・オ・レは、エスプレッソではなくドリップコーヒーを用いる。
各国の呼称
イタリア
イタリアでは観光客の多いカフェ以外ではカフェラテのメニューは一般的ではなく、イタリアで「ラテ」と注文するとそのまま牛乳がでてくる[1][2]。
同じ「コーヒー+牛乳」でも、イタリアでは、バーではカフェ・マッキャート(caffè macchiato)と呼ぶエスプレッソに牛乳をたらしたもののほうが比較的一般的。
ちなみにカフェ・マッキャートの語源は、エスプレッソにたらした牛乳がしみ(イタリア語でmacchiato)のようだから。
たっぷりのミルクに、少しだけコーヒーを注いだものはラッテ・マッキャートと呼ばれる。ミルクたっぷりの温かいコーヒー牛乳といった感じだが、
バーではコーヒーカップではなく、グラスに注がれることが多い。
アメリカ
アメリカでは単にラテと略され、エスプレッソとスチームミルクを用いるのが一般。スターバックス等のアメリカ式のコーヒー店で供されるものは後者で、
日本では英語式の発音に基づきカフェ・ラテ又はカフェラテと表記されることが多い。
スターバックスなどのアメリカ式のコーヒー店では、エスプレッソに単に温めた牛乳ではなくスチームミルク(蒸気で微細な気泡を加えながら温められたミルク)を加えたものが供される。
このアメリカ式のカフェラテは1959年にカリフォルニア州バークレーのCaffe Mediterraneumで出されたのが初だとする[3]。
少量でケチケチしているという客のクレームにこたえる形で最初はガラスのフルーツボウルで出された[4]。
アメリカなどではイタリアのものと同様にCaffè Latteと表記されるが、発音は「カフェ・ラテ」に近い。
日本ではこの発音を日本語に転写して、「カフェ・ラテ」と表記されることが多い。
この種のものは、イタリアでは[要出典]カプチーノの一種であるウェット・カプチーノやセンツァ・スキューマと呼ばれる。
日本
日本では、森永乳業が1991年に「カフェラッテ」を商標登録している(商標登録第2334877号)。
1996年に日本に進出したスターバックスに代表されるアメリカ式のカフェバーが浸透し始めるとともに、
アメリカ式の発音の「カフェラテ」という表記も多く使用されるようになった。
セブンイレブンでは、2015年6月24日からセブンカフェアイスカフェラテを販売しているが、
ドリップコーヒーを用いているためカフェラテではなくカフェオレである[5]。
コーヒー豆
コーヒー豆(コーヒーまめ、英: Coffee bean)は、コーヒーノキから採取される種子のこと。生産されたままの生の状態である生豆と、加熱加工された焙煎豆に大別される。
焙煎・粉砕したコーヒー豆を湯や水で抽出したものは、コーヒーと呼ばれ、嗜好飲料として世界中で愛飲されている。また、焙煎豆を菓子としてそのまま食することもある(チョコレートなどでコーティングすることが多い)。
分類[編集]
一般にコーヒー豆と呼ばれるものは、その加工された状態によって生豆と焙煎豆に大別できる。
生豆[編集]
生豆はなままめ、あるいはきまめと発音される。一般には「きまめ」と読まれることが多いが、コーヒー業界での専門用語としては「なままめ」と呼ばれることの方が多い。これ以外にグリーン、グリーン・コーヒーと呼ばれることもある。
生豆は、まだ焙煎されていない生のコーヒー豆である。コーヒーの果実から果肉と内果皮(種皮、パーチメントとも呼ばれる)を取り除いた(精製された)状態で、厳密には種子そのものではなく胚乳と胚芽を合わせた部分を指す。通常、コーヒー豆はこの生豆の状態で生産地から消費国に輸出され、消費国にあるロースターと呼ばれる焙煎業者や、コーヒー豆販売業者、喫茶店主などの手で焙煎されることが多い。ただし一部は生豆の状態で、自家焙煎を行う消費者に販売されている。
生豆は収穫された年度によって以下のように分類されることがある。生豆の収穫年度は毎年10月1日を初日として計算される。[1]
ニュークロップ
その年度に収穫され出荷された新しいコーヒー豆。特に10月に新しい収穫年度になってから呼ばれることが多い。
カレントクロップ
最新の収穫年度に得られたコーヒー豆。ニュークロップと同じものを指す場合もあるが10月から時期が経過した場合にこう呼ぶ場合が多い。
パーストクロップ
前年度に収穫されたコーヒー豆。
オールドクロップ
広義にはそれ以前に収穫されたコーヒー豆を指す。ただし狭義にはパーチメントコーヒーの状態で数年保管していたものに対する銘柄として扱われる。なおこの狭義のオールドクロップに相当するコーヒー豆は現在ではほとんど入手不可能と言われる。
オールドビーンズ
狭義のオールドクロップとの混同を避けるため、広義のオールドクロップに相当する言葉として作られたもの。ふるまめ。
生豆は新しいほど緑色が強く、時間が経過するにつれて黄褐色に変化していく。ただしコーヒー豆の精製方法によっても色調が異なるため、色だけから判別することは出来ない。また時間が経過することにより、生豆の含水量が徐々に低下し、ロット内でのばらつきが少なくなると言われる。このため、古い生豆の方が焙煎のときに失敗することが少ないと言われている。
香味についても、新しい生豆と古い生豆では異なると言われている。一般に、新しい生豆は良くも悪くも豆の個性がはっきりとしていて香りにも優れていると言われ、古い生豆は個性に欠けるが味に落ち着きがあると表現されることが多い。どちらを嗜好するかは人それぞれであり、一概にどちらかが優れていると結論付けることは出来ない。
焙煎豆[編集]
焙煎したコーヒー豆
焙煎豆(ばいせんまめ)は、生豆に対して焙煎と呼ばれる加熱処理を施したものである。焙煎によって生豆に含まれている成分が化学変化を起こし、その結果、我々が口にするコーヒーの味や香り、色などが初めて生み出される。 ロースターの手で焙煎された焙煎豆は中間卸業者あるいは喫茶店に卸売りされ、そこから消費者の手に届けられる。このとき焙煎そのままの形で販売される他、さらに粉砕加工を行った後で販売されることもある。また生豆の仕入れ、焙煎(10kg程度までの焙煎釜を用いる)から販売までを一つの店舗で行ったり、仕入れた生豆を顧客の注文に応じて1kg以下の小型の焙煎機を用いて客の好みの焙煎で仕上げて販売するような個人経営の店舗も近年になり増えてきている。これらの形態の店舗は「自家焙煎(店)」と呼ばれている。
焙煎豆はその焙煎の度合いによってさらに分類される。この焙煎の度合いのことを焙煎度といい、焙煎度の低いものを浅煎り、高いものを深煎りと呼ぶ。浅煎りされたコーヒー豆は薄い褐色で、深煎りへと進行するにつれて黒褐色へと変化し表面に油がにじみ出てくる。浅煎りと深煎りの中間にあたるものを中煎りと呼ぶこともあるが、これらは相対的な呼び名であって明確に定められているものではなく、販売店舗などによっても異なる。また、日本では以下の8段階(浅煎り→深煎りの順)の焙煎度を用いる場合もある。
コーヒーの焙煎度(生豆、ライト→イタリアンの順)
• ライト (light)
• シナモン (cinnamon)
• ミディアム (medium)
• ハイ (high)
• シティ (city)
• フルシティ (Full city)
• フレンチ (French)
• イタリアン (Italian)
甘みのある豆の場合、深煎りにするとその風味が弱めてしまう。浅煎りの方がカフェインが多く含まれている。 一般に、浅煎りは香りや酸味に優れ深煎りは苦味に優れると言われているが、嗜好の問題であるため、総合的に見てどちらかが優れているということは特にない。
コーヒー豆の生産[編集]
焙煎前のロブスタコーヒー豆
主要生産国の大規模コーヒー農園を中心に、全世界で1000万ヘクタールの土地で150億本のコーヒーノキが栽培されていると概算され、主要産地は北緯25~南緯25度までの熱帯と亜熱帯に集中し「コーヒーベルト」と呼ばれる。 なるべく多く生産するためには(1ヘクタール当たり熟した実で16トン、あるいは1エーカー当たり15,000ポンド)、農園は大量の水および肥料を必要とする。
国際市場での生産国は60ヶ国ほどで、生産量はブラジルが3分の1を占め、ベトナムが15%で2位となっている。1999年まで世界2位だったコロンビアは近年生産量が減少し、2008年にインドネシアに抜かれ4位となっている。5位は年によってインド、エチオピア、メキシコが入れ替わっている。
生産国によってはコーヒーの木とそのコーヒー豆生産品種が偏っていて、アラビカ種中心がコロンビア、グアテマラなどの中南米諸国、パプアニューギニア、エチオピア、ケニアなど。ロブスタ種中心がベトナム、タイ、コートジボワール、ザンビアなど。 ブラジル、インドネシア、インド、メキシコ、タンザニアなどでは両種が生産されている。
日本でも小笠原諸島や沖縄で明治時代から生産が試みられ、現在も小規模ながら生産・販売が行われている。[2]
生産地と銘柄[編集]
コーヒー豆の名前(銘柄)は、伝統的に産地(生産地、集積・出荷地)に基づいている。
• 国名:コロンビア、ケニア、ブラジル、グアテマラなど
• 山域:キリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテンなど
• 積出港:モカ、サントスなど
• 栽培地名:コナ、マンデリン、ジャワなど
• 種名や栽培品種名:ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントスなど
• 選別等級:ブラジルNo.2、タンザニアAAなど
これに対し、1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、さらに特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつある。
主な銘柄と産地[編集]
代表的なコーヒー豆の銘柄と、その主要産地をかっこ内に示す。なお、味に関してはコーヒーを参照のこと。
アフリカ・中東[編集]
• キリマンジャロ(タンザニア):キボー(Kibo)という産地が有名
• ケニア(ケニア):ドイツなどヨーロッパではタンザニア産とともに一般的な銘柄
• モカ(エチオピア):モカの大部分を占め、シダモ、ハラー、ディマ、レケンプティなどがある
• モカ(イエメン):モカ・マタリと呼ばれ、日本で人気が高い
• ジンバブウェ(ジンバブエ)
• マラウィ(マラウイ)
• ブルンディ(ブルンジ)
• ザンビア(ザンビア)
• ウガンダ(ウガンダ)
アジア[編集]
• インドネシア(インドネシア):歴史が古く、有名な銘柄も多い。
• トラジャ(スラウェシ島):カロシとも言う。
• マンデリン(スマトラ島):リントンやトバコなどの産地が有名。
• ジャワコーヒー(ジャワ島):生産量の大半を占めるロブスタ種ではなく、アラビカ種を指す。
• インド(南インド):400年の歴史があり、世界中のコーヒー産地の中でも有数の歴史と伝統を誇る。有名な銘柄としてプランテーションがある。
• モンスーン・コーヒー:森林農法で栽培され、シェードツリーと言われる高木の果樹とともに植えられ、森の生態系を活かしながら有機的な農法で育てられ、伝統的な手摘みにより収穫、選別される。高湿度のモンスーン(季節風)を利用したユニークな発酵プロセスや独自の洗浄技術が培われている。こうしてできた「モンスーン・コーヒー」はヨーロッパ、特に北欧で人気が高い。
• パプアニューギニア(パプアニューギニア):銘柄としては農園名(シグリ、プローサ)などが付加される。
• フィリピン共和国:バギオ山岳地帯が一大産地。ほかバタンガスやミンダナオ島の山岳地帯。アラブ諸国をメインに輸出している。
• 東ティモール(東ティモール):ほぼ唯一の輸出農産物で品質もよいが、出荷量は少ない。
• ラオス(ラオス):最大の輸出農産物で、高品位銘柄(エレファントマウンテンなど)もある。
• 中華人民共和国(雲南省):最大のコーヒー産地コロンビアと同じ低緯度地域にあり、小粒種コーヒーの生産に適しており、2012年現在、アジアで最も大きく、高品質の小粒品種産地となっている。特に茶でも名を知られるプーアル市で盛ん。きっかけは2007年ごろに起こったプーアル茶の投機相場で、価格が乱高下し農家は天国と地獄を味わった教訓から、多種類の収穫物を作りリスク分散を図るべきだとの考えに基づき、コーヒーが注目された。スターバックスをはじめネスレなど大手企業がプーアル市政府と協力覚書に調印した。2010年、ネスレがプーアル市で調達したコーヒーは8000tであったがその後急速に伸びている。同社は1988年から雲南省でコーヒーの実験栽培を開始、直後には雲南でのコーヒー栽培を正式に決定した。その後2012年までに5000万元を投資し、5100人以上の研修生を受け入れている。2012年現在では世界の5大コーヒーメーカーであるネスレ、マックスウェル[要曖昧さ回避](アメリカ)、クラフト(アメリカ)、ニューマン(ドイツ)、イカム(イタリア)はすべて雲南省に進出しているほか、日本のUCC上島珈琲やシンガポール、台湾の企業も進出している。プーアル市の2011年の生産量は2.85万t、中国全土の57.5%を占め売上高は、8.55億元。さらに雲南省では2011年からの第12次5ヵ年計画期間で、コーヒー産業に30億元の投資を行いコーヒー豆の生産量を年20万tまで増やすと発表した[3]。
• ベトナム(ベトナム):加工用のロブスタ種が生産の中心だが、アラビカ種も作られ始めている。
• ベトナムは1999年にコロンビアを抜き、ブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産国になっている。旧宗主国フランスの手法を取り入れた、ベトナムコーヒーという淹れ方がある。
ハワイ・オセアニア[編集]
• コナ(ハワイ島):カウアイ島やマウイ島でもコーヒーが作られている。
• ニューカレドニア(ニューカレドニア):アラビカ種のほか、リロイという希少種が生産されている。
• タンナ(バヌアツ・タンナ島):1860年からコーヒー栽培開始、2002年に生産者組合を立ち上げ、栽培が本格化している。
カリブ海諸国[編集]
• ブルーマウンテン(ジャマイカ):ブランド戦略による高級品で、偽物の方が多い。
• クリスタルマウンテン(キューバ):高級ブランド
• ドミニカ(ドミニカ共和国):主要農産物で多数の銘柄がある。
• ドミニカ国も少量輸出している。
• ハイチコーヒー(ハイチ):独立後、サトウキビのプランテーションが打ち棄てられると、唯一外貨を獲得できる商品はコーヒーとなった。ハイチ・コーヒーは紛れもなく高級品である。
中央アメリカ[編集]
• メキシコ(メキシコ):中米最大の生産量で銘柄も多い。
• グァテマラ(グアテマラ):メキシコに次ぐ生産量。
• サルバドル(エルサルバドル)
• ホンジュラス(ホンジュラス)
• ニカラグア(ニカラグア)
• コスタリカ(コスタリカ)
• パナマ(パナマ)
南アメリカ[編集]
• ブラジル(ブラジル):No.2が最高級品で、欠点豆は300g(約2千粒)あたり4個以内と規定されている。
• コロンビア(コロンビア):最高級品はスプレモ(Supremo)。
• ベネスエラ(ベネズエラ):1910年代から産油国となり、コーヒー生産は廃れた。
• ペルー(ペルー):最高級品はESHP(Electronic Sorted & Hand Picked)
• ボリビア(ボリビア)
生産量[編集]
2011 コーヒー豆のの生産量国トップ 20
順位 国 生産量トン数[4] 千袋 [5] 市場占有率
1 ブラジル 2,609,040 43,484 33.1%
2 ベトナム 1,200,000 20,000 15.2%
3 インドネシア 495,000 8,250 6.3%
4 コロンビア 468,000 7,800 5.9%
5 エチオピア 390,000 6,500 5.0%
6 ペルー 326,580 5,443 4.1%
7 インド 319,980 5,333 4.1%
8 ホンジュラス 270,000 4,500 3.4%
9 メキシコ 258,000 4,300 3.3%
10 グアテマラ 225,000 3,750 2.9%
11 ウガンダ 192,720 3,212 2.4%
12 ニカラグア 126,000 2,100 1.6%
13 コスタリカ 107,940 1,799 1.4%
14 コートジボワール 96,000 1,600 1.2%
15 パプアニューギニア 84,900 1,415 1.1%
16 エルサルバドル 70,500 1,175 0.90%
17 カンボジア 64,980 1,083 0.83%
18 エクアドル 64,500 1,075 0.82%
19 コンゴ民主共和国 63,360 1,056 0,80%
20 ベネズエラ 60,000 1,000 0.76%
合計 世界 7,875,180 131,253
コーヒー豆の流通[編集]
ブラジルのコーヒー袋
コーヒー豆の流通は、世界の大手4社(クラフト、ネスレ、P&G、サラ・リー)による寡占状態で、さらに複雑な流通経路からかなりコスト高となっている。 かつて世界の一次産品貿易品目のうち、貿易高で石油に次ぐとされた時期もあったが、国際コーヒー協定の輸出割当制度が停止(その後削除)された1989年以降、輸出価格が大幅に下落したにもかかわらず、消費者価格はさほど変わっていないのが現状である。
焙煎前の生豆の状態で麻袋(またい)単位で取引され、1袋当りの重量は60kgが基本となっている(ブラジル産、アメリカ農務省や世界コーヒー機関の統計データ)が、実際には産地によって異なり、コロンビアの70kg、中南米の150ポンド=68kg、ハワイの100ポンド=45.4kg などがある。
商品取引[編集]
コーヒー豆は生産地が世界規模で、また気候の影響を受ける農作物であることから価格変動が大きい。このため、価格と供給の安定を図るため、先物取引の対象となっている。
アラビカ種はインター・コンチネンタル取引所(ICE Futures U.S.)傘下のニューヨーク商品取引所(NYBOT)[6]やブラジル商品・先物取引所で、ロブスタ種はユーロネクスト傘下のロンドン国際金融先物オプション取引所(en:LIFFE)などで、商品先物取引の主要銘柄として上場され、取引金額も大きい。 また、両者は産地や用途が異なり価格動向に差があるため、ストラドル取引(鞘取り)の定番となっている。
日本でも、東京穀物商品取引所でアラビカコーヒーとロブスタコーヒーが上場されていたが、次項の如くマネーゲームのみとなって衰退し、ロブスタコーヒーは2012年5月、アラビカコーヒーは2013年3月で取引停止となった。[7]
格差[編集]
コーヒー豆の流通は大手4社による寡占に加え、大規模倉庫を持つ中間業者(仲買人)を必要とすることから、複雑で競争の乏しい流通機構となり、生産者の立場は弱く収益も取引規模の数パーセントに過ぎない。これは、国際農産物を巡る先進国(消費国)と新興国(生産国)の経済格差(南北問題)要素となっている。
さらに、生産国内の経済格差(貧困)要素でもある。現在に至るまで大規模栽培はプランテーションによっているが、その運営は労働集約型の作業に依存している。このため、少数の事業者(大地主)が無数の労働者を雇用する形態となるが、上記による効率化指向は労務管理の階層化を求め、格差の固定を促すことになる。 ブラジルなど主要生産国の労働力は、かつては黒人奴隷を主体とし、奴隷制廃止後は移民労働者へ移行した。いずれも最貧層に置かれやすい立場であり、労働環境も悪い。
1970年代以降、公正貿易(フェアトレード)による直接買い付けが行われている。非営利団体[8]や小規模事業者により、高品質を保証したスペシャルティ・コーヒーを先進国の消費者に直接販売し、生産者の収益を安定させ、労働者の待遇や環境問題・生産環境の改善、経済的自立促進を試行しているが、消費者のブランド信仰、価格破壊要求に阻まれ、取引規模は統計値に現れない水準(1%未満)に留まっている。 スターバックスコーヒーやイオングループなど一部の大手企業は、自社製品のごく一部に関し『フェアトレード』を標榜している。
コーヒー豆貿易[編集]
輸出国[編集]
• 生コーヒー豆輸出国トップ5は、以下の通り[9]
• ブラジル
• ベトナム
• コロンビア
• インドネシア
• インド
• インスタントコーヒー輸出国トップ5は、以下の通り。
• ブラジル
• マレーシア
• インドネシア
• インド
• エクアドル
輸入国[編集]
• 生コーヒー豆輸入国トップ5は、以下の通り[10]。
• 欧州連合
• アメリカ
• 日本
• ロシア
• カナダ
• インスタントコーヒー輸入国トップ5は、以下の通り
• フィリピン
• ロシア
• カナダ
• 中国
• 日本
コーヒー豆の加工[編集]
• コーヒーノキ
• 栽培
• 実の収穫
• 精製
• コーヒー豆(生豆)
• 焙煎
• コーヒー豆(焙煎豆)
• (ブレンド)
• 粉砕
• コーヒー
• 抽出
コーヒーノキから飲料としてのコーヒーを作り出す過程で、コーヒー豆には数ステップの加工が行われる。全体像を把握するにはコーヒーの項を参照。
コーヒー豆の精製[編集]
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。コーヒーの精製には主に乾式(乾燥式・非水洗式)と湿式(水洗式)の二種類がある。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われる。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10-12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出される。
乾式(乾燥式・非水洗式)[編集]
古くから行われている精製方法であり、水の便の悪い産地でも行えるという利点がある。モカやマンデリンの産地ではごく一部を除いて伝統的に乾式による精製である。ブラジルでも大部分は乾式であったがより高級品として売れるため湿式や半湿式が徐々に増えつつある、また、ロブスタ種については乾式がほとんどである。収穫した果実を乾燥場に平らに広げ天日干しを行う。乾燥に要する時間は果実の完熟度合いで異なり、完熟した黒い実では1~3日、未熟な緑色の実では2週間ほどを要する。乾燥を均一化するために、日に数度攪拌が行われる。乾燥後、外皮と果肉、内果皮などを機械的に取り除く。現在では50℃で3日程度乾燥する機械乾燥も行われている。かつての人力で選別を行う作業ではペネイラという丸い平らな網を使い、豆を空中に高く振り上げて混入物をふるい分けていた。
湿式(水洗式)[編集]
乾式に比べてコーヒー豆の見た目が整いやすく商品価値が高くなる利点がある。ブラジル以外の産地でアラビカ種に対して行われることが多い。 収穫した果実はまず約1日水につけられ、そこで浮いてきた未熟果実が除去される。外皮と果肉を大まかに機械的に取り除いた後、発酵槽と呼ばれる水槽に1日から2日つけられる。この過程で、果肉と発酵槽に生息する水中微生物の持つペクチン分解酵素の働きにより種子を取り囲むペクチン層が分解される。水洗いして乾燥させた後、精製工場に出荷され、そこで内果皮を機械により取り除いてコーヒー豆とする。内果皮を取り除く前のものをパーチメントコーヒーと呼び、この状態で輸出される場合もある。尚、ロブスタ種はほとんどが乾式精製であるが日本のロブスタ種の輸入量のうち最も多いインドネシア産のWIBといわれる銘柄は湿式精製である。
その他の精製法[編集]
乾式と湿式とを組み合わせた半湿式(半水洗式)という方法がブラジルの一部の農園などで行われている。収穫後の果実を湿式と同様に水槽につけるが、発酵槽につけることなく外皮と果肉を取り除き、その後で乾式と同様の方法で乾燥する。
また特殊な精製法として、コーヒーの果実を食べた動物の糞からコーヒー豆を精製するものがある。市場に出回ることがあるものとして、インドネシアに生息するジャコウネコの糞から採れるコピ・ルアクが有名である。その他にも鳥やイタチ、トラの糞から採れたと称するものが、産地で極少量得られることがある。いずれもきわめて生産量が少ないため稀少価値から最も高価で取引されるが、コーヒー豆の品質としての評価とは必ずしも結びつくものではなく、その味についても評価は分かれる。
焙煎[編集]
精製された生のコーヒー豆は次に焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者が行うほか、コーヒー豆小売りを行う販売店や喫茶店などで自家焙煎される。一部の愛好家の中には自分で生の豆を購入して自家焙煎する人もいる。
焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われる。ただしフライパンや焙烙、ギンナン煎りに用いる金属製の手網や、電動ポップコーンマシンなどでも焙煎することが可能である。これらの装置は加熱原理と熱源の違いによって以下のように分類される。
• 直火焙煎
• 熱風焙煎
• 遠赤外線焙煎
• マイクロ波焙煎
• 炭火焙煎 - 日本独自の手法
コーヒーが焙煎されるとき豆の温度は約200~300℃程度まで到達する。一般的な焙煎方法ではおよそ10-20分程度の加熱時間を必要とする。なお、直火方式の場合は、15g程度ごとに1分ほどが目安である。焙煎中、豆からは残っていた薄皮(銀皮、シルバースキン)が剥がれ落ち、そのくずはチャフと呼ばれる。
焙煎は職人技を要するが、家庭用焙煎機では行程のすべてを自動で行うものもある。生豆の水分量はもちろん、その日の陽気や湿度によって焙煎の所要時間は異なる。焙煎が終了した後は、余熱で焙煎が進まないように冷風を当ててすぐに焙煎豆を冷やす必要がある。
焙煎により豆のpHは低下し(酸性が強くなる)、ミディアムあたりで最低値となり、イタリアンまで煎るとph5.7から5.8程度となる。また熱によってタンパク質が分解され、苦みのもととなるジケトピペラジンが増加する。従って浅煎りでは酸味が強く、深煎りでは苦みが強くなる。
ブレンド[編集]
コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。 ブレンドは通常、焙煎の後かつ粉砕の前で、焙煎された数種類の豆を混合することで行われることが多い。これは産地・産年・品種・粒重・含水率などが違う生豆を混ぜてから同一の加熱条件で焙煎すると、焙煎の仕上がり状態にばらつきが生じる為であり、またそれぞれのコーヒー豆の特徴を生かすために、焙煎の程度を変えるなどする必要があるためである。場合によっては焙煎する前にブレンドしたり、粉砕した後の粉同士で行うこともある。
ブレンドは、複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることで、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。
粉砕[編集]
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に顆粒状ないし粉状に小さく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕という。粉砕にはコーヒーミルあるいはグラインダーと呼ばれる器具あるいは機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。大きさの目安としては、粗挽きでザラメ糖大と言われる。ただしこの区分はあくまで相対的なもので、定まった規格があるわけではなく、店舗やコーヒーミルの違いによって実際の大きさは異なる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。
その他の加工技術[編集]
この他コーヒー豆に対して行われる加工技術には、デカフェを製造するための脱カフェイン処理などが挙げられる。この処理は生豆の段階で行われることが多い。詳細はデカフェを参照。
品質[編集]
コーヒー豆はその品質によって等級付けされる。この等級付けは、豆の大きさや、質の劣る豆(欠点豆)の混入している割合などによって行われるものであり、コーヒーの香味そのものとは必ずしも一致しない。また等級付けの方法や規準は産地によって異なる。
欠点豆[編集]
コーヒー豆に混入している異物や、病気や虫食いなどのある豆はそのコーヒーの品質に対する評価を下げるものであり、欠点と呼ばれる。近年、欠点豆の混入率は非常に少なくなっているが、それでも、焙煎の前後には、これをより分けるハンドピックの作業が不可欠である。欠点の対象となる質の劣った豆のことを特に欠点豆と呼ぶ。欠点豆には以下のようなものがある。
• 未熟豆:ヴェルジともいう。完熟していないものをつみ取ったもので、色が灰色を帯びていたり、豆のつやが悪くしわが寄っていたりする。これが混じっていると不快な刺激臭をもたらすことがある。
• 発酵豆:水洗処理の時に、酵母などがついて発酵したもので、生豆では見つけにくいが、焙煎後にやけすぎたりほとんど火が通っていなかったりすることが多い。
• 貝殻豆:乾燥不良もしくは異常交配によって発生する。貝殻のような形をしているため、このように呼ばれる。
• 割れ豆
• コッコ:果肉の除去が不十分で、そのために腐敗または発酵した豆。コッコとは糞を意味し、リオ臭とよばれる異臭のもとになる。
• 黒豆:発酵が進んで全体が黒ずんだ豆。
• 虫食い豆:コーヒーの場合、ほとんどがブロッカーとよばれる鱗翅目の昆虫の幼虫が寄生し、食害したものである。
• カビ豆:青かびや白かびが繁殖した豆。
• 死豆:正常に結実しなかった豆。
ブラジル産コーヒーの格付け[編集]
欠点豆の数(欠点数)によって定まる「No.」とスクリーンナンバーの組み合わせで表示される。
• 欠点数は300グラムのサンプル中に混入物があるか否かで決定される。
• 石・木片・土(大)=混入数1で欠点数5点
• 石・木片・土(中)=混入数1で欠点数2点
• 石・木片・土(小)=混入数1で欠点数1点
• 黒豆・乾果=混入数1で欠点数1点
• パーチメント・発酵豆=混入数2で欠点数1点
• 虫食い豆=混入数2以上5で欠点数1点
• 未熟豆・砕け豆=混入数5で欠点数1点
• 欠点数の合計数により「No.」表示が決定される。No.1は事実上は存在しない。
• 欠点数4点まで=No.2
• 欠点数12点まで=No.3
• 欠点数26点まで=No.4
• 欠点数46点まで=No.5
• 欠点数86点まで=No.6
• スクリーンナンバーは豆の大きさであり、ブラジルの他、コロンビア、タンザニアでも用いられる。
• 特小=12~13
• 小=14
• 中=15
• ふつう=16
• 準大=17
• 大=18
• 特大=19~20
生産地の標高による格付け(メキシコ等)[編集]
メキシコ、ホンジュラス、グアテマラの中米地域の産地では標高が高いほうが品質が良い豆が取れるとして、標高による格付けを用いる。下記はグアテマラ式の7段階の等級分けで上からの順で良い等級である。
• ストリクトリー・ハードビーン(SHB)標高1350メートル以上
• ハードビーン(HB)標高1200~1350メートル
• セミハードビーン(SH)標高1050~1200メートル
• エクストラ・プライムウォッシュド(EPW)標高900~1050メートル
• プライムウォッシュド(PW)標高750~900メートル
• エクストラ・グッドウォッシュド(EGW)標高600~750メートル
• グッドウォッシュド(GW)標高600メートル以下
アフリカ産豆の格付け[編集]
タンザニア、ケニアで生産される豆の格付けはAA、A、B等のアルファベットで表記される。パプアニューギニアも同様。主にスクリーンナンバー18、欠点豆混入が少ないものをAAとする。
保管方法[編集]
生豆は水分含量が高くなりすぎないように気をつけて保管すれば、少なくとも数年は長期にわたる保存が可能である。
焙煎豆については、常温で密封保存した場合の賞味期限は豆の場合で2週間程度、粉砕した後では2日程度と言われる。ただし人によって評価が分かれており、もっと短く捉える人もいれば長く捉える人もいる。
この賞味期限の短さは、コーヒーの香味が時間によって劣化するためである。コーヒー豆を焙煎した直後から焙煎豆に含まれる成分の酸化や揮散が進行しはじめ、時間とともにコーヒーに抽出したときの香味が損なわれる。この香味の劣化は特に粉砕した後で早く進行するが、これは豆から粉へ表面積が増加するためだと考えられている。
一方で焙煎直後の豆についても問題がある。約2日間、焙煎豆から大量の二酸化炭素が発生する。このため、焙煎直後の豆を気密性の高い袋に密封すると破裂する場合があるので注意が必要である。また、この期間中はコーヒーに抽出した場合の味が安定しにくいと言われる。このため、豆を焙煎した1~2日後から2週間程度までの期間を賞味期間だと考える人が見られる。
商業規模では焙煎豆を長期間保存するために保管方法や包装技術が開発されており、真空包装や低温での保管も行われている。家庭では短期間に使い切る場合には室温保存でも問題ないが、長期保存するためには冷蔵や冷凍を行う。ただし粉にした後で保管する場合には低温から室温に戻したときに吸湿するため、密封容器にいれることが望ましいと言われている。
その他[編集]
コーヒー豆生産の需給バランスや貿易ルールの策定の為に、国際コーヒー機関(ICO)が組織されている。
コーヒー豆(コーヒーまめ、英: Coffee bean)は、コーヒーノキから採取される種子のこと。生産されたままの生の状態である生豆と、加熱加工された焙煎豆に大別される。
焙煎・粉砕したコーヒー豆を湯や水で抽出したものは、コーヒーと呼ばれ、嗜好飲料として世界中で愛飲されている。また、焙煎豆を菓子としてそのまま食することもある(チョコレートなどでコーティングすることが多い)。
分類[編集]
一般にコーヒー豆と呼ばれるものは、その加工された状態によって生豆と焙煎豆に大別できる。
生豆[編集]
生豆はなままめ、あるいはきまめと発音される。一般には「きまめ」と読まれることが多いが、コーヒー業界での専門用語としては「なままめ」と呼ばれることの方が多い。これ以外にグリーン、グリーン・コーヒーと呼ばれることもある。
生豆は、まだ焙煎されていない生のコーヒー豆である。コーヒーの果実から果肉と内果皮(種皮、パーチメントとも呼ばれる)を取り除いた(精製された)状態で、厳密には種子そのものではなく胚乳と胚芽を合わせた部分を指す。通常、コーヒー豆はこの生豆の状態で生産地から消費国に輸出され、消費国にあるロースターと呼ばれる焙煎業者や、コーヒー豆販売業者、喫茶店主などの手で焙煎されることが多い。ただし一部は生豆の状態で、自家焙煎を行う消費者に販売されている。
生豆は収穫された年度によって以下のように分類されることがある。生豆の収穫年度は毎年10月1日を初日として計算される。[1]
ニュークロップ
その年度に収穫され出荷された新しいコーヒー豆。特に10月に新しい収穫年度になってから呼ばれることが多い。
カレントクロップ
最新の収穫年度に得られたコーヒー豆。ニュークロップと同じものを指す場合もあるが10月から時期が経過した場合にこう呼ぶ場合が多い。
パーストクロップ
前年度に収穫されたコーヒー豆。
オールドクロップ
広義にはそれ以前に収穫されたコーヒー豆を指す。ただし狭義にはパーチメントコーヒーの状態で数年保管していたものに対する銘柄として扱われる。なおこの狭義のオールドクロップに相当するコーヒー豆は現在ではほとんど入手不可能と言われる。
オールドビーンズ
狭義のオールドクロップとの混同を避けるため、広義のオールドクロップに相当する言葉として作られたもの。ふるまめ。
生豆は新しいほど緑色が強く、時間が経過するにつれて黄褐色に変化していく。ただしコーヒー豆の精製方法によっても色調が異なるため、色だけから判別することは出来ない。また時間が経過することにより、生豆の含水量が徐々に低下し、ロット内でのばらつきが少なくなると言われる。このため、古い生豆の方が焙煎のときに失敗することが少ないと言われている。
香味についても、新しい生豆と古い生豆では異なると言われている。一般に、新しい生豆は良くも悪くも豆の個性がはっきりとしていて香りにも優れていると言われ、古い生豆は個性に欠けるが味に落ち着きがあると表現されることが多い。どちらを嗜好するかは人それぞれであり、一概にどちらかが優れていると結論付けることは出来ない。
焙煎豆[編集]
焙煎したコーヒー豆
焙煎豆(ばいせんまめ)は、生豆に対して焙煎と呼ばれる加熱処理を施したものである。焙煎によって生豆に含まれている成分が化学変化を起こし、その結果、我々が口にするコーヒーの味や香り、色などが初めて生み出される。 ロースターの手で焙煎された焙煎豆は中間卸業者あるいは喫茶店に卸売りされ、そこから消費者の手に届けられる。このとき焙煎そのままの形で販売される他、さらに粉砕加工を行った後で販売されることもある。また生豆の仕入れ、焙煎(10kg程度までの焙煎釜を用いる)から販売までを一つの店舗で行ったり、仕入れた生豆を顧客の注文に応じて1kg以下の小型の焙煎機を用いて客の好みの焙煎で仕上げて販売するような個人経営の店舗も近年になり増えてきている。これらの形態の店舗は「自家焙煎(店)」と呼ばれている。
焙煎豆はその焙煎の度合いによってさらに分類される。この焙煎の度合いのことを焙煎度といい、焙煎度の低いものを浅煎り、高いものを深煎りと呼ぶ。浅煎りされたコーヒー豆は薄い褐色で、深煎りへと進行するにつれて黒褐色へと変化し表面に油がにじみ出てくる。浅煎りと深煎りの中間にあたるものを中煎りと呼ぶこともあるが、これらは相対的な呼び名であって明確に定められているものではなく、販売店舗などによっても異なる。また、日本では以下の8段階(浅煎り→深煎りの順)の焙煎度を用いる場合もある。
コーヒーの焙煎度(生豆、ライト→イタリアンの順)
• ライト (light)
• シナモン (cinnamon)
• ミディアム (medium)
• ハイ (high)
• シティ (city)
• フルシティ (Full city)
• フレンチ (French)
• イタリアン (Italian)
甘みのある豆の場合、深煎りにするとその風味が弱めてしまう。浅煎りの方がカフェインが多く含まれている。 一般に、浅煎りは香りや酸味に優れ深煎りは苦味に優れると言われているが、嗜好の問題であるため、総合的に見てどちらかが優れているということは特にない。
コーヒー豆の生産[編集]
焙煎前のロブスタコーヒー豆
主要生産国の大規模コーヒー農園を中心に、全世界で1000万ヘクタールの土地で150億本のコーヒーノキが栽培されていると概算され、主要産地は北緯25~南緯25度までの熱帯と亜熱帯に集中し「コーヒーベルト」と呼ばれる。 なるべく多く生産するためには(1ヘクタール当たり熟した実で16トン、あるいは1エーカー当たり15,000ポンド)、農園は大量の水および肥料を必要とする。
国際市場での生産国は60ヶ国ほどで、生産量はブラジルが3分の1を占め、ベトナムが15%で2位となっている。1999年まで世界2位だったコロンビアは近年生産量が減少し、2008年にインドネシアに抜かれ4位となっている。5位は年によってインド、エチオピア、メキシコが入れ替わっている。
生産国によってはコーヒーの木とそのコーヒー豆生産品種が偏っていて、アラビカ種中心がコロンビア、グアテマラなどの中南米諸国、パプアニューギニア、エチオピア、ケニアなど。ロブスタ種中心がベトナム、タイ、コートジボワール、ザンビアなど。 ブラジル、インドネシア、インド、メキシコ、タンザニアなどでは両種が生産されている。
日本でも小笠原諸島や沖縄で明治時代から生産が試みられ、現在も小規模ながら生産・販売が行われている。[2]
生産地と銘柄[編集]
コーヒー豆の名前(銘柄)は、伝統的に産地(生産地、集積・出荷地)に基づいている。
• 国名:コロンビア、ケニア、ブラジル、グアテマラなど
• 山域:キリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテンなど
• 積出港:モカ、サントスなど
• 栽培地名:コナ、マンデリン、ジャワなど
• 種名や栽培品種名:ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントスなど
• 選別等級:ブラジルNo.2、タンザニアAAなど
これに対し、1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、さらに特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつある。
主な銘柄と産地[編集]
代表的なコーヒー豆の銘柄と、その主要産地をかっこ内に示す。なお、味に関してはコーヒーを参照のこと。
アフリカ・中東[編集]
• キリマンジャロ(タンザニア):キボー(Kibo)という産地が有名
• ケニア(ケニア):ドイツなどヨーロッパではタンザニア産とともに一般的な銘柄
• モカ(エチオピア):モカの大部分を占め、シダモ、ハラー、ディマ、レケンプティなどがある
• モカ(イエメン):モカ・マタリと呼ばれ、日本で人気が高い
• ジンバブウェ(ジンバブエ)
• マラウィ(マラウイ)
• ブルンディ(ブルンジ)
• ザンビア(ザンビア)
• ウガンダ(ウガンダ)
アジア[編集]
• インドネシア(インドネシア):歴史が古く、有名な銘柄も多い。
• トラジャ(スラウェシ島):カロシとも言う。
• マンデリン(スマトラ島):リントンやトバコなどの産地が有名。
• ジャワコーヒー(ジャワ島):生産量の大半を占めるロブスタ種ではなく、アラビカ種を指す。
• インド(南インド):400年の歴史があり、世界中のコーヒー産地の中でも有数の歴史と伝統を誇る。有名な銘柄としてプランテーションがある。
• モンスーン・コーヒー:森林農法で栽培され、シェードツリーと言われる高木の果樹とともに植えられ、森の生態系を活かしながら有機的な農法で育てられ、伝統的な手摘みにより収穫、選別される。高湿度のモンスーン(季節風)を利用したユニークな発酵プロセスや独自の洗浄技術が培われている。こうしてできた「モンスーン・コーヒー」はヨーロッパ、特に北欧で人気が高い。
• パプアニューギニア(パプアニューギニア):銘柄としては農園名(シグリ、プローサ)などが付加される。
• フィリピン共和国:バギオ山岳地帯が一大産地。ほかバタンガスやミンダナオ島の山岳地帯。アラブ諸国をメインに輸出している。
• 東ティモール(東ティモール):ほぼ唯一の輸出農産物で品質もよいが、出荷量は少ない。
• ラオス(ラオス):最大の輸出農産物で、高品位銘柄(エレファントマウンテンなど)もある。
• 中華人民共和国(雲南省):最大のコーヒー産地コロンビアと同じ低緯度地域にあり、小粒種コーヒーの生産に適しており、2012年現在、アジアで最も大きく、高品質の小粒品種産地となっている。特に茶でも名を知られるプーアル市で盛ん。きっかけは2007年ごろに起こったプーアル茶の投機相場で、価格が乱高下し農家は天国と地獄を味わった教訓から、多種類の収穫物を作りリスク分散を図るべきだとの考えに基づき、コーヒーが注目された。スターバックスをはじめネスレなど大手企業がプーアル市政府と協力覚書に調印した。2010年、ネスレがプーアル市で調達したコーヒーは8000tであったがその後急速に伸びている。同社は1988年から雲南省でコーヒーの実験栽培を開始、直後には雲南でのコーヒー栽培を正式に決定した。その後2012年までに5000万元を投資し、5100人以上の研修生を受け入れている。2012年現在では世界の5大コーヒーメーカーであるネスレ、マックスウェル[要曖昧さ回避](アメリカ)、クラフト(アメリカ)、ニューマン(ドイツ)、イカム(イタリア)はすべて雲南省に進出しているほか、日本のUCC上島珈琲やシンガポール、台湾の企業も進出している。プーアル市の2011年の生産量は2.85万t、中国全土の57.5%を占め売上高は、8.55億元。さらに雲南省では2011年からの第12次5ヵ年計画期間で、コーヒー産業に30億元の投資を行いコーヒー豆の生産量を年20万tまで増やすと発表した[3]。
• ベトナム(ベトナム):加工用のロブスタ種が生産の中心だが、アラビカ種も作られ始めている。
• ベトナムは1999年にコロンビアを抜き、ブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産国になっている。旧宗主国フランスの手法を取り入れた、ベトナムコーヒーという淹れ方がある。
ハワイ・オセアニア[編集]
• コナ(ハワイ島):カウアイ島やマウイ島でもコーヒーが作られている。
• ニューカレドニア(ニューカレドニア):アラビカ種のほか、リロイという希少種が生産されている。
• タンナ(バヌアツ・タンナ島):1860年からコーヒー栽培開始、2002年に生産者組合を立ち上げ、栽培が本格化している。
カリブ海諸国[編集]
• ブルーマウンテン(ジャマイカ):ブランド戦略による高級品で、偽物の方が多い。
• クリスタルマウンテン(キューバ):高級ブランド
• ドミニカ(ドミニカ共和国):主要農産物で多数の銘柄がある。
• ドミニカ国も少量輸出している。
• ハイチコーヒー(ハイチ):独立後、サトウキビのプランテーションが打ち棄てられると、唯一外貨を獲得できる商品はコーヒーとなった。ハイチ・コーヒーは紛れもなく高級品である。
中央アメリカ[編集]
• メキシコ(メキシコ):中米最大の生産量で銘柄も多い。
• グァテマラ(グアテマラ):メキシコに次ぐ生産量。
• サルバドル(エルサルバドル)
• ホンジュラス(ホンジュラス)
• ニカラグア(ニカラグア)
• コスタリカ(コスタリカ)
• パナマ(パナマ)
南アメリカ[編集]
• ブラジル(ブラジル):No.2が最高級品で、欠点豆は300g(約2千粒)あたり4個以内と規定されている。
• コロンビア(コロンビア):最高級品はスプレモ(Supremo)。
• ベネスエラ(ベネズエラ):1910年代から産油国となり、コーヒー生産は廃れた。
• ペルー(ペルー):最高級品はESHP(Electronic Sorted & Hand Picked)
• ボリビア(ボリビア)
生産量[編集]
2011 コーヒー豆のの生産量国トップ 20
順位 国 生産量トン数[4] 千袋 [5] 市場占有率
1 ブラジル 2,609,040 43,484 33.1%
2 ベトナム 1,200,000 20,000 15.2%
3 インドネシア 495,000 8,250 6.3%
4 コロンビア 468,000 7,800 5.9%
5 エチオピア 390,000 6,500 5.0%
6 ペルー 326,580 5,443 4.1%
7 インド 319,980 5,333 4.1%
8 ホンジュラス 270,000 4,500 3.4%
9 メキシコ 258,000 4,300 3.3%
10 グアテマラ 225,000 3,750 2.9%
11 ウガンダ 192,720 3,212 2.4%
12 ニカラグア 126,000 2,100 1.6%
13 コスタリカ 107,940 1,799 1.4%
14 コートジボワール 96,000 1,600 1.2%
15 パプアニューギニア 84,900 1,415 1.1%
16 エルサルバドル 70,500 1,175 0.90%
17 カンボジア 64,980 1,083 0.83%
18 エクアドル 64,500 1,075 0.82%
19 コンゴ民主共和国 63,360 1,056 0,80%
20 ベネズエラ 60,000 1,000 0.76%
合計 世界 7,875,180 131,253
コーヒー豆の流通[編集]
ブラジルのコーヒー袋
コーヒー豆の流通は、世界の大手4社(クラフト、ネスレ、P&G、サラ・リー)による寡占状態で、さらに複雑な流通経路からかなりコスト高となっている。 かつて世界の一次産品貿易品目のうち、貿易高で石油に次ぐとされた時期もあったが、国際コーヒー協定の輸出割当制度が停止(その後削除)された1989年以降、輸出価格が大幅に下落したにもかかわらず、消費者価格はさほど変わっていないのが現状である。
焙煎前の生豆の状態で麻袋(またい)単位で取引され、1袋当りの重量は60kgが基本となっている(ブラジル産、アメリカ農務省や世界コーヒー機関の統計データ)が、実際には産地によって異なり、コロンビアの70kg、中南米の150ポンド=68kg、ハワイの100ポンド=45.4kg などがある。
商品取引[編集]
コーヒー豆は生産地が世界規模で、また気候の影響を受ける農作物であることから価格変動が大きい。このため、価格と供給の安定を図るため、先物取引の対象となっている。
アラビカ種はインター・コンチネンタル取引所(ICE Futures U.S.)傘下のニューヨーク商品取引所(NYBOT)[6]やブラジル商品・先物取引所で、ロブスタ種はユーロネクスト傘下のロンドン国際金融先物オプション取引所(en:LIFFE)などで、商品先物取引の主要銘柄として上場され、取引金額も大きい。 また、両者は産地や用途が異なり価格動向に差があるため、ストラドル取引(鞘取り)の定番となっている。
日本でも、東京穀物商品取引所でアラビカコーヒーとロブスタコーヒーが上場されていたが、次項の如くマネーゲームのみとなって衰退し、ロブスタコーヒーは2012年5月、アラビカコーヒーは2013年3月で取引停止となった。[7]
格差[編集]
コーヒー豆の流通は大手4社による寡占に加え、大規模倉庫を持つ中間業者(仲買人)を必要とすることから、複雑で競争の乏しい流通機構となり、生産者の立場は弱く収益も取引規模の数パーセントに過ぎない。これは、国際農産物を巡る先進国(消費国)と新興国(生産国)の経済格差(南北問題)要素となっている。
さらに、生産国内の経済格差(貧困)要素でもある。現在に至るまで大規模栽培はプランテーションによっているが、その運営は労働集約型の作業に依存している。このため、少数の事業者(大地主)が無数の労働者を雇用する形態となるが、上記による効率化指向は労務管理の階層化を求め、格差の固定を促すことになる。 ブラジルなど主要生産国の労働力は、かつては黒人奴隷を主体とし、奴隷制廃止後は移民労働者へ移行した。いずれも最貧層に置かれやすい立場であり、労働環境も悪い。
1970年代以降、公正貿易(フェアトレード)による直接買い付けが行われている。非営利団体[8]や小規模事業者により、高品質を保証したスペシャルティ・コーヒーを先進国の消費者に直接販売し、生産者の収益を安定させ、労働者の待遇や環境問題・生産環境の改善、経済的自立促進を試行しているが、消費者のブランド信仰、価格破壊要求に阻まれ、取引規模は統計値に現れない水準(1%未満)に留まっている。 スターバックスコーヒーやイオングループなど一部の大手企業は、自社製品のごく一部に関し『フェアトレード』を標榜している。
コーヒー豆貿易[編集]
輸出国[編集]
• 生コーヒー豆輸出国トップ5は、以下の通り[9]
• ブラジル
• ベトナム
• コロンビア
• インドネシア
• インド
• インスタントコーヒー輸出国トップ5は、以下の通り。
• ブラジル
• マレーシア
• インドネシア
• インド
• エクアドル
輸入国[編集]
• 生コーヒー豆輸入国トップ5は、以下の通り[10]。
• 欧州連合
• アメリカ
• 日本
• ロシア
• カナダ
• インスタントコーヒー輸入国トップ5は、以下の通り
• フィリピン
• ロシア
• カナダ
• 中国
• 日本
コーヒー豆の加工[編集]
• コーヒーノキ
• 栽培
• 実の収穫
• 精製
• コーヒー豆(生豆)
• 焙煎
• コーヒー豆(焙煎豆)
• (ブレンド)
• 粉砕
• コーヒー
• 抽出
コーヒーノキから飲料としてのコーヒーを作り出す過程で、コーヒー豆には数ステップの加工が行われる。全体像を把握するにはコーヒーの項を参照。
コーヒー豆の精製[編集]
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。コーヒーの精製には主に乾式(乾燥式・非水洗式)と湿式(水洗式)の二種類がある。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われる。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10-12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出される。
乾式(乾燥式・非水洗式)[編集]
古くから行われている精製方法であり、水の便の悪い産地でも行えるという利点がある。モカやマンデリンの産地ではごく一部を除いて伝統的に乾式による精製である。ブラジルでも大部分は乾式であったがより高級品として売れるため湿式や半湿式が徐々に増えつつある、また、ロブスタ種については乾式がほとんどである。収穫した果実を乾燥場に平らに広げ天日干しを行う。乾燥に要する時間は果実の完熟度合いで異なり、完熟した黒い実では1~3日、未熟な緑色の実では2週間ほどを要する。乾燥を均一化するために、日に数度攪拌が行われる。乾燥後、外皮と果肉、内果皮などを機械的に取り除く。現在では50℃で3日程度乾燥する機械乾燥も行われている。かつての人力で選別を行う作業ではペネイラという丸い平らな網を使い、豆を空中に高く振り上げて混入物をふるい分けていた。
湿式(水洗式)[編集]
乾式に比べてコーヒー豆の見た目が整いやすく商品価値が高くなる利点がある。ブラジル以外の産地でアラビカ種に対して行われることが多い。 収穫した果実はまず約1日水につけられ、そこで浮いてきた未熟果実が除去される。外皮と果肉を大まかに機械的に取り除いた後、発酵槽と呼ばれる水槽に1日から2日つけられる。この過程で、果肉と発酵槽に生息する水中微生物の持つペクチン分解酵素の働きにより種子を取り囲むペクチン層が分解される。水洗いして乾燥させた後、精製工場に出荷され、そこで内果皮を機械により取り除いてコーヒー豆とする。内果皮を取り除く前のものをパーチメントコーヒーと呼び、この状態で輸出される場合もある。尚、ロブスタ種はほとんどが乾式精製であるが日本のロブスタ種の輸入量のうち最も多いインドネシア産のWIBといわれる銘柄は湿式精製である。
その他の精製法[編集]
乾式と湿式とを組み合わせた半湿式(半水洗式)という方法がブラジルの一部の農園などで行われている。収穫後の果実を湿式と同様に水槽につけるが、発酵槽につけることなく外皮と果肉を取り除き、その後で乾式と同様の方法で乾燥する。
また特殊な精製法として、コーヒーの果実を食べた動物の糞からコーヒー豆を精製するものがある。市場に出回ることがあるものとして、インドネシアに生息するジャコウネコの糞から採れるコピ・ルアクが有名である。その他にも鳥やイタチ、トラの糞から採れたと称するものが、産地で極少量得られることがある。いずれもきわめて生産量が少ないため稀少価値から最も高価で取引されるが、コーヒー豆の品質としての評価とは必ずしも結びつくものではなく、その味についても評価は分かれる。
焙煎[編集]
精製された生のコーヒー豆は次に焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者が行うほか、コーヒー豆小売りを行う販売店や喫茶店などで自家焙煎される。一部の愛好家の中には自分で生の豆を購入して自家焙煎する人もいる。
焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われる。ただしフライパンや焙烙、ギンナン煎りに用いる金属製の手網や、電動ポップコーンマシンなどでも焙煎することが可能である。これらの装置は加熱原理と熱源の違いによって以下のように分類される。
• 直火焙煎
• 熱風焙煎
• 遠赤外線焙煎
• マイクロ波焙煎
• 炭火焙煎 - 日本独自の手法
コーヒーが焙煎されるとき豆の温度は約200~300℃程度まで到達する。一般的な焙煎方法ではおよそ10-20分程度の加熱時間を必要とする。なお、直火方式の場合は、15g程度ごとに1分ほどが目安である。焙煎中、豆からは残っていた薄皮(銀皮、シルバースキン)が剥がれ落ち、そのくずはチャフと呼ばれる。
焙煎は職人技を要するが、家庭用焙煎機では行程のすべてを自動で行うものもある。生豆の水分量はもちろん、その日の陽気や湿度によって焙煎の所要時間は異なる。焙煎が終了した後は、余熱で焙煎が進まないように冷風を当ててすぐに焙煎豆を冷やす必要がある。
焙煎により豆のpHは低下し(酸性が強くなる)、ミディアムあたりで最低値となり、イタリアンまで煎るとph5.7から5.8程度となる。また熱によってタンパク質が分解され、苦みのもととなるジケトピペラジンが増加する。従って浅煎りでは酸味が強く、深煎りでは苦みが強くなる。
ブレンド[編集]
コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。 ブレンドは通常、焙煎の後かつ粉砕の前で、焙煎された数種類の豆を混合することで行われることが多い。これは産地・産年・品種・粒重・含水率などが違う生豆を混ぜてから同一の加熱条件で焙煎すると、焙煎の仕上がり状態にばらつきが生じる為であり、またそれぞれのコーヒー豆の特徴を生かすために、焙煎の程度を変えるなどする必要があるためである。場合によっては焙煎する前にブレンドしたり、粉砕した後の粉同士で行うこともある。
ブレンドは、複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることで、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。
粉砕[編集]
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に顆粒状ないし粉状に小さく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕という。粉砕にはコーヒーミルあるいはグラインダーと呼ばれる器具あるいは機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。大きさの目安としては、粗挽きでザラメ糖大と言われる。ただしこの区分はあくまで相対的なもので、定まった規格があるわけではなく、店舗やコーヒーミルの違いによって実際の大きさは異なる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。
その他の加工技術[編集]
この他コーヒー豆に対して行われる加工技術には、デカフェを製造するための脱カフェイン処理などが挙げられる。この処理は生豆の段階で行われることが多い。詳細はデカフェを参照。
品質[編集]
コーヒー豆はその品質によって等級付けされる。この等級付けは、豆の大きさや、質の劣る豆(欠点豆)の混入している割合などによって行われるものであり、コーヒーの香味そのものとは必ずしも一致しない。また等級付けの方法や規準は産地によって異なる。
欠点豆[編集]
コーヒー豆に混入している異物や、病気や虫食いなどのある豆はそのコーヒーの品質に対する評価を下げるものであり、欠点と呼ばれる。近年、欠点豆の混入率は非常に少なくなっているが、それでも、焙煎の前後には、これをより分けるハンドピックの作業が不可欠である。欠点の対象となる質の劣った豆のことを特に欠点豆と呼ぶ。欠点豆には以下のようなものがある。
• 未熟豆:ヴェルジともいう。完熟していないものをつみ取ったもので、色が灰色を帯びていたり、豆のつやが悪くしわが寄っていたりする。これが混じっていると不快な刺激臭をもたらすことがある。
• 発酵豆:水洗処理の時に、酵母などがついて発酵したもので、生豆では見つけにくいが、焙煎後にやけすぎたりほとんど火が通っていなかったりすることが多い。
• 貝殻豆:乾燥不良もしくは異常交配によって発生する。貝殻のような形をしているため、このように呼ばれる。
• 割れ豆
• コッコ:果肉の除去が不十分で、そのために腐敗または発酵した豆。コッコとは糞を意味し、リオ臭とよばれる異臭のもとになる。
• 黒豆:発酵が進んで全体が黒ずんだ豆。
• 虫食い豆:コーヒーの場合、ほとんどがブロッカーとよばれる鱗翅目の昆虫の幼虫が寄生し、食害したものである。
• カビ豆:青かびや白かびが繁殖した豆。
• 死豆:正常に結実しなかった豆。
ブラジル産コーヒーの格付け[編集]
欠点豆の数(欠点数)によって定まる「No.」とスクリーンナンバーの組み合わせで表示される。
• 欠点数は300グラムのサンプル中に混入物があるか否かで決定される。
• 石・木片・土(大)=混入数1で欠点数5点
• 石・木片・土(中)=混入数1で欠点数2点
• 石・木片・土(小)=混入数1で欠点数1点
• 黒豆・乾果=混入数1で欠点数1点
• パーチメント・発酵豆=混入数2で欠点数1点
• 虫食い豆=混入数2以上5で欠点数1点
• 未熟豆・砕け豆=混入数5で欠点数1点
• 欠点数の合計数により「No.」表示が決定される。No.1は事実上は存在しない。
• 欠点数4点まで=No.2
• 欠点数12点まで=No.3
• 欠点数26点まで=No.4
• 欠点数46点まで=No.5
• 欠点数86点まで=No.6
• スクリーンナンバーは豆の大きさであり、ブラジルの他、コロンビア、タンザニアでも用いられる。
• 特小=12~13
• 小=14
• 中=15
• ふつう=16
• 準大=17
• 大=18
• 特大=19~20
生産地の標高による格付け(メキシコ等)[編集]
メキシコ、ホンジュラス、グアテマラの中米地域の産地では標高が高いほうが品質が良い豆が取れるとして、標高による格付けを用いる。下記はグアテマラ式の7段階の等級分けで上からの順で良い等級である。
• ストリクトリー・ハードビーン(SHB)標高1350メートル以上
• ハードビーン(HB)標高1200~1350メートル
• セミハードビーン(SH)標高1050~1200メートル
• エクストラ・プライムウォッシュド(EPW)標高900~1050メートル
• プライムウォッシュド(PW)標高750~900メートル
• エクストラ・グッドウォッシュド(EGW)標高600~750メートル
• グッドウォッシュド(GW)標高600メートル以下
アフリカ産豆の格付け[編集]
タンザニア、ケニアで生産される豆の格付けはAA、A、B等のアルファベットで表記される。パプアニューギニアも同様。主にスクリーンナンバー18、欠点豆混入が少ないものをAAとする。
保管方法[編集]
生豆は水分含量が高くなりすぎないように気をつけて保管すれば、少なくとも数年は長期にわたる保存が可能である。
焙煎豆については、常温で密封保存した場合の賞味期限は豆の場合で2週間程度、粉砕した後では2日程度と言われる。ただし人によって評価が分かれており、もっと短く捉える人もいれば長く捉える人もいる。
この賞味期限の短さは、コーヒーの香味が時間によって劣化するためである。コーヒー豆を焙煎した直後から焙煎豆に含まれる成分の酸化や揮散が進行しはじめ、時間とともにコーヒーに抽出したときの香味が損なわれる。この香味の劣化は特に粉砕した後で早く進行するが、これは豆から粉へ表面積が増加するためだと考えられている。
一方で焙煎直後の豆についても問題がある。約2日間、焙煎豆から大量の二酸化炭素が発生する。このため、焙煎直後の豆を気密性の高い袋に密封すると破裂する場合があるので注意が必要である。また、この期間中はコーヒーに抽出した場合の味が安定しにくいと言われる。このため、豆を焙煎した1~2日後から2週間程度までの期間を賞味期間だと考える人が見られる。
商業規模では焙煎豆を長期間保存するために保管方法や包装技術が開発されており、真空包装や低温での保管も行われている。家庭では短期間に使い切る場合には室温保存でも問題ないが、長期保存するためには冷蔵や冷凍を行う。ただし粉にした後で保管する場合には低温から室温に戻したときに吸湿するため、密封容器にいれることが望ましいと言われている。
その他[編集]
コーヒー豆生産の需給バランスや貿易ルールの策定の為に、国際コーヒー機関(ICO)が組織されている。
コーヒー
(オランダ語: koffie[1] /ˈkɔfi/ コフィ[ヘルプ/ファイル])は、コーヒー豆(コーヒーノキの種子)を焙煎し挽いた粉末から、湯または水で成分を抽出した飲料。歴史への登場は酒や茶には遅れるが、世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料である。家庭や飲食店、職場などで飲用され、コーヒーの専門ショップも多数存在する。抽出前の粉末や粉砕前の焙煎豆も、同じくコーヒーと呼ばれることもある。日本語では「珈琲」と当て字されている[2]。
世界各国において、コーヒーを提供する場の喫茶店(コーヒー・ハウス、カフェ、カフェー)は近代、知識人や文学、美術などさまざまな分野の芸術家の集まる場として、文化的にも大きな役割を果たしてきた。さらに、石油に次いで貿易規模が大きい一次産品であるため、経済上も重要視されている。大体北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70箇国で生産され、アメリカ、ヨーロッパ、日本など全世界に輸出されている。カフェインに代表される薬理活性成分を含むことから医学・薬学の面から研究の対象となっている。
歴史[編集]
詳細は「コーヒーの歴史」を参照
コーヒーがいつ頃から人間に利用されていたかは、はっきりしていない。果実の赤い果肉は甘く食べられるため、種子の効用を知る機会も多かったと考えれば、有史以前から野生種が利用されていても不思議ではない。実際、アラビカ種は原産地エチオピアで古くから利用されていたとする説があり、リベリカ種は西アフリカ沿岸でヨーロッパ人が「発見」する以前から栽培・利用されていた。栽培史概略はコーヒーノキ参照。
現在見られる「焙煎した豆から抽出したコーヒー」が登場したのは13世紀以降と見られる。
最初は一部の修道者だけが用いる宗教的な秘薬であり、生の葉や豆を煮出した汁が用いられていた。しかし、焙煎によって嗜好品としての特長を備えると一般民衆へも広がり、1454年には一般民衆の飲用が正式に認められ、中東・イスラム世界全域からエジプトまで拡大した。 オスマン帝国からバルカン諸国、ヨーロッパには、16世紀に伝わり、1602年のローマ以降、17世紀中にヨーロッパ全土に伝播した。北米には、1668年ヨーロッパからの移民によって伝わった。
日本へは18世紀末にオランダ人が持ち込み、最初の記録は、1804年の大田南畝による『瓊浦又綴』(けいほゆうてつ)(随筆)(1804年) [3]。
抽出法も工夫され、挽いたコーヒー豆を煮出して上澄みを飲むトルココーヒー式の淹れ方から、まず布で濾す方法(1711年フランス)が開発され、布ドリップ(ネルドリップ)の原型となった。これに湯を注ぐ器具として、ドゥ・ベロワのポット(1800年頃フランス)が考案され、現在のドリップポットに至る。この他にも、パーコレータ(1827年フランス)、コーヒーサイフォン(1830年代ドイツ)、エスプレッソマシン(1901年イタリア)、ペーパードリップ(1908年ドイツ)などが開発され、多様な飲み方が可能となった。
• イスラム世界では、長らくイスラム戒律との関わりから一般民衆の飲用を認めない主張が続き、1454年にファトワが出された後も、反対意見は根強く、16世紀頃から一般民衆への普及によって民衆の社交場においてコーヒーが供される風習が生じると、1511年、厳格なイスラム戒律主義者だったメッカ総督がコーヒーを「大衆を堕落させる毒」として飲用を禁じ、焼き捨てを命じたメッカ事件が起きている。
• そのメッカから伝わったオスマン帝国では、17世紀初頭に世界初の近代的なコーヒーハウスが首都コンスタンティノープルで開業した。コーヒーハウスは中上流階級の社交場となり、コーヒーが伝わった先のヴェネツィアやローマでも同様なコーヒーハウスが開業してヨーロッパ中に広まった。
• イギリスでは1650年にオックスフォードに最初のコーヒーハウスが開業した後、17世紀にはロンドンを中心にコーヒーハウスが社交や議論、情報交換の場として隆盛を極めた。ロイド保険組合の前身もコーヒーハウスである。このイギリスのコーヒーハウスの隆盛は紅茶の普及により廃れる18世紀半ばまで続いた。
• フランスでは1669年には駐トルコ大使がルイ14世に献上したことがきっかけになって上流社会で流行し、さらに一般にも広まって多くのカフェが作られた。
• ウィーンでは、1683年、オスマン帝国による第二次ウィーン包囲が失敗した際に、オスマン軍が塹壕に残していったコーヒー豆をコルシツキーが戦利品として拝領し、ウィーン初のコーヒーハウスを開業したのが始まりといわれている。
• 日本では江戸時代から長崎を通して貿易品として輸入されていたが、嗜好品と言うよりも薬としての効果を期待されたもので、水腫に効果があるとされていた。これはコーヒーに含まれるビタミンの効用と考えられる。1807年の樺太出兵では野菜が摂取できないことによる兵の水腫病が問題になり、幕府から貴重なコーヒー豆が支給されたという。1855年頃、やはり寒さなどで殉難が多かった弘前藩士の為に幕府が薬用としてコーヒーを用意したという記録も残っている[4]。1888年(明治21年)4月13日、東京下谷に最初の喫茶店「可否茶館」が開店、明治時代末から大正時代にかけて(1911年 - )カフェーと呼ばれる喫茶店が全国的に普及した。1889年には東京の氷砂糖問屋が珈琲挽茶入角砂糖を売り出し、湯または牛乳に溶かして飲ませた。
語源[編集]
「コーヒー」はアラビア語でコーヒーを意味するカフワ (アラビア語: قهوة ; qahwa) が転訛したものである。元々ワインを意味していたカフワの語が、ワインに似た覚醒作用のあるコーヒーに充てられたのがその語源である。一説にはエチオピアにあったコーヒーの産地カッファ (Kaffa) がアラビア語に取り入れられたものともいわれている。
この語がコーヒーの伝播に伴って、トルコ(トルコ語: kahve)、イタリア(イタリア語: caffè)を経由し、ヨーロッパ(フランス語: café、ドイツ語: Kaffee、英語: coffee)から世界各地に広まった。日本語の「コーヒー」は、江戸時代にオランダからもたらされた際の、オランダ語: koffie (コーフィー)に由来する[1]。
日本では漢字で「珈琲」のほか「可否」「架非」「加非」「咖啡」などの字もあてられてきた[2]。
漢字による当て字である「珈琲」は、津山藩医で蘭学者の宇田川榕菴(うだがわ ようあん)が考案し、自筆の蘭和対訳辞典に記載したのが、最初であると言われている。これ以外にも、「可否」(可否茶館)、「カウヒイ」(大田南畝『瓊浦又綴(けいほゆうてつ)』)、「哥非乙」(宇田川榕菴『哥非乙説』)[5]などの表記も過去には用いられた。
なお、中国語においても、訳語に関して19世紀に試行錯誤があり、当時の日本語の当て字を借用して現在にいたるものとされている[6]。ただし、漢字は口偏で「咖啡」(kāfēi)と表記される。
コーヒーノキ[編集]
詳細はコーヒーノキを参照
コーヒーの原料となるコーヒー豆は、3 - 3.5mほどの常緑低木でジャスミンに似た香りの白い花を咲かせるコーヒーノキの果実から得られる。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実は赤または紫、品種によっては黄色の硬い実で、成熟に9ヶ月ほどかかる。 また、枝の先端に付く1粒だけ丸い種子は「ピーベリー」と呼ばれ、珍重される。 コーヒー豆となる種子だけでなく、果肉部分にも若干のカフェインが含まれており、食用にされる。
栽培されているコーヒーノキは、大きくエチオピア原産のティピカ種(Tipica)に由来するアラビカ種 (Coffea arabica) と、コンゴ原産のロブスタ種(カネフォーラ種、C. canephora)に分けられるが、生産量の7 - 8割はアラビカ種である。 以前はリベリカ種(C. liberica)も合わせて「コーヒーの3原種」と呼ばれていたが、病害に弱く品質面でも劣るため、21世紀前半の現在では生産量もごく僅かとなっている。
品種[編集]
焙煎前のロブスタコーヒー豆
栽培品種はアラビカ種を中心に200種類以上が知られ、ブラジルとコロンビアでさかんに育種が行われている。その一方で、コーヒーの風味において従来品種を高く評価する人もあり、フェアトレード運動とも連動している。
アラビカ種
病害虫や霜、少雨等に弱く栽培が困難だが、風味とコクに優れ、レギュラーコーヒー用を主体とし多様な品種がある。総生産量の約70%を占める[7]。
従来は、ブラジルのブルボンとコロンビアのティピカが、アラビカ種の2大品種と呼ばれ主力品種だった。その後、収量や耐病虫性に優れた品種への置換が進み、最近[いつ?]ではブラジルのカトゥーラ、カトゥアイとムンド・ノーボ、コロンビアのカトゥーラとバリエダ・コロンビアが、それぞれ主力品種となっている。
このほか、スマトラ、モカ(銘柄とは別)、ブルー・マウンテン(ブランドとは別)、コナ、マラゴジッペ、アマレロ、ゲイシャなどがある。
ロブスタ種
アラビカ種に比べて耐病性が高く、少雨、高温多湿の土地でも栽培できる。また安定収穫できる様になるまでにかかる期間が3年と短い。栽培が容易なので収量も多く、生産量2位のベトナムで主力となっている[7] 。
抽出しやすく水出しも容易だが、カフェイン成分が多く苦みやクセ(ロブスタ臭)が強く、単独での風味はアラビカ種に及ばないとされる。インスタント用原料や、安いレギュラーコーヒーの増量用が主体となっている他、いわゆるベトナムコーヒーに用いられる。
リベリカ種
高温多湿の気候に適応するが病害に弱く、品質もアラビカ種に及ばない。
交雑種
アラビカとロブスタを交配したもので、一般的なレギュラーコーヒーに用いられる。
ハイブリド・デ・ティモール、アラブスタ、カティモール、バリエダ・コロンビアなどの品種がある。
コーヒーができるまで[編集]
コーヒー豆の生産と加工の詳細はコーヒー豆を参照
コーヒー加工の工程
• コーヒーノキ
• 栽培
• 実の収穫
• 精製
• コーヒー豆(生豆)
• 焙煎
• コーヒー豆(焙煎豆)
• (ブレンド)
• 粉砕
• コーヒー
• 抽出
コーヒーは北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70カ国で生産されており、そのコーヒー農園でコーヒーノキの栽培と果実の収穫が行われる。さらに引き続いて、生豆(なままめ、きまめ、生のコーヒー豆のこと)を取り出すコーヒー豆の精製と呼ばれる加工作業までが、コーヒー農園で行われることが多い。精製された生豆は生産国で集積され、選別・等級付けされてから消費国に輸出される。生豆は消費地においてコーヒー独特の香味を生み出すために焙煎され、場合によっては複数の焙煎豆を混ぜてブレンドされる。その後粉砕により細かい粉状にされてから、水や湯で抽出されて、飲用に供されるコーヒーが出来上がる。
コーヒー豆の生産[編集]
全世界では、150億のコーヒーノキが1000万ヘクタールの土地で生育していると概算されている。主な生産地はブラジルやコロンビアなどの中南米や、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア、エチオピアやタンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国など。また有名銘柄の産地としてハワイ、イエメン。インドや中国などでも生産されている。日本でも小笠原諸島や沖縄諸島に移入されたことがあるが、大規模生産には成功していない。ただし九州や沖縄では個人規模農園で栽培している人もいる。 近年[いつ?]になってこれまでロブスタ種の栽培が主流であったタンザニア周辺地域のアフリカ諸国、(ザンビアやマラウィ等)で輸出用に高品質のアラビカ種の栽培が盛んになっていて一部国連主導による「国連グルメコーヒー開発プロジェクト」に加盟している国もある(ブルンジ、ウガンダ)。これらのアフリカ諸国のコーヒーも日本で漸く流通しはじめている。
世界のコーヒー生産地と豆の名称
コーヒー豆の種類は、主に生産地で分けられている。名前の付け方は、国名(コロンビア、ケニア、コスタリカ等)、山域(キリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテン等)、積出港(モカ、サントス等)、栽培地名(コナ、マンデリン、ジャワ等)などが多い。この他、種名や栽培品種の名を付加した名称(ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントス)や、選別時の等級を付加した名称(ブラジル No. 2、タンザニアAA)なども用いられている。また1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、更に特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつあり、近年[いつ?]ではそのような特定の農園からの豆のみのものや通常よりも現地での選別を厳しくしたハイクラス品のことをスペシャルティー(スペシャリティー)コーヒーと称する差別化が普及しつつある。また生産国(特に中南米で盛んである)で行われている品評会に入賞した農園の豆をオークションなどを使用して購入し、スペシャルティーコーヒー以上のプレミア品として更に差別化している販売業者も見受けられる。
代表的なコーヒー豆[編集]
代表的なコーヒー豆の味や特徴を挙げる。産地国を名としないものは括弧書きで産地国を付記する。なおレギュラーコーヒーに使われるものはアラビカ種またはロブスタ種が主流の雑種である[8]。
ブルーマウンテン(ジャマイカ)
卓越した香気を持ち、調和の取れた味わい、軽い口当りと滑らかな咽越しが特徴。最高級の品質と呼ばれる。ジャマイカで生産されるコーヒーのうちごく一部の産地のものがブルーマウンテンとブランド付けられる。その中でもさらにランク付けがなされる[9]。
コナ(ハワイ島)
非常に強い酸味とコク・風味を持つ。ブレンドに用いると良質な酸味が与えられるといわれる。ブルーマウンテンに次ぐブランドで高価である。
キリマンジャロ(タンザニア)
タンザニア産のコーヒーの日本での呼称。強い酸味とコクが特長。「野性味あふれる」と評されることが多い。深い焙煎では上品な苦味主体で浅 - 中煎りとは違った風味が楽しめる。
モカ(イエメン、エチオピア)
香気に優れ独特の酸味を持ち、甘みとコクが加わる。もっとも古い「ブランド」である。コーヒー原産地であり、イタリアなどではコーヒーのことをモカと呼ぶ。イエメン産の「マタリ」[10]、エチオピア産の「ハラー」、「シダモ」等が有名。[11]
グアテマラ
酸味とコクに優れ、香気も良好で全体的に華やかさとキレのいい後味が特徴。
ブラジル
香りの甘さが軽快で酸味・コク、苦みともに軽くバランスが良い。安価でありブレンドのベースとして多く使われる。
コロンビア
酸味と甘味が重厚だが突出せずバランスが良い。安価でありブレンドのベースに使われることも多い。コーヒーの基本の味。
マンデリン(インドネシア)
スマトラ島産。苦味とコクを中心とした味わい、酸味はなく独特な後味がある。日本ではブルーマウンテンが現れるまでは世界一と評されていた。
トラジャ(インドネシア)
スラウェシ島産。苦みが中心の味で、非常に濃厚なコクを持つ。酸味は無い。カロシ・トラジャもしくは単にカロシという名称が使われることもある。
ジャワコーヒー(インドネシア)
ジャワ島産の主にアラビカ種コーヒーを指す。かつての大産地でモカとブレンドしたモカジャバは最初のブレンドといわれるが、葉さび病と経済恐慌で産地が大打撃を受けて以降は産出量が少なく目にすることはまれである。現在[いつ?]手にはいるものは丸くマイルドな味。ジャワ島は専らアイスコーヒー・エスプレッソ・工業用に使用されるロブスタ種の主要な産地であるため、限定してアラビカ種を指す場合はジャワ・アラビカともいう。
ケニア
フルーツのような爽やかな風味が特徴。全体的に強い風味でバランスが良い。ドイツなどヨーロッパではタンザニア産とともに一般的な銘柄。深めの焙煎が多い。
サルバドル(エルサルバドル)
強く主張する味は無く、全体に甘く上品で柔らかな印象の味わい。
コスタリカ
どちらかというと酸味系で苦味控えめの味わい、軽めでクリアな飲み口。
パプアニューギニア
浅い焙煎では軽くてクセの少ない風味、深い焙煎ではキレの良い強い苦味とコクのある風味。良質な香気も特徴。最高級品質と言われるブルーマウンテンの苗木をそのまま移植して栽培した品種である。
キューバ
ブルーマウンテンに似た軽くてバランスの良い風味と上品な香気が特徴。ドミニカ共和国やハイチなどカリブ海地域の島国産のコーヒーは総じて似た傾向の風味を有する。
インド
インドのコーヒー栽培は400年以上の歴史があり、世界中のコーヒー産地の中でも有数の歴史と伝統を誇る。森の生態系を活かしながら有機的な農法で育てられ、5 - 6月に吹くモンスーンを利用した、約7週間を経てできる独特の香味は、欧米の多数の国で愛飲されている最高級品である。
ベトナムなどアジア地域
ベトナムやネパール、中国など近年になって輸出向けにアラビカ種を導入した地域では、人気のある中南米地域の品種の苗木を導入しているが気候や土壌、生産技術の違いからか同じ品種でも独特の風味を持っている、総じてやや導入もとの中南米地域産に比べて重めの風味になり、酸味は控えめで香気もやや弱くなる傾向がある。
精製[編集]
コーヒーの果実と種子(コーヒー豆)の構造
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。コーヒーの精製には主に乾式(乾燥式・非水洗式)と湿式(水洗式)の二種類がある。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われる。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10 - 12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出される。
乾式(乾燥式・非水洗式)
収穫した果実を乾燥場に平らに広げて天日で干し、完全に乾燥した果肉を機械的に除く。モカ及びマンデリンの産地とブラジルで行われることが多い。
湿式(水洗式)
外皮と果肉を機械的に取り除いた後で、水槽に1、2日つけて発酵させて種子(パーチメントコーヒー)を取り出す方法。コロンビアなど、ブラジル以外の産地で行われることが多い。
この他、乾式と湿式を組み合わせた半湿式(半水洗式)や、ジャコウネコなどの動物に食べさせて、その糞から取り出すもの(コピ・ルアク)などがある。
焙煎[編集]
精製された生のコーヒー豆は次に焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者が行うほか、コーヒー豆小売りを行う販売店や喫茶店などで自家焙煎される。また家庭で生豆から焙煎することも可能であり、近年[いつ?]は専門店等で生豆の小売も多く見られる。
日本の家庭ではフライパンや焙烙(ほうろく)、ギンナン煎りに用いる金属製の手網などで焙煎することがあるが、プロの多くは焙煎機(コーヒーロースター)と呼ばれる専用の機械で行われる。これらの焙煎方法は加熱原理と熱源の違いによって以下のように分類される。
• 直火焙煎
• 熱風焙煎
• 遠赤外線焙煎
• マイクロ波焙煎
• 過熱水蒸気焙煎(日本独自のものである)
上記が同時に進行するような焙煎方法もある。
• 半直火焙煎…熱風焙煎と直火焙煎
• 炭火焙煎(日本独自)…熱風焙煎と遠赤外線焙煎
• セラミック焙煎(日本独自)…直火焙煎と遠赤外線焙煎
コーヒーが焙煎されるとき豆の温度は約200℃程度まで到達する。一般的な焙煎方法ではおよそ10 - 20分程度の加熱時間を必要とする。
焙煎の度合いのことを焙煎度といい、焙煎度の低いものを浅煎り、高いものを深煎りと呼ぶ。浅煎りされたコーヒー豆は薄い褐色で、深煎りへと進行するにつれて黒褐色へと変化し表面に油がにじみ出てくる。浅煎りと深煎りの中間にあたるものを中煎りと呼ぶこともあるが、これらは相対的な呼び名であって明確に定められているものではなく、販売店舗などによっても異なる。また、日本では以下の8段階(浅煎り→深煎りの順)の焙煎度を用いる場合もある。
• ライト (light)
• シナモン (cinnamon)
• ミディアム (medium)
• ハイ (high)
• シティ (city)
• フルシティ (Full city)
• フレンチ (French)
• イタリアン (Italian)
一般に、浅煎りは香りや酸味に優れ深煎りは苦味に優れると言われているが、嗜好の問題であるため、総合的に見てどちらかが優れているということは特にない。 通常使われる焙煎度は、ミディアムからイタリアンである。
ブレンド[編集]
コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。
ブレンドは焙煎前に豆を混合するプレミックスと焙煎後に混合するアフターミックスがある。プレミックスは調和の取れた味になり大量生産にも向いている[12]一方で、個々の豆の焙煎の加減を調整しづらい。それに対してアフターミックスは豆の焙煎状態を最良にしやすいが、別々に焙煎する分手間が掛かる[13]。
ブレンドは複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることにより、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。
粉砕[編集]
手動ミル
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に粉状に細かく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕(グラインド)という。粉砕にはコーヒーミルと呼ぶ器具あるいはグラインダーと呼ぶ機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。粉砕粒子度合いと抽出法については、アメリカ商務省の推奨規格やそれを規定した専門書(具体的数値はコーヒーミルを参照)などがある。しかし多くの場合はそれらに直接従うことは少なく、当事者の経験や大まかな伝聞によって粒子度合いを決めていると考えられる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。
飲み物としてのコーヒー[編集]
飲み物としてのコーヒーは、直前にコーヒー豆から抽出して飲むレギュラーコーヒーと、レギュラーコーヒーから工業的に作られるもの(インスタントコーヒーや缶コーヒーなど)に大別できる(「レギュラーコーヒー」はインスタントコーヒーや缶コーヒーに対するレトロニムである)。コーヒーの淹れ方や飲み方は地域によってさまざまであり、また個人の嗜好によっても大きく異なる。
レギュラーコーヒー[編集]
焙煎されて粉砕されたコーヒーの粉は、湯または水に接触させることで中の成分を抽出し、我々が口にする飲み物としてのコーヒーが出来上がる。このときの抽出方法、すなわちコーヒーの淹れ方には様々な方法が存在する。コーヒー専用の抽出器具が多く考案されており、それぞれの淹れ方は用いる器具の名前で呼ばれることが多い。
コーヒーの風味は、焙煎の度合いや挽き加減(細かく、粗く等)、淹れ方や用いる器具などにより異なるが、それぞれの持ち味があるのに加えて本人の嗜好の問題であるため、万人が最善の方法だというものは存在しない。
濾過[編集]
ドリップ
ウォータードリップ (水出し)
専用の機材を用い水でコーヒーを抽出する方法。点滴のように少しずつ水を落として抽出するため、1杯辺り8時間程度を目安とする。抽出する器具もインテリアとして活用される。近年、安価な器具が登場し、一般の家庭でも楽しめるまでになっている。オランダ領時代のインドネシアで、ドリップ式では苦みが強く出てしまうロブスタ種のコーヒー豆を飲むために考案されたことからダッチコーヒーとも言う。現在ではアラビカ種の豆にも用いており、繊細な風味を活かすための方法である。
ペーパードリップ
日本で最も普及していると思われる淹れ方。ドリッパー(一種の漏斗)にフィルタ(漉し紙)をセットし、粉を入れ適量の湯を注ぎ、30秒程度蒸らした後に抽出を開始する。ドリッパの湯が完全に切れる前に外すと雑味の無いコーヒーとなる。
前述の手順さえ守れば誰でも一定水準のコーヒーが淹れられるのがこの方式の最大の利点である。
ペーパードリップの方法は、1908年にドイツ人女性メリタ・ベンツが考案した。
メリタ式(抽出穴1つ)とカリタ式(同3つ)が存在し、最適なメッシュ(挽き具合)が異なるとされている。一般的に、メリタの方が細挽きで抽出される。抽出法の違いは、メリタ式が杯数分の湯を全量フィルターに投入し滴下しきるのを待つのに対し、カリタ式は湯を投入し続け、フィルタの下のデカンタに杯数分滴下した段階でフィルタをはずし、フィルタ内の抽出中の湯(コーヒー)は廃棄する。従って、カリタの方が経験を要し、味のぶれる要素は大きいとも言える。
サイフォン社のコーノ式や、ハリオ社の製品等で「円錐ドリップ」と呼ばれるものが普及しつつある。これは、ペーパーフィルターに折った時にその形が円錐になるものを用い、それを円錐形のドリッパーにセットして使用する。ペーパーをセットした際に、円錐形のペーパーの先端がドリッパーの穴から少し飛び出すようになるのが特徴で、これにより抽出されたコーヒー液は、直接ペーパーの先端部分から容器に落ちる。別名「一点抽出法」、よりネルドリップに近い抽出様式になるように考案されたもので、同じ粗さのコーヒー粉を用いた場合、メリタ式やカリタ式よりも湯の透過速度が速い。
その他、ペーパーフィルターを用いた抽出法として松屋式やコーヒーバネット等のらせん状の金属の枠にペーパーをセットして抽出する方法や、一旦必要量の湯とコーヒー粉を容器で混合し、浮いてくる灰汁をすくって取り除いた後に数分置き、それをペーパーで濾して飲むという浸漬式との組み合わせのような方法、さらには一端にフィルターのセットされた外筒の中で湯とコーヒー粉を混合し、ゴムシールのついた内筒を押しこむことで空気圧をかけてろ過するという浸漬式との組み合わせのような方法(エアロプレス)も存在する。
コーヒーメーカーがもっとも多く採用している淹れ方でもある。
ネルドリップ
フィルタとして布(綿フランネル)を使用する抽出法。布と紙の材質の違いからペーパードリップよりもコーヒーに含まれる油分がより抽出されるのでペーパーでの抽出に比べてまろやかでボディ感のある味となる傾向があり、またペーパードリップのように紙の影響を受けない。味と香りは、抽出方法に大きく左右される。基本的にはドリッパーを使用しないためにドリッパーが温められることによりある程度抽出液の温度が保たれるペーパー式に比べ抽出時に抽出液の温度が下がりやすい。
ネルの取り扱いには注意を要する。使用後のネルはコーヒーの油膜の酸化を避けるため、直ちに洗浄し、冷水に浸けて保存する。臭いが移るのを避けるため、洗浄の際は洗剤の類を使用しない。新品のネルは抽出済みのコーヒー粉を入れた湯で煮沸し、洗浄後に使用する。
その他の濾過材
濾過材に水分透過性のある岩石(溶岩など)や金属(金やステンレス鋼など)、セラミックスを用いた方法など、濾過材の種類よって様々なドリップ方法が考案されている。
エスプレッソマシン/マキネッタ
高温、高圧をもって一気に抽出するエスプレッソマシンと、飽和水蒸気を使用する直火式のマキネッタがある。詳細はエスプレッソ項を参照のこと。
煮沸後濾過[編集]
コーヒーサイフォン
サーバと漏斗から構成され、漏斗部にネルまたはペーパーフィルターをセットし、粉を入れる。サーバ部に水をいれ、加熱し、湯が漏斗部に上がったら頃合いを見計らって火から下ろす。
最近[いつ?]、アルコールランプやガスコンロ等を使用する直火式以外に電熱式も普及しつつある。
パーコレータ
コーヒー粉の入った籠状部分に湯を循環させ、抽出する。機材の構造が単純であるため、メンテナンスは非常に容易でキャンプ等で用いられるが、美味しく抽出するのには熟練を要する。
煮沸[編集]
トルココーヒー
ジェズヴェ(イブリック)という名の銅製または真鍮製のひしゃくのような形をした柄の深い小鍋に、深煎り細挽きの粉と水、砂糖を入れ直火にかける。かき混ぜながら煮沸し、煮立つ直前に火から離し落ち着いたら再度火にかける。これを2、3回繰り返し、表面の泡を消さないようにカップに注ぐ。
まず泡の味を楽しみ、粉の沈殿後に上澄みのみを飲用する。カップの底に粉が残ることから、この模様で運勢を占う「コーヒー占い」という習慣もある。
概ね深入りの豆を、ターキッシュミルという専用のミルで微粉末状にしたものを使用する。砂糖以外にもカルダモンやクローブ、シナモン、コショウ等のスパイスを入れることもある。
ボイル
単純な煮沸法。粉と水を鍋に入れて煮沸して抽出し、上澄みだけを飲む。北欧やギリシャで見られる淹れ方で、トルココーヒーに由来する淹れ方だと考えられる。
浸漬(しんせき、しんし)[編集]
フレンチ・プレス
コーヒープレス
粉と湯をプランジャーポットと呼ばれる器具(他にもティーサーバー、カフェティエール、ボナポット、フレンチプレス、メリオールなど様々な呼称がある)に一緒に入れて抽出する。プランジャーと呼ばれる軸の先端には金属やナイロン製のフィルターが付いており、このプランジャーを押し下げて抽出済みのコーヒーかすを沈め、上澄み部分をカップに移す。イギリスではコーヒーを入れるのにペーパーフィルター式よりもこのプランジャーが普及している。スティーピングに近いものとなっている。
コーヒーバッグ
コーヒー粉を布製の袋に入れ、それを水や湯に付けて抽出する。
スティーピング
単純な浸漬法。カップにコーヒーの粉と湯を加えてしばらく待ち、上澄みだけを飲む(コーヒーのテイスティング時にこの方法が用いられる)。
さまざまな飲み方[編集]
温度別
コーヒーは熱湯で抽出されることが多く、抽出されたそのままを、あるいは温め直されたものがホット・コーヒーとして飲まれる。夏場などには、専用に濃く抽出したコーヒーを冷やしてアイス・コーヒーとして飲まれることも多い。
ブラックコーヒー
抽出されたコーヒーに何も加えずそのまま飲むものをブラック・コーヒーあるいは単にブラックと呼ぶ。多くの場合は、これに砂糖とクリームなどの乳製品を別に添えて出される。この場合、砂糖(グラニュー糖、白砂糖など)やクリームは飲む人が自分の好みに応じて加える。「コーヒー通は専らブラックで飲む」という説を唱える人もいるが必ずしもそうとは言えず、むしろ本人の嗜好による。
英語でblackとは日本と同様、何も加えないことを指すこともあれば、砂糖の有無については問わずに乳製品を加えないコーヒーを指すこともある。また、日本国内で販売されている缶コーヒーで、いくつかの商品は「加糖ブラック」と表記されている。
バリエーション・コーヒー
また、上記した以外にも、牛乳やアルコール、香料などを加えて飲まれることがある。これらはバリエーション・コーヒー(アレンジ・コーヒー)と呼ばれる。エスプレッソやダッチ・コーヒーなど特殊な淹れ方をするコーヒーも、最も普及しているドリップ式のコーヒーと区別する目的でバリエーション・コーヒーに含めて述べられることが多い。
コーヒーのバリエーション[編集]
アイスコーヒー
カフェ・オ・レ
アイス・カフェ・オ・レ
エスプレッソ
カフェ・ラッテ
カプチーノ
ウィンナ・コーヒー
アイリッシュ・コーヒー
ダッチ・コーヒー
カフェ・ロワイヤル
アラビア・コーヒー
浅煎りの豆を小鍋で煮出し、砂糖なしで飲む。
トルココーヒー
細かく挽いた豆を(好みによって砂糖とともに)濃く煮出し、濾さずにカップに注いだものから上澄みだけを飲む。
ベトナムコーヒー
カップの底に練乳を入れた上にフレンチローストコーヒーを注いだもの。豆は深煎りしたロブスタ種を用いる。
コロンビア式コーヒー
ティントとも呼ばれる、黒砂糖を加えた沸騰した湯を用い、火を落してから粉を加え、数分静置して粉が沈んだところで上澄みだけ飲む。
インディアンコーヒー
南インドで好まれるインド風カフェ・オ・レ。インド製のコーヒー・フィルターを使う。鍋にミルクを入れて温め、ミルクが沸騰直前に深煎で入れたコーヒーと、砂糖、塩少々を入れる。2つのカップを行き来させて、泡立てて飲む。
アメリカン・コーヒー
湯で薄めたコーヒーとの認識が一般的であるためにバリエーション・コーヒーと言い難いが、本来は浅煎り豆から薄めに抽出したコーヒーのこと。アメリカで一時期コーヒー豆の高騰により少ない量でもおいしく飲めるように浅煎りを用いていたことが起源。
グリーンコーヒーはコーヒー豆の焙煎前の生豆をさすが、近年スマカフェなどのメーカーが独自の手法で成分を抽出し商品化した。
グリーン・コーヒー
焙煎する前の生豆の状態から成分を抽出したコーヒーで、加熱で壊れやすいクロロゲン酸が効率的に摂取できることから、2011年のインドMallya HospitalのM.V.Nagendranらによる研究結果以降、アメリカを中心にブームが起こる。研究結果では血糖値減少効果、ダイエットと体脂肪の平均15.8%、BMI10.3%の大幅減少などが確認された。これに伴い生豆成分を手軽に飲めるように商品化もされており、植物抽出技術を持つスマカフェなどの会社による販売も行われている[14][15]。
サルタナコーヒー
コーヒー豆ではなく、コーヒーの実を乾燥させたものを少し焙ってから煮出したもの。イエメンではギシルと呼ばれる。
コーヒーぜんざい
小豆の餡を加えたコーヒー。生クリームやアイスクリームを同時に添えることも多い。餡コーヒー、あずきコーヒーとも。
鴛鴦茶(コーヒー紅茶)
香港式で、別途淹れた紅茶と混ぜて、砂糖、練乳を加え、ホットまたはアイスで飲む。
レモンコーヒー
レモンティーの様にレモンスライスを浮かべ、アイスまたはホットで飲む。イタリア南部や香港で見られる。
フラッペ
ギリシャで飲まれているアイスコーヒーの一種で、グラスの中にインスタント・コーヒーの粉と水、練乳を加え、シェイカーでかき混ぜてから、氷を入れて飲む。かき混ぜる段階で泡がグラスの半分以上になるのが特徴。また練乳が入る為、かなり甘い。
塩コーヒー
通常のコーヒーに少量の塩を加えたもの。コーヒーに塩味を付けるのではなく、苦みを抑えて口当たりをまろやかにするのが目的のため、塩の量はひとつまみ程度にとどめる。
海軍風コーヒー
アメリカ海軍に伝わる塩コーヒーの一種。通常の1.5倍量のレギュラーコーヒー粉に食塩少々を混ぜ、ドリップする。
レギュラーコーヒー以外のコーヒー[編集]
抽出の手間を掛けずに手軽にコーヒーを飲むためのものとして、インスタントコーヒー、缶コーヒー、リキッドコーヒーが工業的に生産されている。
日本における、缶コーヒー製品などの「コーヒー」表示は、「コーヒー飲料などの表示に関する公正競争規約」に基づく区分により、製品内容量100グラム中の生豆使用量によって、次の3種類に区分される。
コーヒー
5グラム以上
コーヒー飲料
2.5グラム以上5グラム未満
コーヒー入り清涼飲料
1グラム以上2.5グラム未満
製品に乳固形分を3%以上を含むものは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に基づき「乳飲料」となる。(カフェ・オ・レ、カフェ・ラッテ、コーヒー牛乳など)
インスタントコーヒー[編集]
詳細は「インスタントコーヒー」を参照
お湯で溶かして飲むタイプのコーヒー。公正競争規約上は中にコーヒー豆を含まず、コーヒー抽出液のみを原料とする製品に限られる(中にコーヒー豆を含むと「レギュラーコーヒー」扱いになる)。このため、2010年代に入り中にコーヒー豆を含む製品を含んだ総称として(特にネスレが他社との差別化のため、2013年9月出荷分から)「ソリュブルコーヒー」という呼称も使われるようになった。「ソリュブル」とは“溶け易い”の意。
缶コーヒー[編集]
詳細は「缶コーヒー」を参照
抽出・調味されたコーヒーを缶に充填したタイプのコーヒー。しばしば貯蔵中のコーヒーの劣化が問題となってきた[16]。
リキッドコーヒー[編集]
ペットボトルや紙パックなどの容器に充填したタイプのコーヒー。ボトル入りのものはボトルコーヒーともいう。コーヒーを一杯分ずつ小分けにしたものとしてポーションコーヒーがある。
代用コーヒー[編集]
「たんぽぽコーヒー」および「どんぐりコーヒー」も参照
代用コーヒーとは、コーヒー豆以外の原料を使って造られたコーヒーを模した飲料である。
代用コーヒーについての最古の記録はフリードリヒ2世統治下のプロイセンで見られ、コーヒー豆の輸入超過を抑制し、国内ビール産業の保護を目的とした1777年のビール・コーヒー条例によってコーヒーに高い関税が掛けられることになった結果、その代用として庶民が代用品を飲む様になったと記されている。また、南北戦争中の米国や、第一次・第二次世界大戦の時にコーヒー豆の輸入が滞った地域(日本など)や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。
代用コーヒーの原料としてはタンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、アーモンド、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、根セロリ、パンの耳、綿の種子、オクラの種子など。これらはたいてい煎ったものを粉末にし、お湯を注いで飲んだ。
代用コーヒーはあくまで代用品として考案されたものなので、コーヒーの安定供給が続いている地域・時代ではその消費量は少ない。しかし、代用コーヒーのほとんどはカフェインを含んでいないため、カフェインの摂取を避けている人がコーヒーの代わりに飲む場合がある。また大豆コーヒーなどは大豆の栄養価が評価され、健康食品として販売されている。価格については代用食品ではあるものの、本物のコーヒーよりもかなり高額な場合が多い。
飲料以外の用途[編集]
コーヒーには飲む以外に様々な用途がある。
食品原料
• コーヒー豆から抽出したエキスを香り付けや味付けのために用いたもの
• ういろうなどの和菓子
• ビスケット、パン、ケーキなどの焼き菓子
• ガム、チョコレートなどの洋菓子
• コーヒーゼリーなどのチルドデザート類
• コーヒー牛乳などの清涼飲料・乳飲料
• カルーア - コーヒー豆を使ったリキュール
ハイカロ炭
その他
• 染料
• 脱臭剤 - コーヒー豆の出し殻を使う。出し殻は応用範囲が広い。
• 成形木炭 - コーヒー豆の出し殻を木炭化し成形したもの。ハイカロ炭などの商品名で流通している。
• コーヒー風呂: 焙煎した豆を荒挽きにして酵素を用いて自然発熱させた砂風呂形式の風呂、または抽出した飲用コーヒーをそのまま用いる風呂。家庭用にコーヒー粉末をティーバッグ状にして浴槽に入れる製品がある。
• カタツムリ・ナメクジよけ - これらの種にはカフェイン成分が微量でも毒性として働く[17]ため、コーヒーならびにコーヒー殻は有効である。
• 浣腸 - コーヒーを成分とする溶液を肛門から注入、直腸洗浄する事で「肌が改善」などと謳う健康療法があるが医学的な根拠は無い。
この他、コーヒーの実自体をスープに入れたり、粥のようにしたりして食べるという行為が、10世紀頃には行われていたことがある。この方法でコーヒーを摂取しても眠気覚ましなどに効果があったと言われている。
成分[編集]
コーヒーの成分
コーヒーの生豆には多糖を中心とする糖類、アミノ酸やタンパク質、脂質の他、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸、アルカロイドであるカフェイン(豆重量の1%程度)やトリゴネリン、ジテルペンであるカフェストールやカーウェオールなど、特徴的な成分が含まれている。
これらの成分は焙煎されることによって化学変化を起こし、その結果数百種類にのぼる成分が焙煎豆に含まれる。焙煎の初期にまず生豆中の水分が蒸発し、その後一連の焙焦反応と呼ばれる反応が起きる。多糖やタンパク質はこの過程で加熱分解され、それぞれ低分子の糖類やアミノ酸を生じ、さまざまなコーヒーの味と香りを生み出す。クロロゲン酸がこれらの分子と共に加熱されることで褐色色素が生じ、コーヒーの色を生み出す。この他、糖類のみの加熱により生じるカラメルや、糖類とアミノ酸によるメイラード反応なども色素の生成に関与する。これらの色素はコーヒーメラノイジンと総称される。コーヒーの揮発性成分としては約900種類の化合物が同定されている。中でもコーヒーの香りに大きな寄与をしている成分としては以下のものが知られている。甘い蜜様の香りを持つβ-ダマセノン、コーヒーの特徴的な香りを持つ2-フリルメタンチオール、トロピカルフルーツ的な香りを持つギ酸3-スルファニル-3-メチルブチル、カラメル様の香気を持つフラネオール、ホモフラネオール、ソトロン、ホモソトロン、木クレオソート様の香りを持つグアイアコール、4-ビニルグアイアコール、4-エチルグアイアコール、醤油様の香りを持つメチオナール、ナッツ様のロースト香を持つ2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、バニラ様の香りを持つバニリンなどである。ダマセノンはカロチノイドの分解により、グアイアコール類とバニリンはリグニンの分解により、カラメル様の香りの化合物は糖類の分解により、ピラジンなどその他の化合物は糖類とアミノ酸からメイラード反応で生じるとされている。これらの分子はすべて、苦味や酸味、甘味などのコーヒーの味を決定する上でも重要である。
最終的に飲み物であるコーヒーの抽出液には、これらのうち水溶性の比較的高い成分が溶出される。抽出されたコーヒーは0.04%程度のカフェインを含むが、それ以外の多くの成分についてはほとんど解明が進んでいないのが現状である。
これらの成分はコーヒーの複雑な味と香りを生み出すだけでなく、覚醒作用に代表されるようなコーヒーのさまざまな作用の原因にもなる。
医薬的効果[編集]
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コーヒーは発見当初から眠気防止や疲労回復などの作用を持つことに注目されてきた薬用植物である。しかしその一方、コーヒーが過度の刺激剤や興奮剤として働く可能性を指摘し、敬遠する人も存在している。一方で近年になってコーヒーの制癌作用や抗酸化作用が注目され始め、多くの検証データが発表された。このことからコーヒーが人体に及ぼす作用は医学・薬学的な関心を集め、さまざまな知見が得られている。2015年5月7日には国立がん研究センターなどの研究チームがコーヒーおよび緑茶を日常的に摂取する人が、そうでない人に比較し病気などで死亡するリスクが大幅に低減するとする調査結果をまとめた[18]。
医学的・薬学的研究の結果から、コーヒーの作用としてほぼ合意が得られている作用には以下のようなものが挙げられる。
習慣性
コーヒーには軽度の習慣性があるとされる。これはカフェインによる作用だと言われている。カフェインには軽い依存症を引き起こす働きがある。また一日に300mg以上(コーヒー3杯に相当)のカフェインを常用する人には、カフェイン禁断頭痛と呼ばれる一種の禁断症状が現れることがある。これは最後のカフェイン摂取から24時間以上経過すると偏頭痛様の症状が現れるものである。このカフェイン禁断頭痛は症状が現れてから、カフェインを摂取することで30分以内に消失するが、カフェインを摂取しない場合は2日程度継続する。ただし、これらの症状は麻薬類やニコチン、アルコールと比較して、きわめて軽微なものだと考えられており、規制や年齢制限などは必要ないと考えられている。
急性作用
コーヒーを摂取後、数分から数時間に出てくる代表的な作用として次のものが挙げられる。これらの急性作用は遅くとも一日以内には消失するものであり、健常時には特に健康上の問題を引き起こすことはないと考えられている。しかしながら過度に摂取した場合やそのときの体調によっては、一過性に問題を起こすことがある。また、特に消化器疾患、高血圧、パニック障害などの疾患がある場合など、特定の患者や病態によっては、これらの通常は無害な作用が有害に働くことがあるため、注意が必要である。
• 中枢神経興奮作用(精神の高揚・眠気防止/不安・不眠)
• 骨格筋運動亢進作用(筋肉の疲労を取る/ふるえ)
• 血圧上昇
• 利尿作用
• 胃液分泌促進(消化促進/胃炎を悪化させる)
• 血中コレステロール(LDL, TC)増加
• 大腸ぜん動運動の亢進(緩下作用/下痢)
慢性作用
コーヒーを長期間に亘って飲用した場合についても、多くの疫学的研究が古くから数多く行われてきた。1980年までには「コーヒーが体に悪い」という視点からの報告が多かったが、それらの研究の多くは1990年代に、より精度を高めた追試によって否定されている。一方、1990年代からは「コーヒーが体に良い」という視点からの研究もなされている[19]。
• 発症リスク低下(ほぼ確証):パーキンソン病・大腸がん・直腸がん・2型糖尿病
• リスク低下の報告あるが論争中 :アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石
• リスク上昇の報告あったが後に否定された:高脂血症・膵臓がん・心不全・十二指腸潰瘍
• リスク上昇の報告あるが論争中:関節リウマチ・高血圧・死産リスク・骨粗鬆症・膀胱がん
• 発症リスク上昇(ほぼ確証):(今のところ特になし)
コーヒーに含まれるクロロゲン酸にマルトースをグルコースに分解する酵素であるα-グルコシダーゼの阻害活性が認められ、ラットで食後の血糖上昇の抑制作用が認められた。カフェインにはα-グルコシダーゼ阻害活性は認められなかった[20]。コーヒーをよく飲む人たちでは糖尿病発症のリスクが低くなる傾向が見られた[21]。
制癌作用
• 国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部(津金昌一郎、田島和雄ら)の調査により、肺ガン抑制効果が確認された。これは約10年間にわたる40 - 60歳代の男女約9万人に対する追跡調査で、計334人が肝細胞がんと診断され、コーヒーの摂取と肝細胞がんになるリスクの関係を統計的に分析した。日常的にコーヒーを飲む人が肝臓がんになる率は10万人当たり約214人で、ほとんど飲まない人の場合は約547人。1日に1〜2杯の人よりも、3〜4杯の人の方がリスクが減ったとされ、研究チームはコーヒーに含まれる抗酸化作用をもつ成分の影響かとしている[22]。ただし、津金昌一郎研究部長は2008年、「いずれにせよまだ研究途上」と語っている[23]。
• 2009年、同研究部が実施したコーヒー摂取と肝がんとの関連に関する調査(対象者18815人、13年の追跡調査)では、 「コーヒーをほとんど飲まない」人が肝がんを発生する割合を1とした場合、「1日1杯未満」の集団では0.67、「1日1〜2杯飲む」集団は0.49、「1日3杯以上」は0.54となり、癌になる割合がおよそ半減するというデータが得られた。クロロゲン酸やカフェインなどの成分が肝機能酵素活性を改善したり、肝細胞炎症を軽減させたりしたのではないか、という考えが示されている[24]。
• 東京農工大学の研究グループは、試験管内の実験にてコーヒーに含まれるクロロゲンにガン細胞の転移を抑制する働きがあることを発見した。
• スウェーデンのカロリンスカ(Karolinska)研究所が、複数の研究成果のメタ解析で、毎日2杯のコーヒーの摂取により、肝がんの発症リスクを約4割減少させることができることを明らかにした。この予防効果は、肝臓関連の既往症がある場合でも同等であった[25]。
• 和歌山県立医科大学化学教室(当時)の岩橋秀夫教授らは実験により、コーヒーに含まれるクロロゲン酸がフリーラジカルの生成を阻害する仕組みを解明した。これはフリーラジカルの生成の阻害および、酸化の予防という二重の防御壁により、ガンを防ぐものと考えられている。
• コーヒーは女性の浸潤結腸がんのリスクを低下させる[26]。
ヒトに対する発癌性が疑われる
• IARCは、コーヒー酸とコーヒー(膀胱癌のみ)をグループ2B:発がん性があるかもしれないもの、としている[27][28]。
抗酸化作用
2015年5月7日、日本の国立がん研究センターなどの研究チームがコーヒーおよび緑茶を日常的に摂取する人が、そうでない人に比較し病気などで死亡するリスクが大幅に低減するとする調査結果をまとめた。調査は19年間にわたる追跡で日本全国の40-69歳の男女約9万人に対し行われ、他の生活習慣などと合わせ質問し、コーヒーおよび緑茶を1日にどれだけ摂取するか、というものであったが、その結果コーヒーを1日に3 - 4杯飲む者はほとんど飲まない者に対し、死亡リスクが24%低かった(緑茶=1日1杯未満の者に対し、1日5杯以上飲む男性で13%、女性で17%低減。死亡リスクにかかわる年齢及び運動習慣などは影響を与えないよう統計学的に調整済み)。19年間では約13,0000人が死亡していた。同チームは、調査結果の原因をコーヒーに含まれるポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンによる血圧降下作用、両方に含有されるカフェインが血管や呼吸器の働きを高めている可能性を指摘した。[18]。
その他の健康情報
この他にも、経験的に言われている効用、さらには風説の類いまで含め、多くのコーヒーの作用が語られている。これらの中には、研究結果を誤解したもの、商用の宣伝目的と考えられるものなども含まれているため、他の健康ブームに乗った情報と同様、活用にあたっては注意が必要である。
• 麻薬中毒者やタバコをやめたい人などが、コーヒーを飲用することにより禁断症状がやや緩和されるという。
• 近年の研究では低血圧症、高血圧症の場合、血圧値を正常値に戻す働きがある事が指摘されている。また、善玉コレステロールを増やすなど心筋梗塞の予防にも役立つとの指摘もある。
• コーヒーは「アルカリ性飲料」だとする主張。これは日本のコーヒーの業界団体である全日本コーヒー協会が昭和63年頃から行っていたキャンペーンの影響だと思われる。当時はコーヒーは健康に悪いと考える風潮があり、それに対抗するために喫茶店経営者などに配布した「コーヒー&ヘルス」という小冊子にこの記述があった。コーヒーはアルカリ性ではなく酸性(pH 5 - 6)を示す(梅干しは酸性を示すがアルカリ性食品であると表現するのと同様の理由と思われる)。
• 「酸化したコーヒーは体に悪い」という主張をする人がいる。コーヒー豆を保存するとき成分の酸化(特に脂質の酸敗)による品質低下が問題になること、抽出したコーヒーを保温しつづけると色素の酸化重合や過酸化水素などのフリーラジカルの生成がおきることが知られているが、健康との関係についての研究報告はまだ行われていない。[29]
• コーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類を始め、豊富な抗酸化物質が含まれており、肌の張りをよくし老化を防止する効果があるといわれている。
文化[編集]
コーヒーにまつわる名言[編集]
• 「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」―フランスの政治家、タレーラン=ペリゴール
• 「コーヒーは地獄のように黒く、死のように濃く、恋のように甘くなければならない。」―トルコの諺
• 「数学者はコーヒーを定理に変える機械だ。」―ハンガリーの数学者、アルフレッド・レニー(英語版)[30]
• 「私は自分の人生をコーヒースプーンで計り尽くした。」―詩人、T・S・エリオット『J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌』
コーヒーを題材にした作品[編集]
音楽[編集]
コーヒーは歌曲の中で取り上げられることも多く、コーヒーそのものを題名に入れた曲も少なくない。
コーヒー・カンタータ(作曲:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ BWV211 「そっと黙って、おしゃべりめさるな」 1732年)
バッハの世俗カンタータの一つで、コーヒー・マニアの娘と反コーヒー主義者の父親の争いを歌うコミカルな作品。バッハはコーヒー愛飲家であった。
一杯のコーヒーから(歌:霧島昇+ミス・コロムビア、作詞:藤浦洸、作曲:服部良一 1939年)
日本の懐メロの曲。戦前から日本に喫茶店文化が根付いていたことを物語る曲でもある。
ブラック・コーヒー(Black coffee, 作詞:ポール・フランシス・ウェブスター 作曲:ソニー・バーク 1948年)
コーヒーと煙草に浸る失恋の倦怠と絶望を歌ったブルージーなジャズ・スタンダード。1949年にサラ・ヴォーンが初録音してヒットした。日本では1954年デッカ録音のペギー・リー版が名唱として知られる。
コーヒールンバ(Moliendo Café, 作詞・作曲:Jose Manzo Perroni 日本語詞作詞:中沢清二)
ベネズエラのアルパ奏者ウーゴ・ブランコが録音し世界的にヒット、日本でもエキゾチックさが好まれて何度もリバイバルしている。曲のリズムは実際にはルンバではない。 歌:西田佐知子(1961年)、国実百合(1991年 國實唯理名義)、荻野目洋子(1992年)、井上陽水(2001年)、工藤静香(2002年)
コーヒーはいかが(ドイツ民謡、作詞:花岡恵)
教育芸術社の音楽の教科書に掲載された。
映画[編集]
• ドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」ではエチオピアのコーヒー農家の実情を描いている。
(オランダ語: koffie[1] /ˈkɔfi/ コフィ[ヘルプ/ファイル])は、コーヒー豆(コーヒーノキの種子)を焙煎し挽いた粉末から、湯または水で成分を抽出した飲料。歴史への登場は酒や茶には遅れるが、世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料である。家庭や飲食店、職場などで飲用され、コーヒーの専門ショップも多数存在する。抽出前の粉末や粉砕前の焙煎豆も、同じくコーヒーと呼ばれることもある。日本語では「珈琲」と当て字されている[2]。
世界各国において、コーヒーを提供する場の喫茶店(コーヒー・ハウス、カフェ、カフェー)は近代、知識人や文学、美術などさまざまな分野の芸術家の集まる場として、文化的にも大きな役割を果たしてきた。さらに、石油に次いで貿易規模が大きい一次産品であるため、経済上も重要視されている。大体北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70箇国で生産され、アメリカ、ヨーロッパ、日本など全世界に輸出されている。カフェインに代表される薬理活性成分を含むことから医学・薬学の面から研究の対象となっている。
歴史[編集]
詳細は「コーヒーの歴史」を参照
コーヒーがいつ頃から人間に利用されていたかは、はっきりしていない。果実の赤い果肉は甘く食べられるため、種子の効用を知る機会も多かったと考えれば、有史以前から野生種が利用されていても不思議ではない。実際、アラビカ種は原産地エチオピアで古くから利用されていたとする説があり、リベリカ種は西アフリカ沿岸でヨーロッパ人が「発見」する以前から栽培・利用されていた。栽培史概略はコーヒーノキ参照。
現在見られる「焙煎した豆から抽出したコーヒー」が登場したのは13世紀以降と見られる。
最初は一部の修道者だけが用いる宗教的な秘薬であり、生の葉や豆を煮出した汁が用いられていた。しかし、焙煎によって嗜好品としての特長を備えると一般民衆へも広がり、1454年には一般民衆の飲用が正式に認められ、中東・イスラム世界全域からエジプトまで拡大した。 オスマン帝国からバルカン諸国、ヨーロッパには、16世紀に伝わり、1602年のローマ以降、17世紀中にヨーロッパ全土に伝播した。北米には、1668年ヨーロッパからの移民によって伝わった。
日本へは18世紀末にオランダ人が持ち込み、最初の記録は、1804年の大田南畝による『瓊浦又綴』(けいほゆうてつ)(随筆)(1804年) [3]。
抽出法も工夫され、挽いたコーヒー豆を煮出して上澄みを飲むトルココーヒー式の淹れ方から、まず布で濾す方法(1711年フランス)が開発され、布ドリップ(ネルドリップ)の原型となった。これに湯を注ぐ器具として、ドゥ・ベロワのポット(1800年頃フランス)が考案され、現在のドリップポットに至る。この他にも、パーコレータ(1827年フランス)、コーヒーサイフォン(1830年代ドイツ)、エスプレッソマシン(1901年イタリア)、ペーパードリップ(1908年ドイツ)などが開発され、多様な飲み方が可能となった。
• イスラム世界では、長らくイスラム戒律との関わりから一般民衆の飲用を認めない主張が続き、1454年にファトワが出された後も、反対意見は根強く、16世紀頃から一般民衆への普及によって民衆の社交場においてコーヒーが供される風習が生じると、1511年、厳格なイスラム戒律主義者だったメッカ総督がコーヒーを「大衆を堕落させる毒」として飲用を禁じ、焼き捨てを命じたメッカ事件が起きている。
• そのメッカから伝わったオスマン帝国では、17世紀初頭に世界初の近代的なコーヒーハウスが首都コンスタンティノープルで開業した。コーヒーハウスは中上流階級の社交場となり、コーヒーが伝わった先のヴェネツィアやローマでも同様なコーヒーハウスが開業してヨーロッパ中に広まった。
• イギリスでは1650年にオックスフォードに最初のコーヒーハウスが開業した後、17世紀にはロンドンを中心にコーヒーハウスが社交や議論、情報交換の場として隆盛を極めた。ロイド保険組合の前身もコーヒーハウスである。このイギリスのコーヒーハウスの隆盛は紅茶の普及により廃れる18世紀半ばまで続いた。
• フランスでは1669年には駐トルコ大使がルイ14世に献上したことがきっかけになって上流社会で流行し、さらに一般にも広まって多くのカフェが作られた。
• ウィーンでは、1683年、オスマン帝国による第二次ウィーン包囲が失敗した際に、オスマン軍が塹壕に残していったコーヒー豆をコルシツキーが戦利品として拝領し、ウィーン初のコーヒーハウスを開業したのが始まりといわれている。
• 日本では江戸時代から長崎を通して貿易品として輸入されていたが、嗜好品と言うよりも薬としての効果を期待されたもので、水腫に効果があるとされていた。これはコーヒーに含まれるビタミンの効用と考えられる。1807年の樺太出兵では野菜が摂取できないことによる兵の水腫病が問題になり、幕府から貴重なコーヒー豆が支給されたという。1855年頃、やはり寒さなどで殉難が多かった弘前藩士の為に幕府が薬用としてコーヒーを用意したという記録も残っている[4]。1888年(明治21年)4月13日、東京下谷に最初の喫茶店「可否茶館」が開店、明治時代末から大正時代にかけて(1911年 - )カフェーと呼ばれる喫茶店が全国的に普及した。1889年には東京の氷砂糖問屋が珈琲挽茶入角砂糖を売り出し、湯または牛乳に溶かして飲ませた。
語源[編集]
「コーヒー」はアラビア語でコーヒーを意味するカフワ (アラビア語: قهوة ; qahwa) が転訛したものである。元々ワインを意味していたカフワの語が、ワインに似た覚醒作用のあるコーヒーに充てられたのがその語源である。一説にはエチオピアにあったコーヒーの産地カッファ (Kaffa) がアラビア語に取り入れられたものともいわれている。
この語がコーヒーの伝播に伴って、トルコ(トルコ語: kahve)、イタリア(イタリア語: caffè)を経由し、ヨーロッパ(フランス語: café、ドイツ語: Kaffee、英語: coffee)から世界各地に広まった。日本語の「コーヒー」は、江戸時代にオランダからもたらされた際の、オランダ語: koffie (コーフィー)に由来する[1]。
日本では漢字で「珈琲」のほか「可否」「架非」「加非」「咖啡」などの字もあてられてきた[2]。
漢字による当て字である「珈琲」は、津山藩医で蘭学者の宇田川榕菴(うだがわ ようあん)が考案し、自筆の蘭和対訳辞典に記載したのが、最初であると言われている。これ以外にも、「可否」(可否茶館)、「カウヒイ」(大田南畝『瓊浦又綴(けいほゆうてつ)』)、「哥非乙」(宇田川榕菴『哥非乙説』)[5]などの表記も過去には用いられた。
なお、中国語においても、訳語に関して19世紀に試行錯誤があり、当時の日本語の当て字を借用して現在にいたるものとされている[6]。ただし、漢字は口偏で「咖啡」(kāfēi)と表記される。
コーヒーノキ[編集]
詳細はコーヒーノキを参照
コーヒーの原料となるコーヒー豆は、3 - 3.5mほどの常緑低木でジャスミンに似た香りの白い花を咲かせるコーヒーノキの果実から得られる。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実は赤または紫、品種によっては黄色の硬い実で、成熟に9ヶ月ほどかかる。 また、枝の先端に付く1粒だけ丸い種子は「ピーベリー」と呼ばれ、珍重される。 コーヒー豆となる種子だけでなく、果肉部分にも若干のカフェインが含まれており、食用にされる。
栽培されているコーヒーノキは、大きくエチオピア原産のティピカ種(Tipica)に由来するアラビカ種 (Coffea arabica) と、コンゴ原産のロブスタ種(カネフォーラ種、C. canephora)に分けられるが、生産量の7 - 8割はアラビカ種である。 以前はリベリカ種(C. liberica)も合わせて「コーヒーの3原種」と呼ばれていたが、病害に弱く品質面でも劣るため、21世紀前半の現在では生産量もごく僅かとなっている。
品種[編集]
焙煎前のロブスタコーヒー豆
栽培品種はアラビカ種を中心に200種類以上が知られ、ブラジルとコロンビアでさかんに育種が行われている。その一方で、コーヒーの風味において従来品種を高く評価する人もあり、フェアトレード運動とも連動している。
アラビカ種
病害虫や霜、少雨等に弱く栽培が困難だが、風味とコクに優れ、レギュラーコーヒー用を主体とし多様な品種がある。総生産量の約70%を占める[7]。
従来は、ブラジルのブルボンとコロンビアのティピカが、アラビカ種の2大品種と呼ばれ主力品種だった。その後、収量や耐病虫性に優れた品種への置換が進み、最近[いつ?]ではブラジルのカトゥーラ、カトゥアイとムンド・ノーボ、コロンビアのカトゥーラとバリエダ・コロンビアが、それぞれ主力品種となっている。
このほか、スマトラ、モカ(銘柄とは別)、ブルー・マウンテン(ブランドとは別)、コナ、マラゴジッペ、アマレロ、ゲイシャなどがある。
ロブスタ種
アラビカ種に比べて耐病性が高く、少雨、高温多湿の土地でも栽培できる。また安定収穫できる様になるまでにかかる期間が3年と短い。栽培が容易なので収量も多く、生産量2位のベトナムで主力となっている[7] 。
抽出しやすく水出しも容易だが、カフェイン成分が多く苦みやクセ(ロブスタ臭)が強く、単独での風味はアラビカ種に及ばないとされる。インスタント用原料や、安いレギュラーコーヒーの増量用が主体となっている他、いわゆるベトナムコーヒーに用いられる。
リベリカ種
高温多湿の気候に適応するが病害に弱く、品質もアラビカ種に及ばない。
交雑種
アラビカとロブスタを交配したもので、一般的なレギュラーコーヒーに用いられる。
ハイブリド・デ・ティモール、アラブスタ、カティモール、バリエダ・コロンビアなどの品種がある。
コーヒーができるまで[編集]
コーヒー豆の生産と加工の詳細はコーヒー豆を参照
コーヒー加工の工程
• コーヒーノキ
• 栽培
• 実の収穫
• 精製
• コーヒー豆(生豆)
• 焙煎
• コーヒー豆(焙煎豆)
• (ブレンド)
• 粉砕
• コーヒー
• 抽出
コーヒーは北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70カ国で生産されており、そのコーヒー農園でコーヒーノキの栽培と果実の収穫が行われる。さらに引き続いて、生豆(なままめ、きまめ、生のコーヒー豆のこと)を取り出すコーヒー豆の精製と呼ばれる加工作業までが、コーヒー農園で行われることが多い。精製された生豆は生産国で集積され、選別・等級付けされてから消費国に輸出される。生豆は消費地においてコーヒー独特の香味を生み出すために焙煎され、場合によっては複数の焙煎豆を混ぜてブレンドされる。その後粉砕により細かい粉状にされてから、水や湯で抽出されて、飲用に供されるコーヒーが出来上がる。
コーヒー豆の生産[編集]
全世界では、150億のコーヒーノキが1000万ヘクタールの土地で生育していると概算されている。主な生産地はブラジルやコロンビアなどの中南米や、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア、エチオピアやタンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国など。また有名銘柄の産地としてハワイ、イエメン。インドや中国などでも生産されている。日本でも小笠原諸島や沖縄諸島に移入されたことがあるが、大規模生産には成功していない。ただし九州や沖縄では個人規模農園で栽培している人もいる。 近年[いつ?]になってこれまでロブスタ種の栽培が主流であったタンザニア周辺地域のアフリカ諸国、(ザンビアやマラウィ等)で輸出用に高品質のアラビカ種の栽培が盛んになっていて一部国連主導による「国連グルメコーヒー開発プロジェクト」に加盟している国もある(ブルンジ、ウガンダ)。これらのアフリカ諸国のコーヒーも日本で漸く流通しはじめている。
世界のコーヒー生産地と豆の名称
コーヒー豆の種類は、主に生産地で分けられている。名前の付け方は、国名(コロンビア、ケニア、コスタリカ等)、山域(キリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテン等)、積出港(モカ、サントス等)、栽培地名(コナ、マンデリン、ジャワ等)などが多い。この他、種名や栽培品種の名を付加した名称(ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントス)や、選別時の等級を付加した名称(ブラジル No. 2、タンザニアAA)なども用いられている。また1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、更に特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつあり、近年[いつ?]ではそのような特定の農園からの豆のみのものや通常よりも現地での選別を厳しくしたハイクラス品のことをスペシャルティー(スペシャリティー)コーヒーと称する差別化が普及しつつある。また生産国(特に中南米で盛んである)で行われている品評会に入賞した農園の豆をオークションなどを使用して購入し、スペシャルティーコーヒー以上のプレミア品として更に差別化している販売業者も見受けられる。
代表的なコーヒー豆[編集]
代表的なコーヒー豆の味や特徴を挙げる。産地国を名としないものは括弧書きで産地国を付記する。なおレギュラーコーヒーに使われるものはアラビカ種またはロブスタ種が主流の雑種である[8]。
ブルーマウンテン(ジャマイカ)
卓越した香気を持ち、調和の取れた味わい、軽い口当りと滑らかな咽越しが特徴。最高級の品質と呼ばれる。ジャマイカで生産されるコーヒーのうちごく一部の産地のものがブルーマウンテンとブランド付けられる。その中でもさらにランク付けがなされる[9]。
コナ(ハワイ島)
非常に強い酸味とコク・風味を持つ。ブレンドに用いると良質な酸味が与えられるといわれる。ブルーマウンテンに次ぐブランドで高価である。
キリマンジャロ(タンザニア)
タンザニア産のコーヒーの日本での呼称。強い酸味とコクが特長。「野性味あふれる」と評されることが多い。深い焙煎では上品な苦味主体で浅 - 中煎りとは違った風味が楽しめる。
モカ(イエメン、エチオピア)
香気に優れ独特の酸味を持ち、甘みとコクが加わる。もっとも古い「ブランド」である。コーヒー原産地であり、イタリアなどではコーヒーのことをモカと呼ぶ。イエメン産の「マタリ」[10]、エチオピア産の「ハラー」、「シダモ」等が有名。[11]
グアテマラ
酸味とコクに優れ、香気も良好で全体的に華やかさとキレのいい後味が特徴。
ブラジル
香りの甘さが軽快で酸味・コク、苦みともに軽くバランスが良い。安価でありブレンドのベースとして多く使われる。
コロンビア
酸味と甘味が重厚だが突出せずバランスが良い。安価でありブレンドのベースに使われることも多い。コーヒーの基本の味。
マンデリン(インドネシア)
スマトラ島産。苦味とコクを中心とした味わい、酸味はなく独特な後味がある。日本ではブルーマウンテンが現れるまでは世界一と評されていた。
トラジャ(インドネシア)
スラウェシ島産。苦みが中心の味で、非常に濃厚なコクを持つ。酸味は無い。カロシ・トラジャもしくは単にカロシという名称が使われることもある。
ジャワコーヒー(インドネシア)
ジャワ島産の主にアラビカ種コーヒーを指す。かつての大産地でモカとブレンドしたモカジャバは最初のブレンドといわれるが、葉さび病と経済恐慌で産地が大打撃を受けて以降は産出量が少なく目にすることはまれである。現在[いつ?]手にはいるものは丸くマイルドな味。ジャワ島は専らアイスコーヒー・エスプレッソ・工業用に使用されるロブスタ種の主要な産地であるため、限定してアラビカ種を指す場合はジャワ・アラビカともいう。
ケニア
フルーツのような爽やかな風味が特徴。全体的に強い風味でバランスが良い。ドイツなどヨーロッパではタンザニア産とともに一般的な銘柄。深めの焙煎が多い。
サルバドル(エルサルバドル)
強く主張する味は無く、全体に甘く上品で柔らかな印象の味わい。
コスタリカ
どちらかというと酸味系で苦味控えめの味わい、軽めでクリアな飲み口。
パプアニューギニア
浅い焙煎では軽くてクセの少ない風味、深い焙煎ではキレの良い強い苦味とコクのある風味。良質な香気も特徴。最高級品質と言われるブルーマウンテンの苗木をそのまま移植して栽培した品種である。
キューバ
ブルーマウンテンに似た軽くてバランスの良い風味と上品な香気が特徴。ドミニカ共和国やハイチなどカリブ海地域の島国産のコーヒーは総じて似た傾向の風味を有する。
インド
インドのコーヒー栽培は400年以上の歴史があり、世界中のコーヒー産地の中でも有数の歴史と伝統を誇る。森の生態系を活かしながら有機的な農法で育てられ、5 - 6月に吹くモンスーンを利用した、約7週間を経てできる独特の香味は、欧米の多数の国で愛飲されている最高級品である。
ベトナムなどアジア地域
ベトナムやネパール、中国など近年になって輸出向けにアラビカ種を導入した地域では、人気のある中南米地域の品種の苗木を導入しているが気候や土壌、生産技術の違いからか同じ品種でも独特の風味を持っている、総じてやや導入もとの中南米地域産に比べて重めの風味になり、酸味は控えめで香気もやや弱くなる傾向がある。
精製[編集]
コーヒーの果実と種子(コーヒー豆)の構造
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。コーヒーの精製には主に乾式(乾燥式・非水洗式)と湿式(水洗式)の二種類がある。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われる。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10 - 12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出される。
乾式(乾燥式・非水洗式)
収穫した果実を乾燥場に平らに広げて天日で干し、完全に乾燥した果肉を機械的に除く。モカ及びマンデリンの産地とブラジルで行われることが多い。
湿式(水洗式)
外皮と果肉を機械的に取り除いた後で、水槽に1、2日つけて発酵させて種子(パーチメントコーヒー)を取り出す方法。コロンビアなど、ブラジル以外の産地で行われることが多い。
この他、乾式と湿式を組み合わせた半湿式(半水洗式)や、ジャコウネコなどの動物に食べさせて、その糞から取り出すもの(コピ・ルアク)などがある。
焙煎[編集]
精製された生のコーヒー豆は次に焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者が行うほか、コーヒー豆小売りを行う販売店や喫茶店などで自家焙煎される。また家庭で生豆から焙煎することも可能であり、近年[いつ?]は専門店等で生豆の小売も多く見られる。
日本の家庭ではフライパンや焙烙(ほうろく)、ギンナン煎りに用いる金属製の手網などで焙煎することがあるが、プロの多くは焙煎機(コーヒーロースター)と呼ばれる専用の機械で行われる。これらの焙煎方法は加熱原理と熱源の違いによって以下のように分類される。
• 直火焙煎
• 熱風焙煎
• 遠赤外線焙煎
• マイクロ波焙煎
• 過熱水蒸気焙煎(日本独自のものである)
上記が同時に進行するような焙煎方法もある。
• 半直火焙煎…熱風焙煎と直火焙煎
• 炭火焙煎(日本独自)…熱風焙煎と遠赤外線焙煎
• セラミック焙煎(日本独自)…直火焙煎と遠赤外線焙煎
コーヒーが焙煎されるとき豆の温度は約200℃程度まで到達する。一般的な焙煎方法ではおよそ10 - 20分程度の加熱時間を必要とする。
焙煎の度合いのことを焙煎度といい、焙煎度の低いものを浅煎り、高いものを深煎りと呼ぶ。浅煎りされたコーヒー豆は薄い褐色で、深煎りへと進行するにつれて黒褐色へと変化し表面に油がにじみ出てくる。浅煎りと深煎りの中間にあたるものを中煎りと呼ぶこともあるが、これらは相対的な呼び名であって明確に定められているものではなく、販売店舗などによっても異なる。また、日本では以下の8段階(浅煎り→深煎りの順)の焙煎度を用いる場合もある。
• ライト (light)
• シナモン (cinnamon)
• ミディアム (medium)
• ハイ (high)
• シティ (city)
• フルシティ (Full city)
• フレンチ (French)
• イタリアン (Italian)
一般に、浅煎りは香りや酸味に優れ深煎りは苦味に優れると言われているが、嗜好の問題であるため、総合的に見てどちらかが優れているということは特にない。 通常使われる焙煎度は、ミディアムからイタリアンである。
ブレンド[編集]
コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。
ブレンドは焙煎前に豆を混合するプレミックスと焙煎後に混合するアフターミックスがある。プレミックスは調和の取れた味になり大量生産にも向いている[12]一方で、個々の豆の焙煎の加減を調整しづらい。それに対してアフターミックスは豆の焙煎状態を最良にしやすいが、別々に焙煎する分手間が掛かる[13]。
ブレンドは複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることにより、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。
粉砕[編集]
手動ミル
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に粉状に細かく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕(グラインド)という。粉砕にはコーヒーミルと呼ぶ器具あるいはグラインダーと呼ぶ機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。粉砕粒子度合いと抽出法については、アメリカ商務省の推奨規格やそれを規定した専門書(具体的数値はコーヒーミルを参照)などがある。しかし多くの場合はそれらに直接従うことは少なく、当事者の経験や大まかな伝聞によって粒子度合いを決めていると考えられる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。
飲み物としてのコーヒー[編集]
飲み物としてのコーヒーは、直前にコーヒー豆から抽出して飲むレギュラーコーヒーと、レギュラーコーヒーから工業的に作られるもの(インスタントコーヒーや缶コーヒーなど)に大別できる(「レギュラーコーヒー」はインスタントコーヒーや缶コーヒーに対するレトロニムである)。コーヒーの淹れ方や飲み方は地域によってさまざまであり、また個人の嗜好によっても大きく異なる。
レギュラーコーヒー[編集]
焙煎されて粉砕されたコーヒーの粉は、湯または水に接触させることで中の成分を抽出し、我々が口にする飲み物としてのコーヒーが出来上がる。このときの抽出方法、すなわちコーヒーの淹れ方には様々な方法が存在する。コーヒー専用の抽出器具が多く考案されており、それぞれの淹れ方は用いる器具の名前で呼ばれることが多い。
コーヒーの風味は、焙煎の度合いや挽き加減(細かく、粗く等)、淹れ方や用いる器具などにより異なるが、それぞれの持ち味があるのに加えて本人の嗜好の問題であるため、万人が最善の方法だというものは存在しない。
濾過[編集]
ドリップ
ウォータードリップ (水出し)
専用の機材を用い水でコーヒーを抽出する方法。点滴のように少しずつ水を落として抽出するため、1杯辺り8時間程度を目安とする。抽出する器具もインテリアとして活用される。近年、安価な器具が登場し、一般の家庭でも楽しめるまでになっている。オランダ領時代のインドネシアで、ドリップ式では苦みが強く出てしまうロブスタ種のコーヒー豆を飲むために考案されたことからダッチコーヒーとも言う。現在ではアラビカ種の豆にも用いており、繊細な風味を活かすための方法である。
ペーパードリップ
日本で最も普及していると思われる淹れ方。ドリッパー(一種の漏斗)にフィルタ(漉し紙)をセットし、粉を入れ適量の湯を注ぎ、30秒程度蒸らした後に抽出を開始する。ドリッパの湯が完全に切れる前に外すと雑味の無いコーヒーとなる。
前述の手順さえ守れば誰でも一定水準のコーヒーが淹れられるのがこの方式の最大の利点である。
ペーパードリップの方法は、1908年にドイツ人女性メリタ・ベンツが考案した。
メリタ式(抽出穴1つ)とカリタ式(同3つ)が存在し、最適なメッシュ(挽き具合)が異なるとされている。一般的に、メリタの方が細挽きで抽出される。抽出法の違いは、メリタ式が杯数分の湯を全量フィルターに投入し滴下しきるのを待つのに対し、カリタ式は湯を投入し続け、フィルタの下のデカンタに杯数分滴下した段階でフィルタをはずし、フィルタ内の抽出中の湯(コーヒー)は廃棄する。従って、カリタの方が経験を要し、味のぶれる要素は大きいとも言える。
サイフォン社のコーノ式や、ハリオ社の製品等で「円錐ドリップ」と呼ばれるものが普及しつつある。これは、ペーパーフィルターに折った時にその形が円錐になるものを用い、それを円錐形のドリッパーにセットして使用する。ペーパーをセットした際に、円錐形のペーパーの先端がドリッパーの穴から少し飛び出すようになるのが特徴で、これにより抽出されたコーヒー液は、直接ペーパーの先端部分から容器に落ちる。別名「一点抽出法」、よりネルドリップに近い抽出様式になるように考案されたもので、同じ粗さのコーヒー粉を用いた場合、メリタ式やカリタ式よりも湯の透過速度が速い。
その他、ペーパーフィルターを用いた抽出法として松屋式やコーヒーバネット等のらせん状の金属の枠にペーパーをセットして抽出する方法や、一旦必要量の湯とコーヒー粉を容器で混合し、浮いてくる灰汁をすくって取り除いた後に数分置き、それをペーパーで濾して飲むという浸漬式との組み合わせのような方法、さらには一端にフィルターのセットされた外筒の中で湯とコーヒー粉を混合し、ゴムシールのついた内筒を押しこむことで空気圧をかけてろ過するという浸漬式との組み合わせのような方法(エアロプレス)も存在する。
コーヒーメーカーがもっとも多く採用している淹れ方でもある。
ネルドリップ
フィルタとして布(綿フランネル)を使用する抽出法。布と紙の材質の違いからペーパードリップよりもコーヒーに含まれる油分がより抽出されるのでペーパーでの抽出に比べてまろやかでボディ感のある味となる傾向があり、またペーパードリップのように紙の影響を受けない。味と香りは、抽出方法に大きく左右される。基本的にはドリッパーを使用しないためにドリッパーが温められることによりある程度抽出液の温度が保たれるペーパー式に比べ抽出時に抽出液の温度が下がりやすい。
ネルの取り扱いには注意を要する。使用後のネルはコーヒーの油膜の酸化を避けるため、直ちに洗浄し、冷水に浸けて保存する。臭いが移るのを避けるため、洗浄の際は洗剤の類を使用しない。新品のネルは抽出済みのコーヒー粉を入れた湯で煮沸し、洗浄後に使用する。
その他の濾過材
濾過材に水分透過性のある岩石(溶岩など)や金属(金やステンレス鋼など)、セラミックスを用いた方法など、濾過材の種類よって様々なドリップ方法が考案されている。
エスプレッソマシン/マキネッタ
高温、高圧をもって一気に抽出するエスプレッソマシンと、飽和水蒸気を使用する直火式のマキネッタがある。詳細はエスプレッソ項を参照のこと。
煮沸後濾過[編集]
コーヒーサイフォン
サーバと漏斗から構成され、漏斗部にネルまたはペーパーフィルターをセットし、粉を入れる。サーバ部に水をいれ、加熱し、湯が漏斗部に上がったら頃合いを見計らって火から下ろす。
最近[いつ?]、アルコールランプやガスコンロ等を使用する直火式以外に電熱式も普及しつつある。
パーコレータ
コーヒー粉の入った籠状部分に湯を循環させ、抽出する。機材の構造が単純であるため、メンテナンスは非常に容易でキャンプ等で用いられるが、美味しく抽出するのには熟練を要する。
煮沸[編集]
トルココーヒー
ジェズヴェ(イブリック)という名の銅製または真鍮製のひしゃくのような形をした柄の深い小鍋に、深煎り細挽きの粉と水、砂糖を入れ直火にかける。かき混ぜながら煮沸し、煮立つ直前に火から離し落ち着いたら再度火にかける。これを2、3回繰り返し、表面の泡を消さないようにカップに注ぐ。
まず泡の味を楽しみ、粉の沈殿後に上澄みのみを飲用する。カップの底に粉が残ることから、この模様で運勢を占う「コーヒー占い」という習慣もある。
概ね深入りの豆を、ターキッシュミルという専用のミルで微粉末状にしたものを使用する。砂糖以外にもカルダモンやクローブ、シナモン、コショウ等のスパイスを入れることもある。
ボイル
単純な煮沸法。粉と水を鍋に入れて煮沸して抽出し、上澄みだけを飲む。北欧やギリシャで見られる淹れ方で、トルココーヒーに由来する淹れ方だと考えられる。
浸漬(しんせき、しんし)[編集]
フレンチ・プレス
コーヒープレス
粉と湯をプランジャーポットと呼ばれる器具(他にもティーサーバー、カフェティエール、ボナポット、フレンチプレス、メリオールなど様々な呼称がある)に一緒に入れて抽出する。プランジャーと呼ばれる軸の先端には金属やナイロン製のフィルターが付いており、このプランジャーを押し下げて抽出済みのコーヒーかすを沈め、上澄み部分をカップに移す。イギリスではコーヒーを入れるのにペーパーフィルター式よりもこのプランジャーが普及している。スティーピングに近いものとなっている。
コーヒーバッグ
コーヒー粉を布製の袋に入れ、それを水や湯に付けて抽出する。
スティーピング
単純な浸漬法。カップにコーヒーの粉と湯を加えてしばらく待ち、上澄みだけを飲む(コーヒーのテイスティング時にこの方法が用いられる)。
さまざまな飲み方[編集]
温度別
コーヒーは熱湯で抽出されることが多く、抽出されたそのままを、あるいは温め直されたものがホット・コーヒーとして飲まれる。夏場などには、専用に濃く抽出したコーヒーを冷やしてアイス・コーヒーとして飲まれることも多い。
ブラックコーヒー
抽出されたコーヒーに何も加えずそのまま飲むものをブラック・コーヒーあるいは単にブラックと呼ぶ。多くの場合は、これに砂糖とクリームなどの乳製品を別に添えて出される。この場合、砂糖(グラニュー糖、白砂糖など)やクリームは飲む人が自分の好みに応じて加える。「コーヒー通は専らブラックで飲む」という説を唱える人もいるが必ずしもそうとは言えず、むしろ本人の嗜好による。
英語でblackとは日本と同様、何も加えないことを指すこともあれば、砂糖の有無については問わずに乳製品を加えないコーヒーを指すこともある。また、日本国内で販売されている缶コーヒーで、いくつかの商品は「加糖ブラック」と表記されている。
バリエーション・コーヒー
また、上記した以外にも、牛乳やアルコール、香料などを加えて飲まれることがある。これらはバリエーション・コーヒー(アレンジ・コーヒー)と呼ばれる。エスプレッソやダッチ・コーヒーなど特殊な淹れ方をするコーヒーも、最も普及しているドリップ式のコーヒーと区別する目的でバリエーション・コーヒーに含めて述べられることが多い。
コーヒーのバリエーション[編集]
アイスコーヒー
カフェ・オ・レ
アイス・カフェ・オ・レ
エスプレッソ
カフェ・ラッテ
カプチーノ
ウィンナ・コーヒー
アイリッシュ・コーヒー
ダッチ・コーヒー
カフェ・ロワイヤル
アラビア・コーヒー
浅煎りの豆を小鍋で煮出し、砂糖なしで飲む。
トルココーヒー
細かく挽いた豆を(好みによって砂糖とともに)濃く煮出し、濾さずにカップに注いだものから上澄みだけを飲む。
ベトナムコーヒー
カップの底に練乳を入れた上にフレンチローストコーヒーを注いだもの。豆は深煎りしたロブスタ種を用いる。
コロンビア式コーヒー
ティントとも呼ばれる、黒砂糖を加えた沸騰した湯を用い、火を落してから粉を加え、数分静置して粉が沈んだところで上澄みだけ飲む。
インディアンコーヒー
南インドで好まれるインド風カフェ・オ・レ。インド製のコーヒー・フィルターを使う。鍋にミルクを入れて温め、ミルクが沸騰直前に深煎で入れたコーヒーと、砂糖、塩少々を入れる。2つのカップを行き来させて、泡立てて飲む。
アメリカン・コーヒー
湯で薄めたコーヒーとの認識が一般的であるためにバリエーション・コーヒーと言い難いが、本来は浅煎り豆から薄めに抽出したコーヒーのこと。アメリカで一時期コーヒー豆の高騰により少ない量でもおいしく飲めるように浅煎りを用いていたことが起源。
グリーンコーヒーはコーヒー豆の焙煎前の生豆をさすが、近年スマカフェなどのメーカーが独自の手法で成分を抽出し商品化した。
グリーン・コーヒー
焙煎する前の生豆の状態から成分を抽出したコーヒーで、加熱で壊れやすいクロロゲン酸が効率的に摂取できることから、2011年のインドMallya HospitalのM.V.Nagendranらによる研究結果以降、アメリカを中心にブームが起こる。研究結果では血糖値減少効果、ダイエットと体脂肪の平均15.8%、BMI10.3%の大幅減少などが確認された。これに伴い生豆成分を手軽に飲めるように商品化もされており、植物抽出技術を持つスマカフェなどの会社による販売も行われている[14][15]。
サルタナコーヒー
コーヒー豆ではなく、コーヒーの実を乾燥させたものを少し焙ってから煮出したもの。イエメンではギシルと呼ばれる。
コーヒーぜんざい
小豆の餡を加えたコーヒー。生クリームやアイスクリームを同時に添えることも多い。餡コーヒー、あずきコーヒーとも。
鴛鴦茶(コーヒー紅茶)
香港式で、別途淹れた紅茶と混ぜて、砂糖、練乳を加え、ホットまたはアイスで飲む。
レモンコーヒー
レモンティーの様にレモンスライスを浮かべ、アイスまたはホットで飲む。イタリア南部や香港で見られる。
フラッペ
ギリシャで飲まれているアイスコーヒーの一種で、グラスの中にインスタント・コーヒーの粉と水、練乳を加え、シェイカーでかき混ぜてから、氷を入れて飲む。かき混ぜる段階で泡がグラスの半分以上になるのが特徴。また練乳が入る為、かなり甘い。
塩コーヒー
通常のコーヒーに少量の塩を加えたもの。コーヒーに塩味を付けるのではなく、苦みを抑えて口当たりをまろやかにするのが目的のため、塩の量はひとつまみ程度にとどめる。
海軍風コーヒー
アメリカ海軍に伝わる塩コーヒーの一種。通常の1.5倍量のレギュラーコーヒー粉に食塩少々を混ぜ、ドリップする。
レギュラーコーヒー以外のコーヒー[編集]
抽出の手間を掛けずに手軽にコーヒーを飲むためのものとして、インスタントコーヒー、缶コーヒー、リキッドコーヒーが工業的に生産されている。
日本における、缶コーヒー製品などの「コーヒー」表示は、「コーヒー飲料などの表示に関する公正競争規約」に基づく区分により、製品内容量100グラム中の生豆使用量によって、次の3種類に区分される。
コーヒー
5グラム以上
コーヒー飲料
2.5グラム以上5グラム未満
コーヒー入り清涼飲料
1グラム以上2.5グラム未満
製品に乳固形分を3%以上を含むものは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に基づき「乳飲料」となる。(カフェ・オ・レ、カフェ・ラッテ、コーヒー牛乳など)
インスタントコーヒー[編集]
詳細は「インスタントコーヒー」を参照
お湯で溶かして飲むタイプのコーヒー。公正競争規約上は中にコーヒー豆を含まず、コーヒー抽出液のみを原料とする製品に限られる(中にコーヒー豆を含むと「レギュラーコーヒー」扱いになる)。このため、2010年代に入り中にコーヒー豆を含む製品を含んだ総称として(特にネスレが他社との差別化のため、2013年9月出荷分から)「ソリュブルコーヒー」という呼称も使われるようになった。「ソリュブル」とは“溶け易い”の意。
缶コーヒー[編集]
詳細は「缶コーヒー」を参照
抽出・調味されたコーヒーを缶に充填したタイプのコーヒー。しばしば貯蔵中のコーヒーの劣化が問題となってきた[16]。
リキッドコーヒー[編集]
ペットボトルや紙パックなどの容器に充填したタイプのコーヒー。ボトル入りのものはボトルコーヒーともいう。コーヒーを一杯分ずつ小分けにしたものとしてポーションコーヒーがある。
代用コーヒー[編集]
「たんぽぽコーヒー」および「どんぐりコーヒー」も参照
代用コーヒーとは、コーヒー豆以外の原料を使って造られたコーヒーを模した飲料である。
代用コーヒーについての最古の記録はフリードリヒ2世統治下のプロイセンで見られ、コーヒー豆の輸入超過を抑制し、国内ビール産業の保護を目的とした1777年のビール・コーヒー条例によってコーヒーに高い関税が掛けられることになった結果、その代用として庶民が代用品を飲む様になったと記されている。また、南北戦争中の米国や、第一次・第二次世界大戦の時にコーヒー豆の輸入が滞った地域(日本など)や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。
代用コーヒーの原料としてはタンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、アーモンド、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、根セロリ、パンの耳、綿の種子、オクラの種子など。これらはたいてい煎ったものを粉末にし、お湯を注いで飲んだ。
代用コーヒーはあくまで代用品として考案されたものなので、コーヒーの安定供給が続いている地域・時代ではその消費量は少ない。しかし、代用コーヒーのほとんどはカフェインを含んでいないため、カフェインの摂取を避けている人がコーヒーの代わりに飲む場合がある。また大豆コーヒーなどは大豆の栄養価が評価され、健康食品として販売されている。価格については代用食品ではあるものの、本物のコーヒーよりもかなり高額な場合が多い。
飲料以外の用途[編集]
コーヒーには飲む以外に様々な用途がある。
食品原料
• コーヒー豆から抽出したエキスを香り付けや味付けのために用いたもの
• ういろうなどの和菓子
• ビスケット、パン、ケーキなどの焼き菓子
• ガム、チョコレートなどの洋菓子
• コーヒーゼリーなどのチルドデザート類
• コーヒー牛乳などの清涼飲料・乳飲料
• カルーア - コーヒー豆を使ったリキュール
ハイカロ炭
その他
• 染料
• 脱臭剤 - コーヒー豆の出し殻を使う。出し殻は応用範囲が広い。
• 成形木炭 - コーヒー豆の出し殻を木炭化し成形したもの。ハイカロ炭などの商品名で流通している。
• コーヒー風呂: 焙煎した豆を荒挽きにして酵素を用いて自然発熱させた砂風呂形式の風呂、または抽出した飲用コーヒーをそのまま用いる風呂。家庭用にコーヒー粉末をティーバッグ状にして浴槽に入れる製品がある。
• カタツムリ・ナメクジよけ - これらの種にはカフェイン成分が微量でも毒性として働く[17]ため、コーヒーならびにコーヒー殻は有効である。
• 浣腸 - コーヒーを成分とする溶液を肛門から注入、直腸洗浄する事で「肌が改善」などと謳う健康療法があるが医学的な根拠は無い。
この他、コーヒーの実自体をスープに入れたり、粥のようにしたりして食べるという行為が、10世紀頃には行われていたことがある。この方法でコーヒーを摂取しても眠気覚ましなどに効果があったと言われている。
成分[編集]
コーヒーの成分
コーヒーの生豆には多糖を中心とする糖類、アミノ酸やタンパク質、脂質の他、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸、アルカロイドであるカフェイン(豆重量の1%程度)やトリゴネリン、ジテルペンであるカフェストールやカーウェオールなど、特徴的な成分が含まれている。
これらの成分は焙煎されることによって化学変化を起こし、その結果数百種類にのぼる成分が焙煎豆に含まれる。焙煎の初期にまず生豆中の水分が蒸発し、その後一連の焙焦反応と呼ばれる反応が起きる。多糖やタンパク質はこの過程で加熱分解され、それぞれ低分子の糖類やアミノ酸を生じ、さまざまなコーヒーの味と香りを生み出す。クロロゲン酸がこれらの分子と共に加熱されることで褐色色素が生じ、コーヒーの色を生み出す。この他、糖類のみの加熱により生じるカラメルや、糖類とアミノ酸によるメイラード反応なども色素の生成に関与する。これらの色素はコーヒーメラノイジンと総称される。コーヒーの揮発性成分としては約900種類の化合物が同定されている。中でもコーヒーの香りに大きな寄与をしている成分としては以下のものが知られている。甘い蜜様の香りを持つβ-ダマセノン、コーヒーの特徴的な香りを持つ2-フリルメタンチオール、トロピカルフルーツ的な香りを持つギ酸3-スルファニル-3-メチルブチル、カラメル様の香気を持つフラネオール、ホモフラネオール、ソトロン、ホモソトロン、木クレオソート様の香りを持つグアイアコール、4-ビニルグアイアコール、4-エチルグアイアコール、醤油様の香りを持つメチオナール、ナッツ様のロースト香を持つ2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、バニラ様の香りを持つバニリンなどである。ダマセノンはカロチノイドの分解により、グアイアコール類とバニリンはリグニンの分解により、カラメル様の香りの化合物は糖類の分解により、ピラジンなどその他の化合物は糖類とアミノ酸からメイラード反応で生じるとされている。これらの分子はすべて、苦味や酸味、甘味などのコーヒーの味を決定する上でも重要である。
最終的に飲み物であるコーヒーの抽出液には、これらのうち水溶性の比較的高い成分が溶出される。抽出されたコーヒーは0.04%程度のカフェインを含むが、それ以外の多くの成分についてはほとんど解明が進んでいないのが現状である。
これらの成分はコーヒーの複雑な味と香りを生み出すだけでなく、覚醒作用に代表されるようなコーヒーのさまざまな作用の原因にもなる。
医薬的効果[編集]
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コーヒーは発見当初から眠気防止や疲労回復などの作用を持つことに注目されてきた薬用植物である。しかしその一方、コーヒーが過度の刺激剤や興奮剤として働く可能性を指摘し、敬遠する人も存在している。一方で近年になってコーヒーの制癌作用や抗酸化作用が注目され始め、多くの検証データが発表された。このことからコーヒーが人体に及ぼす作用は医学・薬学的な関心を集め、さまざまな知見が得られている。2015年5月7日には国立がん研究センターなどの研究チームがコーヒーおよび緑茶を日常的に摂取する人が、そうでない人に比較し病気などで死亡するリスクが大幅に低減するとする調査結果をまとめた[18]。
医学的・薬学的研究の結果から、コーヒーの作用としてほぼ合意が得られている作用には以下のようなものが挙げられる。
習慣性
コーヒーには軽度の習慣性があるとされる。これはカフェインによる作用だと言われている。カフェインには軽い依存症を引き起こす働きがある。また一日に300mg以上(コーヒー3杯に相当)のカフェインを常用する人には、カフェイン禁断頭痛と呼ばれる一種の禁断症状が現れることがある。これは最後のカフェイン摂取から24時間以上経過すると偏頭痛様の症状が現れるものである。このカフェイン禁断頭痛は症状が現れてから、カフェインを摂取することで30分以内に消失するが、カフェインを摂取しない場合は2日程度継続する。ただし、これらの症状は麻薬類やニコチン、アルコールと比較して、きわめて軽微なものだと考えられており、規制や年齢制限などは必要ないと考えられている。
急性作用
コーヒーを摂取後、数分から数時間に出てくる代表的な作用として次のものが挙げられる。これらの急性作用は遅くとも一日以内には消失するものであり、健常時には特に健康上の問題を引き起こすことはないと考えられている。しかしながら過度に摂取した場合やそのときの体調によっては、一過性に問題を起こすことがある。また、特に消化器疾患、高血圧、パニック障害などの疾患がある場合など、特定の患者や病態によっては、これらの通常は無害な作用が有害に働くことがあるため、注意が必要である。
• 中枢神経興奮作用(精神の高揚・眠気防止/不安・不眠)
• 骨格筋運動亢進作用(筋肉の疲労を取る/ふるえ)
• 血圧上昇
• 利尿作用
• 胃液分泌促進(消化促進/胃炎を悪化させる)
• 血中コレステロール(LDL, TC)増加
• 大腸ぜん動運動の亢進(緩下作用/下痢)
慢性作用
コーヒーを長期間に亘って飲用した場合についても、多くの疫学的研究が古くから数多く行われてきた。1980年までには「コーヒーが体に悪い」という視点からの報告が多かったが、それらの研究の多くは1990年代に、より精度を高めた追試によって否定されている。一方、1990年代からは「コーヒーが体に良い」という視点からの研究もなされている[19]。
• 発症リスク低下(ほぼ確証):パーキンソン病・大腸がん・直腸がん・2型糖尿病
• リスク低下の報告あるが論争中 :アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石
• リスク上昇の報告あったが後に否定された:高脂血症・膵臓がん・心不全・十二指腸潰瘍
• リスク上昇の報告あるが論争中:関節リウマチ・高血圧・死産リスク・骨粗鬆症・膀胱がん
• 発症リスク上昇(ほぼ確証):(今のところ特になし)
コーヒーに含まれるクロロゲン酸にマルトースをグルコースに分解する酵素であるα-グルコシダーゼの阻害活性が認められ、ラットで食後の血糖上昇の抑制作用が認められた。カフェインにはα-グルコシダーゼ阻害活性は認められなかった[20]。コーヒーをよく飲む人たちでは糖尿病発症のリスクが低くなる傾向が見られた[21]。
制癌作用
• 国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部(津金昌一郎、田島和雄ら)の調査により、肺ガン抑制効果が確認された。これは約10年間にわたる40 - 60歳代の男女約9万人に対する追跡調査で、計334人が肝細胞がんと診断され、コーヒーの摂取と肝細胞がんになるリスクの関係を統計的に分析した。日常的にコーヒーを飲む人が肝臓がんになる率は10万人当たり約214人で、ほとんど飲まない人の場合は約547人。1日に1〜2杯の人よりも、3〜4杯の人の方がリスクが減ったとされ、研究チームはコーヒーに含まれる抗酸化作用をもつ成分の影響かとしている[22]。ただし、津金昌一郎研究部長は2008年、「いずれにせよまだ研究途上」と語っている[23]。
• 2009年、同研究部が実施したコーヒー摂取と肝がんとの関連に関する調査(対象者18815人、13年の追跡調査)では、 「コーヒーをほとんど飲まない」人が肝がんを発生する割合を1とした場合、「1日1杯未満」の集団では0.67、「1日1〜2杯飲む」集団は0.49、「1日3杯以上」は0.54となり、癌になる割合がおよそ半減するというデータが得られた。クロロゲン酸やカフェインなどの成分が肝機能酵素活性を改善したり、肝細胞炎症を軽減させたりしたのではないか、という考えが示されている[24]。
• 東京農工大学の研究グループは、試験管内の実験にてコーヒーに含まれるクロロゲンにガン細胞の転移を抑制する働きがあることを発見した。
• スウェーデンのカロリンスカ(Karolinska)研究所が、複数の研究成果のメタ解析で、毎日2杯のコーヒーの摂取により、肝がんの発症リスクを約4割減少させることができることを明らかにした。この予防効果は、肝臓関連の既往症がある場合でも同等であった[25]。
• 和歌山県立医科大学化学教室(当時)の岩橋秀夫教授らは実験により、コーヒーに含まれるクロロゲン酸がフリーラジカルの生成を阻害する仕組みを解明した。これはフリーラジカルの生成の阻害および、酸化の予防という二重の防御壁により、ガンを防ぐものと考えられている。
• コーヒーは女性の浸潤結腸がんのリスクを低下させる[26]。
ヒトに対する発癌性が疑われる
• IARCは、コーヒー酸とコーヒー(膀胱癌のみ)をグループ2B:発がん性があるかもしれないもの、としている[27][28]。
抗酸化作用
2015年5月7日、日本の国立がん研究センターなどの研究チームがコーヒーおよび緑茶を日常的に摂取する人が、そうでない人に比較し病気などで死亡するリスクが大幅に低減するとする調査結果をまとめた。調査は19年間にわたる追跡で日本全国の40-69歳の男女約9万人に対し行われ、他の生活習慣などと合わせ質問し、コーヒーおよび緑茶を1日にどれだけ摂取するか、というものであったが、その結果コーヒーを1日に3 - 4杯飲む者はほとんど飲まない者に対し、死亡リスクが24%低かった(緑茶=1日1杯未満の者に対し、1日5杯以上飲む男性で13%、女性で17%低減。死亡リスクにかかわる年齢及び運動習慣などは影響を与えないよう統計学的に調整済み)。19年間では約13,0000人が死亡していた。同チームは、調査結果の原因をコーヒーに含まれるポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンによる血圧降下作用、両方に含有されるカフェインが血管や呼吸器の働きを高めている可能性を指摘した。[18]。
その他の健康情報
この他にも、経験的に言われている効用、さらには風説の類いまで含め、多くのコーヒーの作用が語られている。これらの中には、研究結果を誤解したもの、商用の宣伝目的と考えられるものなども含まれているため、他の健康ブームに乗った情報と同様、活用にあたっては注意が必要である。
• 麻薬中毒者やタバコをやめたい人などが、コーヒーを飲用することにより禁断症状がやや緩和されるという。
• 近年の研究では低血圧症、高血圧症の場合、血圧値を正常値に戻す働きがある事が指摘されている。また、善玉コレステロールを増やすなど心筋梗塞の予防にも役立つとの指摘もある。
• コーヒーは「アルカリ性飲料」だとする主張。これは日本のコーヒーの業界団体である全日本コーヒー協会が昭和63年頃から行っていたキャンペーンの影響だと思われる。当時はコーヒーは健康に悪いと考える風潮があり、それに対抗するために喫茶店経営者などに配布した「コーヒー&ヘルス」という小冊子にこの記述があった。コーヒーはアルカリ性ではなく酸性(pH 5 - 6)を示す(梅干しは酸性を示すがアルカリ性食品であると表現するのと同様の理由と思われる)。
• 「酸化したコーヒーは体に悪い」という主張をする人がいる。コーヒー豆を保存するとき成分の酸化(特に脂質の酸敗)による品質低下が問題になること、抽出したコーヒーを保温しつづけると色素の酸化重合や過酸化水素などのフリーラジカルの生成がおきることが知られているが、健康との関係についての研究報告はまだ行われていない。[29]
• コーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類を始め、豊富な抗酸化物質が含まれており、肌の張りをよくし老化を防止する効果があるといわれている。
文化[編集]
コーヒーにまつわる名言[編集]
• 「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」―フランスの政治家、タレーラン=ペリゴール
• 「コーヒーは地獄のように黒く、死のように濃く、恋のように甘くなければならない。」―トルコの諺
• 「数学者はコーヒーを定理に変える機械だ。」―ハンガリーの数学者、アルフレッド・レニー(英語版)[30]
• 「私は自分の人生をコーヒースプーンで計り尽くした。」―詩人、T・S・エリオット『J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌』
コーヒーを題材にした作品[編集]
音楽[編集]
コーヒーは歌曲の中で取り上げられることも多く、コーヒーそのものを題名に入れた曲も少なくない。
コーヒー・カンタータ(作曲:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ BWV211 「そっと黙って、おしゃべりめさるな」 1732年)
バッハの世俗カンタータの一つで、コーヒー・マニアの娘と反コーヒー主義者の父親の争いを歌うコミカルな作品。バッハはコーヒー愛飲家であった。
一杯のコーヒーから(歌:霧島昇+ミス・コロムビア、作詞:藤浦洸、作曲:服部良一 1939年)
日本の懐メロの曲。戦前から日本に喫茶店文化が根付いていたことを物語る曲でもある。
ブラック・コーヒー(Black coffee, 作詞:ポール・フランシス・ウェブスター 作曲:ソニー・バーク 1948年)
コーヒーと煙草に浸る失恋の倦怠と絶望を歌ったブルージーなジャズ・スタンダード。1949年にサラ・ヴォーンが初録音してヒットした。日本では1954年デッカ録音のペギー・リー版が名唱として知られる。
コーヒールンバ(Moliendo Café, 作詞・作曲:Jose Manzo Perroni 日本語詞作詞:中沢清二)
ベネズエラのアルパ奏者ウーゴ・ブランコが録音し世界的にヒット、日本でもエキゾチックさが好まれて何度もリバイバルしている。曲のリズムは実際にはルンバではない。 歌:西田佐知子(1961年)、国実百合(1991年 國實唯理名義)、荻野目洋子(1992年)、井上陽水(2001年)、工藤静香(2002年)
コーヒーはいかが(ドイツ民謡、作詞:花岡恵)
教育芸術社の音楽の教科書に掲載された。
映画[編集]
• ドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」ではエチオピアのコーヒー農家の実情を描いている。
イタリアンコーヒー?
第3次コーヒーブームと言われている現在、コンビニやファストフード店でも美味しいコーヒーが安価に飲めるようになりました。
とても身近になったコーヒーですが、とても奥が深い飲み物です。
ところで、時々耳にしますけれど、"イタリアンコーヒー"と"アメリカンコーヒー"の違いって、一体何でしょうか??
"アメリカンコーヒー"って、日本人には、身近なコーヒーの飲み方ですね。
喫茶店やコーヒーショップ、コンビニやファストフード店で多く飲まれるのも、"アメリカン・コーヒー"です。
それでは、"イタリアンコーヒー"ってどんなコーヒーでしょうか。
"アメリカン・コーヒー"と違いを比べてみましょう。
■コーヒー豆の焙煎の違い
コーヒー豆は、焙煎によって、苦味・香り・酸味が変化します。
日本では、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階に分けられています。
アメリカ式では、「ライト」が一番浅く、「イタリアン」が一番深い焙煎です。
アメリカンコーヒーは、浅煎りから中煎りまでの豆を使います。
イタリアンコーヒーは、アメリカ式焙煎の度合いにも表されるように、油が浮くほどに深く焙煎された豆を使用します。
■淹れ方・味の違い
アメリカンコーヒーは、中挽きの豆を、多めのお湯でさっとドリップして落とします。
味は酸味があってあっさりとした風味。
ブラックコーヒーとして、何も加えず飲むのも一般的です。
一方、イタリアンコーヒーは、コーヒー豆を微細に挽き、圧力をかけて風味が強く、濃く淹れます。
特に、イタリアやフランスでは一般的に飲まれる"エスプレッソ"は、沸騰したお湯を加圧してうんと濃く淹れられています。
これに、お砂糖をスプーン山盛り1~2入れてまぜ、ぐいっと飲むのが一般的。
エスプレッソは「急行」という意味が語源になっている、という説と、「あなただけに、特別に」という説、「抽出する」という語句から派生した、という説があるそう。
直火式のマキネッタを使ったコーヒーの楽しみ方を考えると、「あなただけに、特別に」という意味も、 とても納得できます。
第3次コーヒーブームと言われている現在、コンビニやファストフード店でも美味しいコーヒーが安価に飲めるようになりました。
とても身近になったコーヒーですが、とても奥が深い飲み物です。
ところで、時々耳にしますけれど、"イタリアンコーヒー"と"アメリカンコーヒー"の違いって、一体何でしょうか??
"アメリカンコーヒー"って、日本人には、身近なコーヒーの飲み方ですね。
喫茶店やコーヒーショップ、コンビニやファストフード店で多く飲まれるのも、"アメリカン・コーヒー"です。
それでは、"イタリアンコーヒー"ってどんなコーヒーでしょうか。
"アメリカン・コーヒー"と違いを比べてみましょう。
■コーヒー豆の焙煎の違い
コーヒー豆は、焙煎によって、苦味・香り・酸味が変化します。
日本では、「浅煎り」「中煎り」「深煎り」の3段階に分けられています。
アメリカ式では、「ライト」が一番浅く、「イタリアン」が一番深い焙煎です。
アメリカンコーヒーは、浅煎りから中煎りまでの豆を使います。
イタリアンコーヒーは、アメリカ式焙煎の度合いにも表されるように、油が浮くほどに深く焙煎された豆を使用します。
■淹れ方・味の違い
アメリカンコーヒーは、中挽きの豆を、多めのお湯でさっとドリップして落とします。
味は酸味があってあっさりとした風味。
ブラックコーヒーとして、何も加えず飲むのも一般的です。
一方、イタリアンコーヒーは、コーヒー豆を微細に挽き、圧力をかけて風味が強く、濃く淹れます。
特に、イタリアやフランスでは一般的に飲まれる"エスプレッソ"は、沸騰したお湯を加圧してうんと濃く淹れられています。
これに、お砂糖をスプーン山盛り1~2入れてまぜ、ぐいっと飲むのが一般的。
エスプレッソは「急行」という意味が語源になっている、という説と、「あなただけに、特別に」という説、「抽出する」という語句から派生した、という説があるそう。
直火式のマキネッタを使ったコーヒーの楽しみ方を考えると、「あなただけに、特別に」という意味も、 とても納得できます。